生き残るための3つの取引
非常に面白く観たが、スッキリというよりはズ~ンとくるラストだし、出てくる人がムカつくやつらばっかりなので、万人におすすめできるような内容ではないかも。ネタバレは少なめで、結局は何が語られている話だったのか、自分なりの考えを述べます。
―2011年 韓 119分―
解説とあらすじ
解説:家族や仲間のために始めたひとつの取引から、泥沼にはまりこんでいく刑事の姿を描くクライム・サスペンス。監督は「相棒 シティ・オブ・バイオレンス」のリュ・スンワン。出演は「オガムド 五感度」のファン・ジョンミン、「クライング・フィスト」のリュ・スンボム、「黒く濁る村」のユ・へジン。(KINENOTE)
あらすじ:全国民に衝撃を与えた女児連続殺人事件。警察は検挙に失敗、被害者は増える一方だった。ついには大統領までが事件に直接介入するが、警察は有力容疑者を誤って射殺。上層部はその事実をもみ消そうと犯人をでっち上げ、事件を終わらせようとしていた……。警察庁の広域捜査隊チェ・チョルギ(ファン・ジョンミン)は、優秀だが学歴がないという理由で昇進できずにいた。二人きりで生きてきた妹の亭主は定職に就かず、夜ごと遊んで浪費するばかり。その義弟が、建設会社から多額の現金を受け取っていたことが警察内部で発覚、チョルギは身分証を剥奪される。その夜、上司から昇進を条件に女児連続殺人事件の犯人でっちあげを命じられたチョルギは、家族や仲間を考え悩んだ末、前科者の中からイ・ドンソクを容疑者役として選びだし、裏組織の男、新興建設会社社長チャン・ソック(ユ・へジン)に、3日以内に犯人に仕立てあげるよう取引を持ちかける。一方、検事のチュ・ヤン(リュ・スンボム)は、資金提供を受ける不動産業界の大御所、キム会長が不正入札の件でチョルギに拘束されたことをきっかけに、チョルギの背後を探り始めていた。キム会長が拘束されている間に入札で漁父の利を得たチャン・ソックとチョルギの関係を疑い始めたのだ。だがその一週間後、キム会長がゴルフ場で殺され、チュ・ヤンのもとにキム会長との癒着の証拠となる写真が送られてくる。チャン・ソックの脅しだった。だがチュ・ヤンは、担当となった女児連続殺人事件を調査する過程で、チョルギとチャン・ソックの間にある取引が存在し、イ・ドンソクがでっちあげられた犯人であることを見抜く。チュ・ヤンは、懇意にしている新聞記者を使って警察による犯人捏造をほのめかす記事を書かせる。記事に激怒したチョルギは、チュ・ヤンとキム会長の癒着をネタに脅しをかけるが、反対にチャン・ソックとの関係や犯人捏造を指摘され、チュ・ヤンに追いつめられていく……。(KINENOTE)
予告動画とスタッフ・キャスト
(moviewalkerkmtg)
監督:リュ・スンワン
出演:ファン・ジョンミン/リュ・スンボム/ユ・ヘジン/チョン・ホジン/マ・ドンソク/チョン・マンシク/パク・ソヨン/イ・ソンミン
韓国映画に出てくる権力者たちはみんな、人間ではない(笑)
韓国の映画に出てくる検察と警察って何でこんなに糞組織なんだろう? 俺がそういう映画を観てばっかいるからだろうか(笑)。あと、経営者も政治家も、名誉や権力だの金だのを有している奴らが本当に糞。どいつもこいつも他人のことなんて考えてなくて、自分本位。しかもやたらと偉そうだし高圧的なのである。
こいつらの働くこと(働いているようには見えないが)の目的と喜びは、金と権力を得ること。そして、その過程で味わい尽くすのが性欲と物欲と食欲。つまり、清々しいほどに糞野郎しか出てこない。
本当に目的がそれしかないから、働いているように見えない。そして実際、働いていないのである。一般的に言われるそいつらの職業でやることを、何もしていないのだ。でも、きちんと金が集まっていい思いをしてるんだから、見ているほうとしては呆れるしムカつくし、世の不条理を感じずにはいられない。
チェ・チョルギは頑張っていたのだが
管理者として上にいる奴らはそんなんばっか、いろいろ頑張る現場の人間は直情的で想像力のない馬鹿ばっか。そらぁ酷いことばかり起こる映画になるわな。本作でも、そんな奴らの間でいろいろ頑張っていたのが、本作のファン・ジョン・ミンが扮するチェ・チョルギであった。
ちなみに、もう1人の主人公的な役割のチュ・ヤンはどちらかというと権力側の人間なので、それほど板挟みにはならない。なっても踏ん反り返ってる。こいつ、すげぇ嫌な奴であった。というか、この映画には普通に生きている人間にしてみれば、共感できそうな奴なんてほぼ出てこないのである。
なかなかツライ結末だ
てなことで、ブラックな映画ですねぇ。チェは学歴はないけど、刑事として有能な部分もあったから、連続殺人の担当にされたわけじゃん? それなのに、犯人をでっち上げる。それで泥沼にはまっていく。だけど、最初から自分の能力と彼を慕っていた部下たちを使えば、真犯人を捕まえられたんじゃないかね。
そうする選択肢はなかったんだろうか。何で最初からでっち上げるための動きしかしなかったのか、俺にはようわからんかった。で、そんなに深く考えずに選んだでっち上げの対象が、結局は真犯人だったというところは何とも皮肉な話だ。
慣れないことで大勝負はしないほうがいいという話
やっぱねぇ、人間慣れないこと、自分の信条とかけ離れたことはするもんじゃないよ。チェはいつもどおり、自分の能力を使って捜査をしてればよかったんだ。そうではないことをしたから、ああなっちゃうんだ。
だって、いつも通りのことをしている糞どもはみんな、ラストを見ればわかるように、いつも通りの生活に戻っていくでしょ? ということで、胸糞悪いなぁと思いつつも、非常に面白く観られる作品だった。
しかし、こういう作品を体験することで、自分はいったい何を楽しんでいるのか、実はよくわからないのである。そういうこともこれからは考えていこうと思った作品です。
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