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映画『パッセンジャー(2017)』ネタバレ感想 ラストの選択が・・・

パッセンジャー
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パッセンジャー(2017)

主人公2人が選択するいろいろのことに対して、鑑賞者はいろいろの感情を抱くだろう。だけど、自分がマジでその立場に置かれてみて、真の意味で当事者にならん限り、どういう選択をするのか、自分でもさっぱりわからなくないですかね? ネタバレあり。

―2017年公開 米 116分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:宇宙船内で極限状態に置かれた男女の運命を映し出すSFロマン。乗客5000人を乗せた宇宙船が新たな居住地を目指し地球を出発。到着まで120年。乗客は冬眠装置で眠っていたが、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが90年も早く目覚めてしまう。以下略(KINENOTE)

あらすじ:20××年。新たなる居住地を目指す“人類移住プロジェクト”として、5000人の乗客<パッセンジャー>を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が地球を出発。目的地の惑星到着まで120年、冬眠装置で眠る安全な旅であった。だが乗客の中で、なぜか二人の男女だけが90年も早く目覚めてしまう……。以下略(KINENOTE)

監督:モルテン・ティルドゥム
脚本 ジョン・スペイツ
出演:ジェニファー・ローレンス/クリス・プラット/マイケル・シーン/ローレンス・フィッシュバーン

事の善悪の判断って誰ができるの?

男のほうの主人公ジムが、自分の孤独に耐えられなかったのと、恋心を抱いちゃったという理由で女主人公のオーロラを冷凍睡眠装置から故意に起こしちゃう。そのジムの選択に、倫理的観点から賛否両論ある作品らしい。

まぁ確かに、ジムのやったことは殺人とも言えますわな。オーロラは気の毒だ。それはわかる。でもむしろ、俺は後半にオーロラがジムと添い遂げる覚悟を決めて、共に生きました・・・という最後の展開のほうにヌルさを覚え、ジムの選択のほうをリアルに感じてしまった。

だってさぁ、親が子どもを生むじゃない。それって、必ず死ぬ命を、承知のうえでつくってるという意味では、殺人と言えないかね? 屁理屈だろうか・・・。ジムがやっていることは子どもを生むことではないけども、自分の望みのためにやっているという意味では、やっていることはあまり変わらないような気がするんだが。まぁ子どもは死ぬことを知らずに生まれてくるので、比較にはならないとは思うけども。

あの2人は最後まで添い遂げられるのだろうか

てなことで、ローレンス・フィッシュバーン扮する、アヴァロン号のクルーの人が登場してからラストまでの展開に、個人的にはチョイとガッカリしたのである。

どこに最もガッカリしたかというと、本当に最後の最後のところ、オーロラがジムと宇宙船の中で生き続ける選択をしていたという、最後のあれですよ。行為そのものは素晴らしいし、俺がジムだったら喜ぶだろう。喜ぶと思います。でもなんかなぁ。どうしてオーロラがああいう選択ができたのかが、どうにも腑に落ちない。

オーロラは「あなたなしでは生きていけない」と終盤のほうでジムに言うシーンがある。あれはわかるんです。わかります。でもあの時点でのオーロラは宇宙船の中で、死ぬまで生き続けなければならないという選択肢しかない状態。そういう状態を踏まえての、ジムへのあの言葉なのだ。

でも、あの後、ジムはクルーの使ってた睡眠装置を使えば、オーロラは目的地に死なずにつけるという、当初の彼女が望んでいた選択肢を与えるのである。それを観た俺は、どう考えても彼女はそっちを選ぶと思っていた。なんか、これまでの流れからみた彼女の性格からすると、そっちを選ぶと思ったのだ。でも、そうはならなかった。

もちろん、あのラストのほうが「オーロラはええ素敵な娘やなぁ」と心がほっこりして鑑賞を終えられなくもないんだが、やっぱガッカリ感のが強いのである。むしろ、いろいろ葛藤をするものの、本来自分の望んでいたルートへ戻る道をくれたジムに感謝をしつつ、非情の決断をするほうが彼女にとっては自然なような気がした。

そもそも、2人きりで何十年も過ごしてたら、殺し合いになるくらい結局は憎みあってしまう可能性も多分にあるのが男女の仲のような気がするのだが。オーロラはそれを考えずにあの選択をするような人間には、俺には見えんかった。

結局、その立場にならんと何を選ぶかわからん

こうやって感想を書いてきて、今ふと思ったのは、主人公2人が選択するいろいろのことに対して、鑑賞者は善悪を基準とした様々な感情が湧くだろう。だけど、自分がマジでその立場に置かれてみて、真の意味で当事者にならん限り、あの場においてどういう選択をするか、自分でもさっぱりわからなくないですかね?

少なくとも俺は、今時点で選びたいことは言えるけども、実際にその立場になったらそれを選ぶのかどうか、自信が全くない。わからん。つまり、上記までの感想は、客観的な安全な立場でこそ、ああだこうだ言えることでもあるわけだ。

そもそも、いろいろと想像をめぐらせるに、自分だったら、この作品出てくる人たちのような境遇には絶対陥りたくない。それ以前に、宇宙とか怖すぎて行きたくないし、冷凍睡眠とか、失敗して2度と目が覚めなかったらどうすんだYO! と思ってしまうくらいチキン野郎なので(笑)。

突っ込みどころはたくさんある

で、この巨大宇宙船。すごい設備だけど、根本的な危機管理が全くできてないでしょ。惑星開拓団の輸送みたいなビジネスで巨万の富を築いている会社の船らしいけど、よく考えたら酷いよね。

だって、その会社に雇われているはずのクルーが全員、客と一緒に寝ちゃってるんだよ。アホか(笑)。普通は何かの事故とかトラブル(現にこの作品ではそれらが起きている)を想定して、ローテーション制かなんかで誰かが起きて船内の安全確保をする体制にしておくのが普通だろ。

という意味で、そもそものシチュエーションからしてこの映画の話って有り得ないと思うぞ。自分の寿命より長い時間かけて眠り続けて目的地を目指している間、何かが起こっても誰も安全を保障してくれない会社に運賃を払うとか、そんなリスキーなことする客がいるかっての。

ジムはある意味では被害者なんだから、この会社を相手取るべきだ。

まぁそこを突っ込んだら終わりなんだけども。

いいところもたくさんある

いっぽうで、この映画がよいと思えたところは、心の通じ合わない他人がたくさんいる世界って、実は俺にとってすごく居心地のよい場所で、ありがたい環境なんだよなぁと思い出させてくれるところである。

あと、個人的に最もいいなぁと思ったシーンは、オーロラが船のトラブルで、無重力になっちゃったプールで溺れかけるところ(笑)。水を使ったああいう描写って初めて観たもんで、新鮮だった。あと、あのシーンのジェニファー・ローレンスに、むちょ色気を感じたのである(変態)。

ちなみに、オーロラが着る衣装は宇宙時代を感じさせるような、洗練されたカッコよくもセクシーなデザインのものが多くて、そこもなかなかよいと思いました。

てなことで、突っ込みどころも多かったけど、それなりに示唆的な部分も多いので、最後まで楽しく観られる佳作だと思います。観た人によって、主人公たちがする選択への解釈や意見がそれぞれ異なるだろうところも、おススメポイントってことでしょうね。

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