ダイアリー・オブ・ザ・デッド
ロメロ監督追悼ってわけではないんだけども、何となく以前から気になっていたので鑑賞。メディアを風刺しているような内容だったけども、特に目新しさはない。ネタバレあり。
―2008年公開 米 95分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:1968年の「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生」以来、ゾンビ映画の巨匠として活躍する映画監督ジョージ・A・ロメロが、手持ちカメラによる主観映像を活用して作り上げたドキュメンタリータッチの作品。出演は「エミリー・ローズ」のジョシュ・クローズ、TV『ファントム・ファイアー』のミシェル・モーガン(KINENOTE)
あらすじ:ペンシルバニアの山奥。ジェイソン・クリード(ジョシュ・クローズ)は監督として仲間たちとともに大学の映画学科の卒業製作用ホラー映画を撮影していた。だが、スケジュールは大幅に遅れ、スタッフも俳優も疲労困憊の状態。その頃、スタッフの一人がラジオから流れてくる衝撃のニュースを耳にする。それは、世界各地で死体が蘇り、生きている人間を襲い始めたというものだった。以下略(KINENOTE)
監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ
出演:ミシェル・モーガン/ジョシュ・クローズ/ショーン・ロバーツ
この作品は絶対に撮る意味がある!
この映画の特徴的なところは、モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)的に物語が進む作風だろう。で、いろいろある中で、使命感があるらしいジェイソンは仲間たちがゾンビに襲われて戦ったり逃げたりしているときも、ひたすらそれをカメラで追っているという。
そんな感じだから仲間たちにもいろいろ文句言われたり、恋人からも呆れられているんだけども、彼はその行為が必要だと思っているから止めない。で、結局自分もゾンビに噛まれる。恋人は彼の頭を銃で撃ち抜き、ゾンビ化させずに人間のまま死なせてやる。さらに恋人は、批判的ではあったものの、彼の遺志を継いで、撮影を続けてネットで配信するところで物語は終わる。
で、そのラスト。二人の男が、ゾンビなのか人間なのかはわからないけども、ある女性を木から吊り下げといて、彼女に向かって銃をぶっぱなすシーンで終わる。ジェイソン恋人のつぶやきっぽいセリフで、「人間は生存させる価値があるのかどうか」的な言葉が発せられて、終了。ふ~む、つまらん。
撮るのはいいけど、もう少し緊張感がほしい
ジェイソンが自分なりの使命を持ってカメラを回し続けるのはいいけども、全然緊張感が伝わってこないんだよなぁ。回し続けるにしても、撮影する本人だって逃げ続けなきゃいけないんだから、あんなにのんびり対象を追ってられっかよと思うんですけど。
本作の主要人物はほぼ若者なんだけども、どいつもこいつもあんまり頼りがいがないというか、へタレっぽいし、ジェイソンだけでなく、ともかくみんな緊張感がない。リアルにゾンビに襲われているという抜き差しならない状況なのに、なんか冷静なのだ。淡々としているし、自分が死の危険にさらされているのだってことを実感していないように見える。
意図的にそういう演出にしたのだとしたら、それはなかなか示唆的ですごいとは思うんだけど、実際のところはどうだったんだろうか。
襲われてるシーンにハラハラもドキドキもしない
で、頑張るのは中年のオッサンなんだな。最初から若者らと行動している大学教授と、途中で出会って、すぐにゾンビにやられちゃう、耳の悪いおっさん。この2人は、勇敢にゾンビに立ち向かっているように見えた。他はダメ。
学生の中に1人、どういう経緯で手に入れたか忘れたけども、拳銃持っている奴がいて、こいつはゾンビをけっこう撃ち殺してたけども、あんな暗闇でゾンビをヘッドショットできるなんて、どんな凄腕なんだよと、突っ込まざるを得ない描写であった。
ともかく、襲われているのにドキドキもハラハラもできないのである。
続編があるらしいです
メディアが報道する真実とは何なのかと言及されるシーンやメディアを風刺してるっぽい印象を全編から感じた。でも、何か新しい発見があるわけでもなく、平凡な感想しか抱けない作品であった。ジェイソンは「真実を伝える」ために撮影を続けていたけど、あれだって編集とか作り手の意図があるんだから、完全な真実とは言えないしねぇ。
ロメロ監督作では、『ランド・オブ・ザ・デッド』のみ劇場で観たことがある。あれは個人的に好きな、ジョン・レグイザモが出ていることもあって劇場に行ったんだけども、さしたる面白さもなかったなぁ。やっぱこの監督の作品は、『ゾンビ』が一番好きだなぁ。
ちなみに、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』では本作の続編だそうで、中盤に出てくる元軍人の黒人さんが主人公だそうだ。
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