イップ・マン 葉問
劇場で『継承』を見て以来、全作再鑑賞したくなり、こないだ『序章』を観たので次は本作。やっぱいいねぇ。ドニー先生はもちろん、サモ・ハンがとてもかっこいい。渋すぎるぜホン師匠。ということで本作の見どころを紹介。ネタバレあり。
―2011年公開 香 109分―
解説とあらすじ、スタッフ・キャスト
解説:香港が世界に誇るアクションスター、ブルース・リーが生涯ただ1人正式に教えを受けた師匠イップ・マンの生涯を描いたアクション映画。イップ・マンを演じるのは「セブンソード」のドニー・イェン。「燃えよデブゴン」のサモ・ハン・キンポーが共演。音楽を「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」の川井憲次が担当。
あらすじ:1950年、英国統治下の香港。イップ・マン(ドニー・イェン)は家族を連れて広東省から移住してくる。知り合いの好意で詠春拳の武館を開くと、若者ウォン(ホァン・シャオミン)や仲間たちが入門してきた。だが香港に存在する様々な門派の武館の元締め、洪拳の師範ホン(サモ・ハン・キンポー)がイップの前に立ち塞がる。中華料理店の不安定な円卓の上に立って、各門派の師範たちと戦うこと。それがホンがイップに課した武館開設の掟だった。ひとり、またひとりと相手を倒していくイップ。最後に彼の前に立ち塞がったのはホンだった。2人の死闘には最後まで勝負がつかず、ホンは金を納めることを条件に武館開設を認めるが、イップはそれを拒否。やがてホンの弟子たちとウォンたちが乱闘騒ぎを起こし、イップは武館閉鎖に追い込まれてしまう。自分を責めるウォンに“争わぬために闘う”という武術の心得を語るのだった。イップは、師範たちから集めた金を警察署長への賄賂に使っていたホンと再び相まみえることに。だが、挑みかかるホンのキックが、偶然彼の幼い息子に命中するかと思われたその瞬間。子供をさっと抱き上げたイップは言った。“勝負の決着より大切なものがあるのでは?”イップを認めたホンは、警察署長主催のボクシング大会に彼を招く。だがそのボクシング大会の会場で事件は起こった。試合後、イギリス人ボクサー、ツイスター(ダーレン・シャラヴィ)が中国武術を侮辱。リングに上がったホンが彼のパンチの前に壮絶な最期を遂げたのだ。人々の怒りは収まらず、警察署長はツイスターが中国武術家を倒す場面を公に見せつけて混乱を収めようと、新たに武術大会の開催を決める。イップ・マンは中国武術の誇りを守るため、人としての尊厳を守るため、静かに死闘のリングへと進み出る……。
監督:ウィルソン・イップ アクション監督:サモ・ハン・キンポー
出演:ドニー・イェン/サモ・ハン・キンポー/ホァン・シャオミン/サイモン・ヤム
まずは序盤の乱戦シーン
ストーリーはおいといて、前作よりも格闘シーンがパワーアップ、随所に見どころがある作品だ。
まずは弟子を助けに行くイップ師匠。このエピソードの前に弟子から、「10人の敵に囲まれたらどうする?」と聞かれたイップ師匠は「逃げるさ」と答えるんだけども、このシーンでは10人以上の敵に対して弟子を守りつつも鬼人のような強さを見せつける。
「降りかかる火の粉は払わねばならぬ」てな感じに悠然とした構えで相手を迎え撃つイップ師匠。すごいのは、相手の攻撃は全てさばききり、大けがを負わない程度に敵に攻撃を加えるところだ。あれって、かなりの実力差があるからこそできることだ。しかも、あの人数に対してである。
そして死地を脱出。無益な血は流さずに相手を沈黙させてまう。さすが達人である。惚れ惚れする強さでありカッコよさである。バカ弟子はこの後も騒ぎを起こすわけだが、もう少し師匠の言動から学べよ、と思ってしまいますな。
サモ・ハン師匠が登場!
