アポカリプス・ナウ
原題は『40 DAYS AND NIGHTS』。邦題はだいぶ風呂敷広げてますな(笑)。最近観賞した、ディザスター系パニック映画の中では、最も酷い内容であった。しかし、こうして記事にして思い返してみると、不思議と笑えてくるのである。
突っ込みどころしかないので、この記事でその全てに触れることはできない。ネタバレあり
―2012年製作 米 87分―
解説:旧約聖書が伝える大洪水が再び現実に起きた世界を描いたパニック。異常気象によって海面が上昇し、世界が水の底に消えていく運命にある世界。政府機関は極秘で、あらゆる生物のDNAと選ばれた人々に未来を託す箱舟「アーク」の建造を進めていたが…。(KINENOTE)
監督:ピーター・ギーガー
出演:アレックス・カーター/モニカ・キーナ/クリスティアナ・カーマイン/ミッチ・ラーナー
感想
低予算丸出しムービー
この手の災害映画の記事で毎度同じようなことに言及しているけど、この作品もご多聞にもれず、凄まじい天変地異が起きているのに、そのカタストロフ感が一切伝わってこないところがすごい。
なぜそうなっちゃうのかというと、演出なりセットなりCG描写なりがショボすぎるのと、役者さんの力量によるものなのだろうーーという当たり前な感想しか思い浮かばない。
要するに、こうした大規模災害を描きつつ、そこに家族の絆だの男女間の愛情だの、その他いろいろを込めたディザスターパニックムービーをつくり、それを娯楽として楽しませられる内容にするには、相応の予算が必要ということですな。
アサイラム社製作なら仕方ない
ところがこの作品は、B級低予算パクリ映画製作専門の、アサイラム社が製作らしいんで、そんな水準にはなりようがないのだ(笑)。この会社にかかれば、この内容はいたって普通のクオリティであり、その酷さを味わい、笑ってやるしかないのである。
突っ込み&イラつく場面を紹介
なくてはならない人物(笑)
そういうことをわかって観賞してはいるものの、ところどころ、軽く怒りを感じる描写があった(笑)。あまりの登場人物の間抜けさに、我慢できなくなっちゃうのである。中でも、最も間抜けな登場人物は主人公の一人と思われる、テッサという女性である。
この人、生物学者かなんかで、箱舟に持ち込まねばならない様々な動物のDNAを選んだりする役割で、プロジェクトの責任者いわく、「なくてはならない人物」らしい。ところがこの人、いなくてもいいような活躍しかしてくれない。
テッサの役立たずぶり その1
まず、一番笑えるのは、箱舟に乗せるべきDNAを輸送している列車が立ち往生してしまったので、ヘリコに乗ってDNAを回収に行くシーン。時間がないだのなんだのわめいていたわりに、列車に乗り込むと悠長に付き添いの女軍人とおしゃべり(笑)。もっとテキパキ動きやがれこの糞野郎。とかなりイライラさせる。
で、案の定、ヘリコで待っているパイロットたちに急かされることに。で、一応申し訳程度のDNAを回収して、ヘリコに戻る。ここで、謎のシーンが繰り広げられる。ヘリコプターを前にしてなぜか棒立ちのテッサ。女軍人が「ジャンプするのよ!」とか励ましている。なぜジャンプするんだ? と思っていると。女軍人が先にヘリコプターに乗り込んで、テッサを呼ぶ。「早く! ジャンプするの!」
オイオイオイオイ
ジャンプってヘリコプターに乗るためにしろってことか。でも、女軍人は普通に足伸ばして乗ってるし。というか、腰よりちょっと高いくらいの位置にヘリコの入り口があるんだから、ジャンプするより手を伸ばして身を乗り出せば乗れるだろ。なんでテッサだけ飛び乗らなきゃいかんのだ。意味不明。
で、テッサはマゴマゴするだけで結局ピクリとも宙に浮こうとはせず、女軍人の手を借りて普通に搭乗(笑)。そして次の瞬間、この間抜けはDNAを回収した筒を落としちゃうのである。あほすぎ。
テッサの役立たずぶり その2
で、しょぼくれて基地に帰る。その後、洞窟へ蜂を探しにいくシーンでも、この女は全く役に立たない。そもそもあんな洞窟にどうして蜂がいるのかが謎なんだけども、とりあえず捕まえにいく前提で危険を冒してるんだから、捕まえる道具なりを準備するのが当然だと思うのだが。
ところがこの女、何の備えもしていかない。で、蜂の巣を目の前にして女軍人にどうするか尋ねられ「さぁ?」とか応えるのである。万死に値する。そして、またしてもミッション失敗。嵐が酷くなってきたので洞窟を去ることに。
で、何とか航空機のところまで戻ってきたはいいものの、テッサと女軍人を待っていたパイロット2名がハッチを閉めたいのか風雨が強烈すぎて乗り込めなかったのか忘れたけども、とにかく搭乗口でジタバタしだす。そして、哀れにも風にさらわれて亡き者に(笑)。
