光(2017・日・大森立嗣監督)
作家、三浦しをんの小説の映画化。利用し、利用されずには生きていけない人間の関係性とか、愛情が歪な形で表れてしまうそれぞれの人物たちの生きづらさなどはわかる。わかるんだが、何かが心に響いてくるわけでもなかったのは、単純に俺とこの作品の相性の問題であるのかもしれない。ネタバレなし
―2017年公開 日 137分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:三浦しをんの同名小説を「セトウツミ」の大森立嗣監督が映画化。島で暮らす中学生の信之は、交際中の同級生・美花を守るため、ある男を殺害。次の日、津波が島を襲い、信之と美花、幼馴染みの輔が生き残る。25年後、妻子と共に暮らす信之の前に輔が現れ……。出演は「悼む人」の井浦新、「殿、利息でござる!」の瑛太、「後妻業の女」の長谷川京子、「破門 ふたりのヤクビョーガミ」の橋本マナミ、「葛城事件」の南果歩、「22年目の告白 私が殺人犯です」の平田満。音楽をアメリカのテクノミュージシャン、ジェフ・ミルズが務める。(KINENOTE)
あらすじ:東京の離島、美浜島。記録的な暑さが続くなか、中学生の信之は閉塞感を抱きながら日々を過ごしている。だが、同級生の恋人・美花がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。一方、信之を慕う年下の輔は、父親から激しい虐待を受けているが、誰もが見て見ぬふりをしていた。そんなある夜、美花と待ち合わせをした場所で、信之は美花が男に犯されている姿を目撃。美花を救うため、信之は男を殺してしまう。次の日、理不尽で容赦ない自然の圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てが消滅。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった……。それから25年。島を出てバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる。妻(橋本マナミ)と一人娘とともに暮らしている信之(井浦新)の前に輔(瑛太)が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。封じ込めていた過去の真相が明らかになっていくなか、信之は、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花(長谷川京子)を守ろうとするのだが……。(KINENOTE)
監督:大森立嗣
原作:三浦しをん:(『光』(集英社文庫刊))
出演:井浦新/瑛太/長谷川京子/橋本マナミ/南果歩/平田満
感想
なんというか、感想に困る作品であった。描かれる内容は深刻であり、人の心の闇を垣間見せられるが、なんと言うか、あまり切実さを感じないのである。主要人物を演じる井浦新と瑛太の演技はいいなぁと思ったんだけども、それ以外の人物がね…。
特に長谷川京子がやばいくらい魅力がない。なんか能面みたいな顔で女性的な美しさを全く感じられないので、人気タレント役であることを疑っちまう酷さ。
あれを狙ってやっているのかどうかのかはわからんが、個人的に美花役としては、まだ子ども時代の彼女のほうが、なまめかしさやファムファタールぽさが感じられてよかったと思う。
いずれにしても、この映画に出てくる登場人物たちは、人生を全て降りてしまっていると感じるくらいに、閉そく感を抱えて生きているように見える。心に潤いがなくて乾いているんだな。そういう意味では現代を生きる人間の一面を切り取っているようには思うんだけど、やっぱりなぜか、彼らの言動に切実さを感じられなかったのだ。
つまり、あんまり面白くなかったのである。
人生半降りについては↓の真ん中あたりで触れてます
人生を全部降りざるを得なかった男の話↓
人生をほとんど降りた2人の男の話↓
人生を半分降りたい男の、参考になる話↓
物語後の行く末が気になる男の話↓
子どもの頃から辛い日々な男の話↓
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