タワーリング・ダウン
これは名作の『タワーリング・インフェルノ』のオマージュなんだろうかって思うくらいに、設定は似ていなくもないが、内容は小粒感半端ないパニック映画です。とはいえ、個人的には面白く観た。なぜなら、突っ込みどころ満載だからだ。ネタバレあり
―2017年公開 仏・勃・伯 90分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「レッド・ダイヤモンド」のクレア・フォーラニ主演のパニック・アクション。離婚寸前のブロンソン夫妻は突然発生した高層ビルの巨大火災に巻き込まれ、60階に閉じ込められる。そのビルには二人の子供たちもおり、ブロンソンは決死の救出に乗り出す。出演は、ドラマ『S.A.S.英国特殊部隊』のジェイミー・バンパー。監督は、「フェリシーと夢のトウシューズ」のエリック・サマー。特集企画『のむコレ』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:関係が冷え切り、離婚寸前のエンジニアのブロンソン(ジェイミー・バンパー)と妻(クレア・フォーラニ)。ある日、高層ビルでガス漏れによる火災事故が発生する。そのビルには二人の子供たちがおり、ブロンソンたちも60階に閉じ込められていた。炎がビルを破壊していくなか、ブロンソンは炎を消火し、家族を助けることができるのか……。(KINENOTE)
監督:エリック・サマー
出演:クレア・フォーラニ/ジェイミー・バンバー
ネタバレ感想
『タワーリング・インフェルノ』を観たほういい
本作に設定が似ている『タワーリング・インフェルノ』は、古い作品なので今見たら映像的にはチャチなところもあるし、無理があるだろ的な物語展開はあるけども、個人的には傑作のディザスターパニックムービーである。それは俺が10代の頃に観た作品であり、初期の映画体験であったところが多分に影響していると思われるが。
で、本作の感想を述べると、個人的にはそこそこ楽しんだ。楽しんだけど、娯楽作品として賞賛できる内容ではない(笑)。だから、どうせ観るなら『タワーリング・インフェルノ』を観たほうがよいと思う。そもそも、『タワーリング・ダウン』って邦題おかしくないか? 「そびえ立つ下がる」って意味がよくわからんのだけど、俺の訳がおかしいの?
悪者と主人公たちとの絡みがない
ということで、全編通してダメなところがいっぱいな作品だった(笑)。例えば、冒頭に描かれる、あのハイテクビルの建設者とその周辺人物のくだり。彼らの糞さ加減は物語中で明るみになるし、幸福な結末は迎えないので、鑑賞者にとっては「ざまーみろ!」と思えるからいいんだけども、不満なのは、一連の不正とか殺人が、主人公らとはほとんど関係ないところで描かれていることだ。
悪者のクズっぷりを主人公たちが暴いてみせるとか、主要人物と絡んでこないと物語的に描く意味がないような。繰り返すけども、あの悪者たちは、最後まで裏でこっそり動きつつ、不幸な結末を迎える。観ている人間としては、もちろん幸せになってほしくはないんだけど、なんか中途半端ですわな。
人物描写が適当すぎる
ついでに、彼らのほかに描かれる人間の描き方も中途半端。例えば弁護士事務所の秘書と警備員の絡みも、もっといい話にできそうなのに、すげぇ適当だし、主人公らと絡む弁護士とかが舞台から消える描写も適当。救助に来る消防士たちも申し訳程度の人物描写しかないので、感情移入ができない。
そして主人公のオッサン。あいつは職業なんなの? 何であんなにフラフラしてんの? 彼は奥さんの不倫疑惑に意気消沈して裁判沙汰にした以外には、物語でさほどの活躍をしない。
一方の奥さんは、物語の舞台になるビルの建設に携わってたようだけど、災害時、建設に関わっていた経験はほとんど役立っていない。最大限活かされる能力は、趣味のボルダリング(笑)。もともとそっちの道に進みたかったらしいけど、それなら、旦那をビル建設側の人間にするとか、いろいろ考えようはあった気もするんだが。作品中の旦那は無職にしか見えないわけだし。
楽しめたと言ってる癖に、ちっとも褒めていないことに気付いた(笑)。つまり、こうした残念映画を残念映画とわかったうえで楽しめる奇特な人間でないと、この作品は楽しめないのである(おそらく)。というわけで、他人におすすめできる内容ではありませぬ。
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