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映画『善惡の刃』ネタバレなし感想 薬村五叉路タクシー運転手殺人事件

善悪の刃
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善惡の刃

実際に起きた事件をもとに製作された話だとか。この映画を観てよくわかるのは、法ってのは絶対ではなくて、解釈次第で白を黒にも、黒を白にも、どちらに転がすこともできるってことだ。ネタバレなし

―2017年公開 韓 119分ー

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:2000年に韓国で起きた薬村五叉路タクシー運転手殺人事件を題材にした人間ドラマ。事件の第一発見者だった少年ヒョヌは、一転して容疑者として逮捕され、10年服役。賠償金を背負う彼に起死回生を狙う弁護士ジュニョンが近づき、事件の再審を持ちかける。監督は「残酷な出勤」のキム・テユン。職にあぶれた弁護士ジュニョンを「レッド・ファミリー」のチョンウが、事件を否認する元服役囚ヒョヌを「二十歳」のカン・ハヌルが演じる。特集企画『反逆の韓国ノワール2017』の一作。(KINENOTE)

あらすじ:度重なる敗訴で職にあぶれた弁護士ジュニョン(チョンウ)は、起死回生を図って話題性のある依頼人を探すうちに、タクシー運転手刺殺事件で有罪判決を受け10年服役したヒョヌ(カン・ハヌル)に目をつける。当時15歳の少年だったヒョヌは全北益山市にある薬村五叉路で起きた事件の第一発見者となるが、ナイフを隠し持っているのが見つかり、逮捕された。出所したヒョヌは被害者遺族に賠償金を支払うため多額の借金を背負っており、ジュニョンは彼に借金を無効にする方法として事件の再審を持ちかける。ヒョヌはその提案に乗り、ジュニョンに本当に人を殺していないと打ち明けるが……。(KINENOTE)

監督・脚本:キム・テユン
出演:チョンウ/カン・ハヌル/キム・ヘスク

感想

なかなか面白い作品です

何度も紹介しているけど、韓国映画のこの手の作品は、一定の水準を超えているものが多くて、面白いのが多い。この手の映画が何かってのは、ある職業に就いている人間が、本来職務として果たすべきことをまっとうしようとせずに、私腹を肥やすために動いていて、主人公らがそれに抗おうとしたり、その流れに逆らえず自分も同じようなことをしてしまったりする内容――とでも言おうか。

こうした作品が乱発されるのは、韓国社会に少なからずそうした傾向があることを示しているのだろう。それを証明するかのように、実在した事件を題材にした作品が多くて、本作もその中の一つに挙げられる。

だから韓国はダメな国家だとかそういうのではなく、日本だろうが中国だろうがアメリカだとうがどこでも、同じようなことは起きているのであり、なぜか韓国人の気質なのか何なのか、こうした映画がヒットしたり、人々に求められているからこそ、量産されているんだと思われる。で、その品質が娯楽としての水準を満たしているものが多いところが、俺はすごいと思うのである。

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扱う人によって白も黒になる

この映画を観てよくわかるのは、法ってのは絶対ではなくて、解釈次第で白を黒にも、黒を白にも、どちらに転がすこともできるってことだ。

つまり、法を解釈する人間の動き次第では、白を黒にすることも可能なのだ。

依頼する立場としてみれば、法を扱う人間は高潔かつ誠実な人間性を有する人であってほしいし、そういうやつがその職業に就くべきだし、職に就いてからもそうであってほしいと思う。

だが、この映画では、その法を扱う輩と、法の番人たる警察の人間に、いわゆる常識的な奴がいないのである。彼らは自分たちの就いている職業の特権を活かして、自分の欲望を満たすための働きしかしない。で、そういう世界を知らない奴らが犠牲になると。

主人公も金儲けしたかっただけ

主人公もそもそもは、自分が金儲けをしたいがために弁護士の道を選んだ糞野郎である。権力と富に目がくらんだ人物だったのである。ところが物語が進むにつれて、なぜそうなったのかはイマイチよくわからんが、真に正義を守る弁護士としての道を選ぶ。

善悪の此岸には普遍性がある

そうやって考えてみると人間てのは、俗悪な人間も高潔な人間も、貧乏人もお金持ちも、誰もかれも当たり前に、世の中の常識とか善悪の基準をどこかで信じて生きているということがわかる。信じているというか、はっきりとその基準を認識していると言ったほうが正しいか。

で、その基準を逸脱して平然としている人もいるし、それが守られるべきなのに守っていない奴らがいると憤る人もいるし、その基準を全うしているのに悲惨な目に合わされる人もいる。

つまり、基準がどんなものであるかについてはみんな、共通認識を持っているのである。で、それを守るべきかどうかの解釈は、個々人の資質に委ねられているのだ。

誰もが基準がどんなことで、どんなことを悪として、どんなことが善であるかについては、守るか守らないかに関わらず、普遍的なこととして知っているのである。その基準を知っているからこそ、その内容から逸脱することもできるし、頑なに守り続けようとすることもできるのだ。

仮に基準がなかったとしたら人間は、自分が何をやっているのかよくわからなくなってしまうだろう。それが言葉の持つ力であり、限界でもあるのだ。

この作品は善と悪について語られているように観えるので、それを踏まえていう言葉の限界とは、善悪の此岸、つまり人間の社会でしか通用しないことにある(当たり前だが)。そして、それを超えたところにある善悪の概念は、善悪の彼岸にあるものだ。

善悪の彼岸にある言葉を超えた概念については、言葉では言えない。

だから例えば、善悪の彼岸には基準なんてものは、ないのである。なぜ基準がないのかといえば、言葉では言えないからだ。

…何を言っているのか理解されないと思うので、この話は終わる。

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