本作で香港に移ってきたイップ師匠は武館を開くわけだけど、実はこの地域で弟子を取るには、武館の連盟というか組合というか、まぁ業界団体みたいなのの許可が必要なんである。そのリーダーがサモ・ハン扮するホン師匠。
金がないから武館を運営するしかないイップ師匠は、許可を取るためにホン師匠の言に従い、他の武館の師匠たちと試合をして実力を証明してみせることに。このバトルがまたすごい。
木の椅子の上に円卓を置いて、その上に対戦者同士が乗って、バランスの悪い中で戦うのである。他流派の師匠2人をなんなくあしらったイップ師匠。次は誰だ? と構えても、他の師匠たち腰がひけちゃっている。そらそうだ。勝てないもん。恥かくだけ。そこで出てくるのがホン師匠! 俺がやってやるとばかりに、その巨体からは想像もできぬ跳躍力を駆使して円卓の上に。
激熱バトルシーン!
ここからの戦いのシーンはほんとにすごいから、ここだけでもぜひ観るべき。たぶん、youtubeとかで観られるはず。決着がつかないところが、またいいんだよねぇ。
てなことで、その腕前を認められたイップ師匠は晴れて武館を開くのだが、ホン師匠の嫌がらせにあって武館として借りていた敷地から出ていかざるを得なくなる。嫌な奴! と思うんだけど、このホン師匠、実はそれほど嫌な人ではないのだ。
居丈高で確かに印象は悪いんだけども、彼はイギリス人の統治する当時の香港において、中国武術がきちんと伝承されるために、みんなで組織をつくって頑張っている人なんである。で、自分が代表していろいろと警察に便宜を図ってもらっているらしい。しかし、この警察署長のイギリス人が嫌な奴で、やくざみたいに金を搾取することしか考えていない。
で、署長が主催する武術大会でも顎で使われちゃうからホン師匠ブチ切れ。中国武術をバカにするな! てな感じで激昂し、イギリス人ボクサーのツイスター氏と試合をすることになるんである。
お見事でした、ホン師匠~(泣)
実はここんところで、借りてきたDVDが動かなくなってしまい、再び動き出した時はホン師匠がリングにはいつくばっていた(笑)。
オイオイオイオイ
その過程が観たかったんだよ、俺は。と思うものの、何回ためしてもちゃんとシーンが流れてくれないので、ダウンからホン師匠が立ちあがり、何とか頑張るものの持病もあってボコボコにされてまう哀しいシーンから、泣く泣く続きを観る羽目に(笑)。
確か、序盤はけっこういい勝負をしてたと思うんだけど、病気に侵されているせいで次第に劣勢になるんじゃなかったっけ? 違う? この作品のサモ・ハンすごくかっこよくて好きなので、だいぶ思い出補正かかってるかも(笑)。
てなことで、イギリス人にぼこぼこにされてしまったホン師匠は、絶命しちゃうのである…。ちくしょう。
で、いろいろあって、イップ師匠が中国武術の誇りのために、仇討を申し出るのだ! やっちまいな!
※後日アマゾンの配信で見直したら、持病もあるんだろうけど、単に加齢によるスタミナ不足が敗因と思われた。
こいつ、タイソンより強くね?
にしても、このツイスターというイギリス人ボクサー。体重どのくらいなんだろうか? イップ師匠と比べると身長も高いので、ミドル級くらい? 少なくともウェルター級くらいはありそう。要するにイップ師匠とはウェイト差があるのだ。
てことで、このシリーズで類をみないくらいにイップ師匠は大苦戦するのである。『継承』観たから思うんだけど、ツイスターって、マイクタイソンより強くねぇか(笑)。対決シーンの迫力はタイソン戦のほうが言うまでもなくすごいんだが、イップ師匠はタイソンとのウェイト差もなんのその、互角以上に戦っていたからな。しかし、このツイスター戦では勝利シーン以外は終始劣勢に見える。
無理やりこじつけると、このツイスター戦でイップ師匠はボクサーとの戦い方を学んだのだと思いたい。その経験が次作のタイソン戦で大いに活きたのだ(笑)。
ということで、新作になるほど面白くなるこの作品、『継承』を劇場でもう一回観たくなってしまったのである。
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