その情景を、口をあけて傍観するだけの女2人…。
オイオイオイ
ちっとは助けようとしなさいよ。酷すぎる。なんなんだこいつらは。
で、女軍人がパイロットに代わり飛行機を操縦して何とか脱出する。蜂を捕まえられなかったテッサは茫然自失状態。そこへ女軍人がポケットから蜂の死骸を取り出して彼女に渡すと、テッサはニッコリ。君はいったい何をしにいったんですかね。
箱舟の規模と収容人員(笑)
てなわけで、これ以降のシーンで彼女の活躍の場はなくなる(笑)。そのおかげで怒りを感じるほどのシーンもなくなる。とはいえ、突っ込みどころはてんこ盛り過ぎるので、一つだけにしとく。
テッサの恋人であるジョン(確か)は箱舟を起動させるための技術者らしい。で、期限が短すぎるとか泣き言いいながらも、何とか箱舟を起動させることに成功。で、終盤でその箱舟を操縦する軍人3名を前に、いろいろと船の説明をする。
CG丸出しのその船は、なんと5万人も人が乗船できるらしい。すげーっ! とても5万人も乗れるような大きさには見えないんだけど。人間と船が一緒の画面に入っているシーンがないから比較のしようがないものの、どうみたってそんなデカイ船には見えない。仮にそんなでかいんだとしたら、あの基地は人間の視覚の遠近感を狂わせる何かが働いているとしか思えないぞ。
まぁそれはいいだろう、で、あまりにも杜撰な計画なので、嵐に襲われてんてこ舞いしながらみんなが船に乗り出す。規律もへったくれもなくて、みんなでワイワイドタバタしながら乗船。乗り込んだ人数はたったの500人であった(笑)。
不眠不休の操縦者たち
この辺もメチャクチャで何がなんだか本当によくわからん。でもそこはスルーして筆を進めると、ここからこの船は、嵐の中を航海していくのである。三日三晩どこじゃなくて何十日も続く凄まじい風と豪雨で波もうねりまくり。そんな状況で航海が続くのであるが、ものすごくおかしいことが。
さっき紹介したけど、操縦士は3人だ。こいつら、嵐が収まるラストまで、誰とも交代することなく船を何十日も操っている。おかしいだろそれ。交代要員は? いません。3人で交代制にしているわけでもない。全員座って何かをしているのである。
オイオイオイオイ
どんだけブラックな仕事だよ。いくら鍛えられた軍人でも、不眠不休でそんなことできるわけねーだろ。
本当に酷すぎて笑うしかない映画である。最初から最後まで全部おかしいので、覚悟がある方は観賞してみて、この作品を笑ってやってください。
かなり酷いディザスターパニック↓
まぁまぁ面白いディザスターパニック↓
名作と呼ばれるディザスターパニック↓
コメント
コメント失礼します
レビューを楽しく拝見しております。
いまだかつてこの映画を観たという人に出会えず、感想を共有出来ずにいましたが・・・やっと出会えました!(笑)
今までの私の映画人生で、色々な意味で忘れることのできない作品です。
少々トラウマレベルで・・・この映画を観てからアポカリプスと名の付く作品には近づけません(笑)
筆者様のレビューでこの制作会社の得意技との事、
大変勉強になりました。
糞っぷり(失礼)もいい思い出になったので、ある意味観て良かったのかもしれませんね。
りるすけさん、トラウマレベルでしたか(笑)。このブログではたまに本作のような酷い作品をとりあげて、その内容に突っ込みまくることがあります。こういう駄作のほうが文句がいっぱい言えるので、感想も長くなるし、書いてて楽しいです。10代の頃は地上波で放映してたつまらない映画を観た翌日、学校の友だちとその話題で盛り上がったりしたもので、内容が共有できる人がいると、映画ってより楽しくなりますよね。なので、こうやってコメントいただくと励みになります。閲覧ありがとうございました!
hanori様。返信をありがとうございます!
気付けばずいぶん前の記事にコメントをしていたようで、大変恐縮です。
ジェイク・ギレンホールの「LIFE」のレビューをみていて、このブログにたどり着きました。
私も観た作品のレビューは、共感するものも多く、全て楽しく拝見させて頂きました。
ポンコツな(失礼)作品も、いい思い出です(笑)
これからも楽しみにしております。
追伸。ブログを拝見して、ずっと気になっていた「blank13」を鑑賞しました。開始40分にタイトルなんて、
粋ですね!次は「淵に立つ」を観ようと思います。
りるすけさん、返信ありがとうございます。『LIFE』から来ていただいたとのこと。あの記事はなぜか検索でも上位にあるようで、重宝してます。いろいろ記事閲覧してもらってありがたいです。これからもよろしくお願いいたします!