エンディング・ワールド
期待して鑑賞する類の作品ではない。そして、その意味での期待には十分に答えてくれる駄作。こういうダメパニック映画は、起こっている事態はものすごく深刻で絶望的なのに、それらが一切画面から伝わってこないところが大きな特徴だ。ネタバレあり。
―2017年製作 米 87分―
解説・スタッフとキャスト
解説:壊滅の危機に瀕した地球の運命を描くSFパニック。20XX年、地球は猛烈な天変地異に見舞われていた。科学者のジョシュは地磁気の逆転現象を大統領に告げるが、その警告は無視されてしまう。3年後、海面の上昇により人類は絶滅寸前となり…。【スタッフ&キャスト】
監督・脚本:アダム・リプシウス
脚本:ダリン・A・ウェブ
出演:ジェイソン・トビアス/サマー・スピロ/デジーン・ブラウン/パオラ・メナチョ
状況はかなり深刻
太陽フレアとかいう現象で、地球の磁場が狂ったかなんかして、地震が起きたり津波が起きたり、オゾンホールがなくなりそうになったり、地球上の大陸のほとんどが海に沈んでいってしまったりする内容。て、書くとホントすごい天変地異だ。
そんなすさまじい天変地異が地球規模で起こっているのに、それを全く感じさせない箱庭感がまずすごい。低予算過ぎるのか、その災害によって文明が破滅していくさまが皆無に等しいくらいに描かれない。そこが描かれないのだから、犠牲者が出ている様子も当然描かれない。
この映画ではっきり人の死亡描写があるのは、俺の覚えている限りでは…1人か? まさか1人ではなかったと思うが、はっきり覚えているのは主人公たちが後に引き取ることになる息子の、母親のみではなかったか。
超人級の主人公
てなわけでおかしなところ一杯だけど、とりあえずどうしても突っ込みたいところ。まずは主人公、彼は大陸のほぼすべてが海に沈んじゃうことを予測しているから、保存食とか用意して、それなりの大きさの船も購入して、避難の準備をしてる。
で、船に荷物を積み込んでいる最中、津波が襲ってくるのだ。これが映像によるとかなりバカでかい! どう考えても主人公の船はあの波に耐えられそうもない。だが、耐えるのである。すごい(笑)。
しかも主人公は船が波にさらわれているとき、まだ乗船できていないのだ。なんと、船を結わえていたロープをほどくべく、荒れ狂う海中で必死にロープをナイフで切ろうとしている。
いやいやいやいや
無理だから。それ、無理、そもそも船が何で転覆しないのか不思議なくらいの津波だよ? 人が海中でジタバタできるかっての。しかも、命綱もなんもなくて、自力で耐えつつロープ切っちゃうの。どんな超人だよ。
ちゃちでありがちなクソ演出
あと、終盤のちょっと前、ある黒人が食料守りたさに申し訳程度の反乱を船内で起こす。こいつはバカで役立たずでどうしようもない奴で、主人公はこいつに、肩のあたりを銃? で撃たれちゃう。
オイオイオイ
銃とかどこにあったんだ? しかも自分で撃っておきながら、5分後くらいには主人公に謝罪をするという。なんなんだよ、それ。あほなの? そんなシーン描く必要あんの?
それでパニック状態に置かれた人間の心理とか行動を描いたつもりなんか? あんな中途半端なことするなら、こんなシーンいらないだろ。
そのほかにも、感電して人が死んじゃうお笑いシーンとか、チャチすぎるCGみたいなのを使った安っぽい描写とかつっこみたいところはいろいろあるけど、あと1つだけ文句を言って終わりにする。
盛り上がりのないクライマックス
クライマックス、何かよくわからん装置を使って、特異点を云々することで窮地を脱するシーンがある。いったい、何が起こっているのかよくわかりません(笑)。登場人物たちはいろいろ必死らしいが、そのハラハラ感は、一切伝わってこない。
で、なんかいろいろありつつ、装置を使った試みは成功に終わり、地球は救われるのである。その後、ありがちな予定調和的お涙頂戴シーンが描かれて、ハッピーエンド。お前らはハッピーだろうが、俺はちっとも幸せな気分になれなかったよ。
まぁ、そうなるのをわかっててわざわざレンタルしてるんだから、自分はこの手の作品も嫌いじゃないのだということを認めざるを得ない。でも、人にはオススメしません。なので、観ない方がいいと思うな。
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