タイムリーパーズ
文句しか出てこない作品であった。唯一ほめられるのは、80分という短さにまとまっているところか。だがしかし、80分鑑賞したことすら、もったいないと思う人もきっといるに違いない。そのくらい残念な映画である。ネタバレあり。
―2013年製作 葡・愛 80分―
解説・スタッフとキャスト
解説:人類滅亡後の地球を舞台にしたSFサバイバルアクション。見知らぬ建物で目覚めた5人の男女。アリーシャたちは、ピーターという男性によってそれぞれ全く違う年代と場所から呼び寄せられた。ピーターは彼女らに、ここは人類が滅亡した地球だと告げる。(KINENOTE)
監督:ジェイソン・バトラー
出演:イアン・ロバートソン/ジェイミー・マクラクラン/ルーシー・カデン/マルコ・コスタ
ネタバレ感想
時間移動系の中でも残念作品
時間移動系の映画を通じて、自分の私的疑問を紹介するのが、このブログの1つの目的である。てなわけで、本作をネットフリックスで見つけて鑑賞した。で、感想は私的疑問を紹介する役に立つような内容ではなかったので、観なくてもよかったなぁということ。
役に立たなくてもいいのだ、本来は。ただし内容が面白ければである。例えばこのブログで扱った時間移動系の映画だと、『タイム・クライムス』とか『プリデスティネーション』なんかがそれにあたる。
さほど面白くなくても、何かを言いたくなったり、私的疑問を考えたり紹介したりできる作品には、『ループ永遠の夏休み』や『ARQ時の牢獄』とか。
で、『ミッション8ミニッツ』なんかは面白いうえに、自分の疑問を紹介する役にたっていて、俺の中ではかなり好感度の高い作品だ。
このブログではいろいろと時間移動の作品を他にも紹介しているが、その中でもこの作品は、かなり下位に位置づけられるダメ映画であった。
残念部分はたくさんある
フィオナはなぜ怪我をした?
全編通して説明不足が続き、謎部分が多すぎる。しかしこれは、謎めかすことで鑑賞者の興味を持続させるような作りになっていないと感じた。
例えば序盤のほうで、フィオナという女が施設の外に出ようとするシーン。彼女はなぜか手を怪我してすぐに戻ってくる。なぜ怪我したの? 説明は一切ない。なので、鑑賞者は推測するしかない。
おそらく、登場人物らがタイムスリップしてきた2018年は、パンデミック後の世界だということで、防護服が必要らしい。タイムスリップしてきたピーターは、施設に入ってきたときにそれを着ていた。つまり、生身の体では外に出られない世界なのだろう。
つまり、フィオナの怪我については、外気に触れたことによるものだと考えられる。このように情報をいろいろつなぎ合わせて自分で捕捉しないと、さっぱりわからんのである。
ところが、終盤で登場人物らが施設の外に出ることになるのだ。そのとき、誰が言ったか忘れたけど「1時間ぐらいなら何とかなる」と抜かしやがる。
オイオイオイオイ
フィオナ数秒しか外出てなくないか? それで包帯巻くくらいな怪我してたよね? 1時間とか死ぬだろ。てことは、フィオナの怪我の原因は外気ではなかったことになる。じゃあ、何なんだろうか。けっきょく謎である。
他にも突っ込みどこしかないので、全てに触れるのは面倒くさい。だから、とりあえずいくつか思い出した部分を。
冒頭からムチャクチャすぎ
まず冒頭、登場人物らはそれぞれ過去から物語の舞台となる2018年に移動してくるわけだが、過去からどのような形でタイムスリップしたのか、それを説明するセリフがない。これは、ピーターが施設にやってくるときも、ラスト近くで全員が過去に戻るシーンでもそうだ。何でなの? 意味不明。おそらく、製作者たちにもよくわからんのだろう。
ついでにその冒頭、各々が別の部屋に閉じ込められている。だけど何で? 誰が閉めたの? わかりません。説明ありません。たぶん、製作者たちがそうしたほうが、謎めいていていいと思ったのだろう。
あの化け物は何なんだよ
あと、よくわからん化物たち。姿すら見えないし、どう攻撃してきてるのかがサッパリわからない。何でそんな不親切な描写をする必要があるのか?
化物が襲ってくる一連のシーンは、画面が暗すぎて何をしているのかさっぱり状況が把握できませぬ。思うに、製作者たちに予算がなく、化物を製作できなかったのだろう。だからこそ、画面に登場させてはならなかったのだ(笑)。
でも、姿を映せないんだったら、それなりに説明のしようはあるはずだ。一応、ルシアという女性はこの生物が生きている時代からタイムスリップしてきたらしく、それなりの説明をするセリフはある。でも、ほとんど理解の役には立たない。結局、何なんだあれは。謎である。推察するに、製作者たちにとっても何のイメージもできなかった謎の生物であるに違いない。
犠牲者の描写が適当すぎ
物語中、2人の人物が犠牲となり劇中から姿を消す。カルロスとルシアだ。カルロスは散々糞野郎描写がありながら、何がきっかけかわからんが、最後はちょっといい奴に(笑)。ありがちなパターンだが、そのプロセスを描かないから、支離滅裂なキャラになっている。
そしてルシア。彼女はなかなか好感の持てる女性ではあった。しかし、気の毒に死に様は間抜けすぎ。どうして何もない場所で足が挟まって動けなくなるんだ?
ハッピーエンドはいいけど、おまんらそれで幸せか?
最後に、ラストで全員が食事をしているシーン。何で死んだやつが生き返ってるんだよ。何でだよ。しかもおまんら、人類を救うために頑張って過去に戻ったんだろ? でも、何にもできてないじゃん。何で和気藹々と楽しそうにしてるんだよ。
てなことで、文句しか出てこない作品であった。唯一ほめられるのは、80分という短さにまとまっているところか。だがしかし、80分鑑賞したことすら、もったいないと思う人もきっといるに違いない。そのくらい残念な映画である。きっと、製作者たちもこの作品に関わったことを残念に思っているに違いない。だったらもう少し何とかしてほしかったが(笑)。
コメント
Netflixで冒頭5分チラ見しただけでクソって分かる映画ってありますよね。これもその一つでしたが、最後まで見た上で感想を述べるサイトがあるとは・・・。自分じゃいらいらするだけでとても感想文なんて気分にはなれそうにありませんが、文を読むのはなかなか面白い。
自分もNetflixの配信作品、冒頭5分で鑑賞をやめたのはたくさんあります。でも、この作品はラストまで観られました。記事にも書いたように、時間移動系の内容だったからだったと思います。ちなみに、自分にとって感想を書くのが一番大変な作品は、可もなく不可もない作品です。こういう酷い映画のほうがツッコミ部分がたくさんあるので、書きたくなることが多いんですね。なので、駄作もけっこう好きです。記事を読んでくれたうえ、コメントまでいただき、ありがとうございました。