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映画『トガニ 幼き瞳の告発』ネタバレ感想 実話を基にしたホラー

トガニ
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トガニ 幼き瞳の告発

中盤までは軽くホラーである。結局はどんなに恐ろしいホラーやスプラッター映画に登場する化物よりも、実際にその辺にいる顔の見えない他者のほうがよっぽど化物なんである。平然とした顔で自分の欲望のままに子どもを虐待し、それを金や権力の力でもみ消して平然としている聖職者とか、ホラー以外の何ものでもない。ネタバレ少し。

―2012公開 韓 125分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:実話を基にしたコン・ジヨンの同名小説を『マイ・ファーザー』のファン・ドンヒョク監督が映画化。韓国のある聴覚障害者学校で隠蔽され続けてきた、生徒たちへの暴行や性的虐待の実態を告発する美術教師の姿を描く。出演は「あなたの初恋探します」のコン・ユ、「きみはペット」のチョン・ユミ。(KINENOTE)

あらすじ:恩師からの紹介で、霧の街として有名な郊外の街ムジンにある聴覚障害者学校・慈愛学園で、美術教師の職を得たカン・イノ(コン・ユ)は、ソウルで暮らす母に愛娘・ソリを託し、1人新天地で働くことを決める。だが着任早々、イノは学園に漂う不穏な空気を感じ取る。一見人当たりがよく温和そうに見える校長だが、その目は決して笑っていない。そんな校長と瓜二つの双子の弟・行政室長に至っては、教職に就くための代償として平然と不正な金を要求してくる始末。そして何より生徒たちのおびえたような暗い表情に、違和感をぬぐえない。そんなある日、イノは職員室で同僚のパク教師が男子生徒・ミンス(ペク・スンファン)を袋叩きにしている現場に出くわす。パクは、寮を黙って抜け出した罰を与えているという。そして女生徒・ユリ(チョン・インソ)に導かれるようにたどり着いたある部屋の前。そこでは女寮長のユン・ジャエが、女生徒・ヨンドゥ(キム・ヒョンス)を、回る洗濯槽の水の中に顔ごと押し込んでいた。躾をしているとうそぶく彼女に、激昂するイノ。ぐったりしているヨンドゥをすぐさま入院させ、人権センターの幹事、ソ・ユジン(チョン・ユミ)に連絡を取る。ヨンドゥによると自分を含めた複数の生徒が、校長をはじめとする数人の教師たちから日常的に性的虐待を受けているという。しかも地元の名士である校長は、警察さえも買収済み。警察はこの事実を知りながら、見過ごしているのだった。怒りに震える二人は、マスコミの力を利用して真実を暴露することを決意。TVカメラの前で、自らの体験を語る子供たちの痛々しい手話はイノの心をえぐる。子供たちの衝撃的な告白が放映されたことで、警察もようやく重い腰をあげ、校長たちは逮捕。戦いの場は法廷へと移ってゆくが、イノは学園から解雇を言い渡されてしまう……。(KINENOTE)

監督・脚本:ファン・ドンヒョク
原作:コン・ジヨン:(「トガニ 幼き瞳の告発」新潮社刊)
出演:コン・ユ/チョン・ユミ/キム・ヒョンス/チョン・インソ/ペク・スンファン

世論を動かした力のある作品らしい

実話を基に再構成された映画ってことで、起こっている事件は実際にあったものらしい。この映画は上映後に社会的反響を呼び、実際の事件の再捜査が行われ、トガニ法なる法律も制定されたのだとか。なるほど、創作の力が社会を動かしたんであるな。とか感心したくなるが、そんなバカなとも思わせる。

この映画が作品として優れたものだから人の心を動かしたという意味では、本作の持つ力とその意味は大きい。だが、そうであるなら、この映画が創られなかったとしたら登場人物たる学園の校長やその取り巻きと周辺の有力者どものズブズブの癒着はそのままになっていたということなんだろうか。

司法が司法として成り立たずに賄賂がまかり通っている社会に、当然正義なんてあるわけがない。て考えるとこの映画、韓国社会は権力者が持てる力を享受して己のためだけに人生を楽しめる国家なのだということを、暗に示していることにならないか。

権力者の癒着は韓国に限った話ではない

この物語で描かれるように、一部のエリートや権力者たちが己の利権を守るために癒着して賄賂で動く世の中ってのは、何も韓国に限った話ではないだろう。それを踏まえて考えるに、例えばこの事件が日本で起こったとして、その事実を基に何らかの作品が作られたとき、その鑑賞者たちは衝撃を受けて世論を騒がせ司法を動かす力を生み出すことができるだろうか。それを生み出せるのが韓国人の国民性だとするなら、日本人にその気質はあるのか。

とか自分のことを無視して韓国人、日本人論的な話にしている俺自身に対しても、そうした問題を突き付けてくる映画であった。

中盤まではある意味で優れたホラー作品

ということで内容についてはあまり深く語る気にもならないが、本作は序盤から中盤にかけては軽くホラー映画である。ものすごくありきたりで陳腐な感想であるが、結局はどんなに恐ろしいホラーやスプラッター映画に出てくる化物よりも、こうしたその辺にいる顔の見えない他者のほうがよっぽど化物である。平然とした顔で自分の欲望のままに幼児を虐待し、それを金や権力の力でもみ消して平然としている聖職者とか、ホラー以外の何ものでもない。

扱うテーマがけっこうキツイものの、娯楽作品としても最後まで楽しめる作品に仕上げたことが、本作が社会的に影響力を持つに至った要因であると思われる。

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