帝戦 BAD BLOOD
黒社会の跡目争いを描いたサスペンスに、カンフー要素を加えた作品。そんなわけだから、戦闘シーンに銃はほとんど出てこない。みんなひたすら刃物や素手で格闘するのである。その格闘シーン自体はなかなかすごいんだけども、ストーリーに難あり。ネタバレなし。
―2010年製作 香 94分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:香港の黒社会を舞台に、権力をめぐる骨肉の争いを描いたノワールアクション。香港を牛耳る密輸集団のボスが銃殺刑となり、彼の遺書には「全財産を実の姉弟に託す」と書かれていた。納得できない親族と組織内で、遺産とポストをめぐって抗争が勃発し…。(KINENOTE)
あらすじ:香港の黒社会を牛耳る密輸集団のボス・駱祥安が逮捕され、銃殺刑となる。彼の最後を看取り、遺書を託された妹と弁護士。アメリカにいる弟を呼び戻し、一族勢揃いのなかで開封された遺書には「すべての財産を実の弟妹に託す」と書かれていた。一族の面々はそれに納得せず、組織内で遺産とポストを巡った権力抗争が勃発。血で血を洗う親族同士の争いは組織をも巻き込み、修羅場と化す。果たして、この抗争の後に残った者とは…。(amazon)
監督:デニス・ロー
出演:サイモン・ヤム/アンディ・オン/ション・シンシン/バーニス・リウ/ジャン・ルーシャー/ロー・ホイクゥン
ネタバレなし感想
キャストは豪華
サイモン・ヤム、アンディ・オン、ラム・シュー、チョン・シウファイの他、ローホイ・クァンら香港映画ではよく見かける顔ぶれが出ている。なかなか豪華なキャストだ。
格闘は楽しめる
格闘シーンは1対1や、1対大人数とか、武器使ったり、素手だったり、対戦者の組み合わせもいろいろなんで、なかなか楽しめる。出演者の多くに格闘演技の素養があるから、サイモン・ヤムを除いた戦闘描写は攻撃にキレがあるし、迫力もある。あるけども、シチュエーションや戦いの展開そのものに目新しさがないのも確か。とはいえ、面白くは観られる。ロー・ホイクゥン=慮恵光(『酔拳2』の超絶足技の人)が格闘しているの、久しぶりに観られたし。
だがストーリーに難あり
警察なんで出てこない?
ただ、ストーリーがねぇ。あんなに堂々と殺人をたくさんしていたら、警察が介入してくると思うんだよなぁ。弁護士は雇っているのに、警察が出てこないって変でないか? まぁ、そんなん突っ込んだら話が成り立たないのはわかるけどさ。
冒頭の珍走劇
あと、冒頭の逃亡劇。唐突に始まるあれは何なんだ? この物語で描かれる組織ってけっこう大きいと思うんだが。屋敷の外でブラブラ歩いてる奴らは構成員のように見えるし。
なのに冒頭のシーン、組織のボスと幹部が大事な品を抱えて警察から逃げているという。何か金目のものを盗んだから警察に追われていたんだと思われる(たぶん)。でも、盗みなんて下っ端にやらせろとはいわずとも、幹部全員でやるようなヤマだろうか。
冒頭は彼らの立ち位置がよくわからんので、単なるチンピラの犯罪集団なのかと思っていたら、物語が続くにつれて全員が組織の幹部だったとわかってくる。となると、あのドタバタ劇は、単なる珍走であったとしか思えなくなっちゃうのであった。
てなことで、その他にも強引に思えるシーンがたくさんあるし、大した意味もなさそうなシーンでなぜか長回しする意味不明箇所も散見されるし、実にへんてこな映画である。
なぜか『ドラゴン特攻隊』を思い出した
そして、なぜかわからんが本作を観ていたら、『ドラゴン特攻隊』を思い出した。子どもの頃、ジャッキーが出演していると知ってレンタルし、ワクワクしながら鑑賞したら、泣きそうなくらいつまらなかったことを覚えている。内容は忘れた(笑)。
良作なカンフー映画はストーリーもしっかりしている
ついでにもう1つ、俺は香港のカンフー映画にはしっかりとしたストーリーはあまり期待していないんだけど、この作品を観たことで、『イップ・マン』シリーズのすごさを改めて感じた。ついでに『酔拳2』の感想では、同作品のストーリーにはあまり期待するな的なことを書いたが、十分ストーリーもよいのである。本作と比較すれば(笑)。
つまり何が言いたいかというと、カンフー映画として優れた作品て、実はストーリーもしっかりしているということ。よく考えたら当たり前のことだ。だから、上記の作品などの感想記事って、自分のバカをさらしてるなぁと思ったのである。直さないけど。
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