『デス・ゾーン/奇跡の生還』(2000)
解説:『奇跡の人』のパティ・デューク主演による山岳アクション。自家用機で旅行に向かったキンケイド一家。だが自家用機は山中に不時着、さらに雪崩が起こってしまう。(「VIDEO INSIDER JAPAN」データベースより)
ネタバレあり! この記事は2005年に書かれたものです。この映画、現在レンタルとかされているのだろうか…。
家庭は冷え切っている・・・らしい
ある成金親父の家族、この親父、裸一貫で成り上がったやり手なんですけど、家庭内は、冷え切ってます。……と言うほど冷えてはないんですけど、設定としては「冷え切っているらしい」ということをアピールしておるように見えました。
旅行をして、絆を深めよう!
で、その家族、母親がもう一度家族の絆を取り戻そうと、家族旅行を計画するんですな。親父、セスナ機操縦できるのです。この親父はやり手ですので、なんでもできちゃうんです。そういう親父です。そこに高校生くらいの息子、OL風の娘、娘の恋人、母親が加わり旅行に出かけます。
本当はもう一人、高校生くらいの娘もいるんですが、この娘、集合場所に遅れ、置いていかれます。ところが、家族を乗せたセスナ機は雪山の上を飛行中、吹雪にあって墜落。遭難です。いろいろありながら、捜索隊の救助を待つのであります。パニックもの、災害ものって感じの映画であります。
遭難を乗り切って、家族の絆を深めよう!
そして、そんな極限状態を通じて家族が絆を取り戻して行く――というありがちな内容を描きたかったと思うんですが、失敗ですな。なんか、雪崩に襲われても全員生き残ってしまうわ、食料は都合よく調達されるわ、緊張感がない。役者たちは必死ですけど、ピクニックしているみたいです。
愛してるんだね、うん。わかったわかった(笑)
しかも、家族の描き方があまりにも類型的だし、なんというか結局「本当は愛しているんだよ!」ってのが簡単にわかりすぎて、そりゃ、愛しているのはわかりますけど、そんなの遭難で確認しあうほどのことでもないと思うんですけどね。あんな諍い、あったかい家の中で一緒に酒でも飲んでりゃ、普通に争いもせず本音が出てきたりするもんだと思いますけど。
遭難させて家族の絆がどうこう描きたいのなら、家族以外、まったく見知らぬ他人の集団もメンバーに加えないとダメだと思います。そうでなくちゃ、極限状態で現われる人間の本性とか、そういうのがうまく表現できないと思うんですけど。
極限状態、生きるか死ぬかの事態におかれても、家族だったらそれを乗り越えられる、むきだしのわがままさも家族同士なら有耶無耶にできるんですよって、愛の力はすごいですからねって、そんなバカなと思いますね。家族愛ってのを描くには、物足りなすぎること多すぎなんです。酷い。
極限状態を描いたはずなのに、奇跡とは思えない
この映画、邦題が『デス・ゾーン』と言います。本当の題は「家族がなんやかんやするストーリー」とオープニングには出てました、で、その下に、『デス・ゾーン/奇跡の生還』て邦題が字幕で出ます。そうです、副題に「奇跡の生還」とつくのです。ネタバレです。最後まで死者はでないんですね。誰も死なないです。安易に殺せばいいとは思わないにしても、なんかね、奇跡の生還ってほどでもない。
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