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映画『メッセンジャー(2017)』ネタバレ感想 地味な展開に眠くなるSF

メッセンジャー
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メッセンジャー(2017)

パッケージのあおり文句にホイホイ食いついて鑑賞してみると、あれまぁ、これは酷い。全編通して睡魔と戦わざるを得ない眠気増幅作品であった。で、あの球体はいったいなんだったのだろうか。ネタバレあり。

―2017年製作 米 103分―

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スタッフとキャスト・解説とあらすじ

解説:宇宙空間でたったひとり、10年間に及ぶミッションを任された男の姿を描くSFスリラー。近未来のアメリカ。太陽系から発信される謎の電波を調査することになったロジャー大尉は、地球を立って542日目、遂に最初の目的地・タイタンへ接近するが…。(KINENOTE)

あらすじ:近未来のアメリカ。NASAは土星の衛星タイタンから発せられた電波を受信した。
さらに類似の2種類の電波が海王星周辺からも発信されていることを確認。3つの電波の周波数を組み合わせると和音となることを発見し、何者かが意図的に作り出したものであると考え、国防省はロジャー・ネルソン大尉に調査を命じる。タイタンさらに海王星の衛星トリトン、準惑星エリスをめぐり発信源を回収して帰還する10年にも及ぶ極秘任務に妻アビゲイルは反対するが、人類史上最初の地球外生命体との接触の可能性もあるこのミッションをロジャーは受け入れる。地球を発って542日目、ついに最初の目的地タイタンへ接近するが、そこで待ち受けていたのは人類の想像を絶する光景だった…(AMAZON)

監督・脚本・製作・編集:ロブ・ヨーク
出演:ブランドン・レイ・オリーヴ/K・ダナー・ジェラルド/ホイットニー・パルマー/D・L・ウォーカー

一人で臨むミッションではないような

地味に淡々と話が展開されるため、眠くて仕方ない作品であった。しかも、宇宙船内のつくりがチープだし、合成映像みたいな古臭く感じるCGとか本当に今年撮られた映画なのかを疑っちゃう安っぽさ。

内容はどうかというと、そもそもなんでこんな一大プロジェクトに送り込まれる人が1人なんだよ。もっと優秀な人間を複数集めて複数で挑むべきミッションだと思うのだが。予算が足りないのか、中国との競争のために急がなきゃならんかったのかは知らんけども、主人公一人って。

主人公は探究心の塊

まぁでも、そこはいいとする。主人公はよっぽど有能なんだろう。一人でなんとかしちゃうんだろう。確かに彼は、3つの目的地でやるべきことをきちんと果たしている。しかも、孤独な宇宙空間で何とか理性を保っている。という意味では有能だ。でも、なんかこいつ、手前勝手すぎないか? 球体に触るなとか言われてんのに、単なる好奇心から素手で触っちゃったりするんだよ。危ないし、貴重なサンプルなのにそんなことしちゃあかんだろ。

この主人公は探究心とか好奇心が強い人間なんだろう。それはわかるし、いいことだ。じゃないとたった一人で宇宙に出向くなんてできるわけがない。俺は絶対無理。宇宙飛行士になれるかなれないかとかそういうのおいといて、マジで宇宙に一人とか無理。怖すぎ。

という個人的話はおいておいて、この主人公、ロジャーはそういうの大丈夫。行きたいの、宇宙へ。だから、奥さんいるんだけども、このミッションに参加するかどうかを聞かれて二つ返事でオッケーしちゃう。

残された奥さんが気の毒

で、奥さんを説得する。なんと、往復で10年もかかっちゃうプロジェクトだそうで、それだけの間、地球に帰って来られないんだそうだ。でも、奥さんに、「俺は行きたい」という。奥さんはなかなか物分かりがよく、旦那が宇宙に行く夢を持っているのを知っているから理解を示すわけだ。よくできた人ですな。

てなことで、この夫婦はビデオメッセージみたいなもんでしか会話ができない。それを、この作品の中では5年間続けている。5年って。なんか、作品観てると奥さんが気の毒になってくる。せめて子どもくらい残してやればよかったのになぁとか、いつもの俺なら考えないような感想まで持ってしまった。ここからは、ネタバレします。

しかもこの主人公の酷いところは、任務をほぼ完了したのに、勝手に新たなミッションをつくって地球に還らないことを選択するのである。

オイオイオイ

酷いよ君、だったら最初から奥さんと離婚しといてやれよ。そらぁ、最初は10年で戻ってくるつもりだったんだからそんな必要ないんだけども、ラストのほうでいきなり、「君に僕を待つ義務はなくなった」的なことを言い始めて、会話が成り立たないビデオメッセージで一方的に別れを告げるのである。「俺は戻らない」と。人非人である。ゲスである。クズである。

ということで、主人公ロジャーはそういう奴なのである。そういう奴じゃないとこうしたプロジェクトを成功に導けないんだろうなって考えると、確かにそうなんだろう。だったら最初から、その夢をかなえるために頑張ればいいだけで、結婚とかしてんじゃねーよとか思っちゃうんだけども。

ゲスである、クズであると言えばこの作品↓

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あの球体って何なの?

で、結局、ロジャーが手に入れた球体って何なんだろうか。思わせぶりに森の風景やクローズアップされる目玉をみせる描写とか、なぜか船内に奥さんらしき人影が見えるシーンとか、それらの意味が俺には全くわからなかった。

まぁでも、さしたる意味はないんだろうな。ともかく、球体は様々な知的生命のメッセージを傍受するような役割を持っているらしい。そのデータは船内のスーパーコンピュータみたいな奴でも処理するのに膨大な時間がかかるほどの情報量のようだ。

説明が意味不明だったが、球体の傍受している情報は、宇宙誕生のビッグバンから現在までに発信されたものらしく、地球人類の時間概念で考えられるものではないようだ。要するに過去から現在までのありとあらゆる知的生命体たちが発したメッセージを、今、その瞬間に傍受できるようになっているようなのだ。

未知への旅へ出発だ!

で、スーパーコンピューターの説明によると、そうしたメッセージの発信源は3分の1光年先(字幕参照)にある、なんたらかんたら(名前忘れた)という暗闇だが雲のある場所らしい。それを知った主人公は、地球に還らずにそこに向かうことを決意するのだった。その地点にはなんと地球時間で38年かかるらしい…

オイオイオイ

ムリだろ。おまん歳いくつだよ。30代くらいか? 仮に20代後半でも、たどりつくころには70歳近いぞ。仙人じゃあるまいし、寿命尽きちゃうよ。しかも、あの宇宙船ってそんなに燃料ないだろ。というか、食料がそんなにないと思うのだが。アホすぎないか。

ついでにいうと、ロジャーはなんか茶色の粘着質的物質も手に入れてて、これにはDNAが存在することが判明し、彼がめちゃ興奮するシーンがある。だけど、あれって何なんだ? 必要あったのか理解に苦しむ微妙なシーンでした。

物語が終わりエンドロールに入る前に、詩人のT・S・エリオット(確か)の名言が引用される。「探求をやめてはならぬ」的な内容だったが、これみよがしにそんなこと言われてもねぇ。原題の『マゼラン(Magellan)』てのも、大航海時代の探検家のマゼランのことだと思うのだが、なんか腹立つわぁ(笑)。

そういうことを込めた作品なのかもだが、そんなメッセージ性は一切伝わってこない薄い作品であった。

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