コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義
警察内の権力争いを描いた前作の結末と、今作をあわせて、ようやくラウ(アーロン・クォック)とリー(レオン・カーフェイ)の戦いに決着がついた感じ。個人的には今作のほうが面白く感じた。ネタバレ少し。
―2017年公開 香=中 110分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」の続編となるサスペンスアクション。陣頭指揮を執って国家の存亡を揺るがす警官誘拐事件を解決したショーン・ラウは、警察署長に出世。だが、逃亡中の犯人は彼の妻を誘拐し、主犯の解放を要求してくる……。出演は「西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人」のアーロン・クォック、「孫文の義士団」のレオン・カーフェイ。(KINENOTE)
あらすじ:国家の存亡を揺るがす警官誘拐事件で、見事な捜査指揮によって誘拐された仲間の救出に成功したショーン・ラウは、警察署長となる。しかし、逃亡中の犯人は彼の妻を誘拐し、投獄されている主犯ジョー・リーの解放を要求。爆弾を大量に詰めたスーツケースと共に、多くの市民が行き交う地下鉄の駅までジョー・リーを連れてくるよう、ラウに命じる。市民の大混乱と負傷者、そしてジョー・リーの逃亡を招いた失態は、政治家やメディアから批判を浴び、ラウは辞職に追い込まれるが……。(KINENOTE)
監督:サニー・ルク/リョン・ロクマン
出演:アーロン・クォック/レオン・カーフェイ/チョウ・ユンファ/エディ・ポン/チャーリー・ヤン
前作観てからのほうがいいです
劇場に行けなかったのでレンタルで早速借りてきた。これって、前作を観ていないと、内容がサッパリ分からないんじゃないだろうか。前作を鑑賞した立場から言うと、未見の人はまず前作から鑑賞することをオススメします。そのほうが楽しめる作品です。
てなことで、印象としては前作と今作をあわせて、ようやくラウ(アーロン・クォック)とリー(レオン・カーフェイ)の戦いに決着がついた感じ。個人的には今作のほうが面白く感じた。レオン・カーフェイは名優というか面白い映画にたくさん出てるけど、俺の知る限りでは今ひとつパッとしないアーロン・クォックは、本作が最もいい役ではないだろうか。極限探偵シリーズも悪くはないんだが、面白くはないからね(笑)。
今作も前作同様、アクションは少なめだけど、2回ほど銃撃シーンがあって、そこはなかなかよい。てなことで引き続きメリハリがあって飽きさせない展開で物語は進む。今回は新顔の大物として、チョウ・ユンファが登場する。久しぶりに観たけど、相変わらずかっこいいすなぁ。彼の歯って、子どもの乳歯みたいに小さいよね。なんでなんだろうか。
理想の権力者とは
ということで、前作では仲良くなってたけど、リーは結局、権力がほしかったということらしい。前作のリーは、現場目線になってくれる部下思いの親分的な描かれ方をしてて、だからこそのラストだったが、本作においてはその現場感はかなり薄れてしまっている。
それはリーが己の権力のためだけに動いてしまっていたからだろうか。汚れ仕事させてた、腹心の部下っぽい奴が、絶命する時にリーに銃を向けてたのなんか、それを象徴しているようにも思えた。
いずれにしても、一般庶民の立場としては、ラウみたいな奴が出世して、きちんと自分の信念に基づいて職務を全うし続けてくれれば、世の中は過ごしやすくなるように思えるのである。
司法の警察組織に限らず、行政でも立法でも、権力を握る人間はこうあってくれたほうがいいと思う。しかし、こういう人間のほうが少数派だから、この手の映画が洋の東西を問わず、たくさん製作されるんだろうねぇ。
権力者は強烈な俗物である
で、今作ではラウが香港警察の長官に出世しているので、出てくる相手もさらにエリートな権力者である。ただ、やっていることは前作の延長なので、一般庶民とは関係ないところで、警察とその他周辺期間が、内輪でガチャガチャと揉めていることに変わりはない(笑)。
冷静に考えると、おまんら何をしているのかね? と思っちゃう。もちろんこの権力闘争を経て誰が覇権を握るかによって、後の社会制度なりにいろいろの影響が出てくるのはわかる。
わかるんだけども、個人的にこの手の映画を観て思うのは、こいつら何を目指して面倒くさい駆け引きしたり、お互いの腹の内を探りあったり、裏切りあったりしているんだろうかということだ。こいつらの理想としているのは、社会変革とか安心で安全に暮らせる社会の実現とか、そういうものではない。単に権力を握って、自分がいい暮らしをしたいだけなんである。一言で表すなら、俗物である。
そんな俗物たちのドタバタ劇は、ある意味で滑稽なので一見の価値はあると思います。なんか続編がありそうな雰囲気もあったけど、まだやるつもりなのだろうか・・・(笑)。
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