ゾンビ・ファイト・クラブ
これまたずいぶんとヘンテコなゾンビ映画です。前半と後半で話がガラリと変わる超展開。しかし、それが功を奏しているとは思えない支離滅裂な内容でした。ネタバレあり。
―2014年製作 台 95分―
解説と予告・スタッフとキャスト
解説:ゾンビが蔓延する高層ビル内で繰り広げられるサバイバルを描いたアクションホラー。ある高層マンションでドラッグの売買が行われ、そのドラッグによるゾンビ化が蔓延していた。ジェニーはボーイフレンドを殺されるが、特殊部隊のアンディと逃げ出し…。【スタッフ&キャスト】監督:ジョー・チエン 製作:ゴードン・チャン スタント:フィリップ・ン 特殊効果・出演:アンドリュー・リン 出演:アンディ・オン/ジェシカ・キャンベンシー/マイケル・ウォン/テレンス・イン(KINENOTE)
(YouTube ムービー)
監督:ジョー・チエン
出演:アンドリュー・リン/アンディ・オン/ジェシカ・キャンベンシー/マイケル・ウォン/テレンス・イン
人が多すぎてどれが主要人物かわからん
台湾の台北(たぶん)のマンション。犯罪組織みたいのが薬の取り引きみたいのしてたり、ラッパーみたいなのの新曲リリースパーティがあったり、ある教師の家族のパーティに知り合いの女たちが訪れていたり、普通に生活している人だったり、犯罪組織を摘発しにきた警官隊だったり、いろんな人間がマンションにいる。
で、その中にゾンビになっちゃう薬物を服用した人たちがいて、マンション内は瞬く間にゾンビ地獄と化す。その勢いで、台北(たぶん)市内へゾンビ化が蔓延し、阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられる話。だと思う…と心もとないのは、人が多すぎてゴチャゴチャ場面が変わるために、誰が何をやってんのか把握できないまま話が進んで行っちゃうからだ。
ゾンビを殴り倒す(笑)
とは言え、マンション内のゾンビ地獄の状況は勢いもあってなかなかすごい。格闘演技ができる香港の俳優アンディ・オンが体術でゾンビと戦っちゃうシーンがあって、これはこれで俺が観たことあるゾンビ映画の演出の中では覚えのない、珍しい部分でよかった。格闘家対ゾンビですな。
でも、やっぱりわけわからんし、全体的には面白くはない(笑)。いろんな人の群像劇を描写してはいるものの、中途半端すぎてそれぞれの描き方に何の感情も湧き起こらんし、支離滅裂なんである。
で、アンディ・オンとギャアギャアうるさい女の子はいろいろあってマンションから脱出するんだけども、そこでなぜかヘンテコな解説が入る。
後半は世紀末的超展開(笑)
それによると、時間がいきなり1年経過したことになってて、マンションにいた1人、教師だった男が娘がゾンビ化したことで悪人になり、地下に潜んで生き残った人間を奴隷化しているという超展開(笑)。そこにアンディ・オンとうるさい女の子も幽閉されている。
で、生き残りの奴隷たちと一緒に、ゾンビと無理やり死闘ゲームをさせられて、それを高みの見物してるのが、悪人になった先生一味という(笑)。ホントに支離滅裂。しかもこの先生、ゾンビになった娘を檻に入れて生かしている。なんでも、彼女をどうにかして元の姿に戻してやりたいらしい。だったら、何か施設をつくって実験的なことをしてたりするんだろうかと思いきや、やっていることはタダの奴隷遊びという。何がしたいのか意味がわからん。
しかもこの悪人先生が囲っている美女たちは、なぜかみんな黒のボンテージ姿。どういう趣味なんだよ(笑)。アンディのほうは、自分と同じく幽閉されてる奴隷たちに向かって、力を合わせて戦うんだ! とか呼びかけておきながら、単なる見世物としての戦いしかできてない。奴隷同士で現状を打開しようと話し合いもせずに、支給されたイモを他の奴隷と奪い合って食べたり、壁になんか落書きをしているだけ(笑)。
物語のまとめ方が支離滅裂
ラスト、そのアンディと見世物で戦わせられている奴との戦闘で、アンディはいつの間にかゾンビに噛まれていた。そして、うるさい女の子とか、他の奴隷を檻から解放してやり、自分は噛まれたから檻の中に。で、うるさい女の子と「おまんは逃げろ、俺はゾンビになるから残る」みたいな申し訳程度のありがちなお涙頂戴シーンを繰り広げる。
うるさい女の子はその後、地上に逃げるのかと思いきや、なぜか悪人先生の部屋へ。すると、悪人先生の背後からゾンビ化した娘が今さら襲いかかり、先生の首に噛み付いちゃう。びっくりした先生は手にしていた銃を撃っちゃう。そしたら、たまたま近くにいた側近ボンテージ女にあたって、そいつは死ぬ。
誰もいなくなったので、うるさい女の子は一人で地上に逃げるのである。わけがわからん(笑)。ボンテージ女は他にも何人かいたんだが、彼女らはどこへ行ったのか? ラストのラスト。ゾンビ化したアンディも地上に出てきて、うろちょろ歩いているシーンで劇終。
目的を果たそうとしない登場人物たち
なんなんですかね、この映画。つまらない要因をいろいろ考えてみたんだが、思い当たる節が多すぎる。そもそも、後半のトンデモ展開に持っていきたいのだったら、前半のマンションのシーンをあんな長々とややこしく描く必要はないのではないか。
むしろ、前半のあのマンションを物語の全てにしておけば、アンディとうるさい女の子は何とか外に脱出しようとする――という明確な目的があるわけだから、スッキリとした話に落ち着いたような気が。
で、後半はのほうは、悪人先生にもアンディにもそれぞれ目的はある。先生は娘を人間に戻したい。アンディたちは奴隷状況から脱出したい――にも関わらず、それぞれがその目的に向かって何かをするわけでもなくダラダラと行動しているために、鑑賞しているほうも登場人物たちの行動の意味がよくわからなくって、戸惑ってしまうのである。
ラストの描き方も、なんか偶然に頼った終わり方で、ちっとも爽快感がない。アンディがゾンビになろうがなるまいがそんなんはどうでもよくて、せっかく手かせ足かせのない状況になれたんだから、あのまま特攻して悪人先生を倒しに行って暴れまくってくれたほうが、全然面白かったと思うんだけど、なぜそうしなかったんだろう。
作り手側が勢いで撮ってみたものの、終わらせ方がわからんくなって途中で放り投げちゃったような印象を覚える、めちゃくちゃな内容だった。というわけで、またしてもヘンテコなゾンビ映画を観てしまったのである。
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