フィフス・ウェイブ
この手のどうしようもない作品も嫌いではないので、最後まである意味では楽しみながら観た。同じように、残念映画を観て突っ込むのが大好きな人は、楽しめるんではなかろうか。怒りを感じるほど酷い映画ではない(もちろん個人的主観)と思う。なぜ楽しめたのかを、考えてみたい。ネタバレあり。
―2016年 米 112分―
解説:ベストセラーSF小説をクロエ・グレース・モレッツ主演で映画化。“アザーズ”と呼ばれる地球外知的生命体の4度にわたる攻撃で人類の99%が死滅した地球。女子高生キャシーは、敵の襲撃に怯えながらも離ればなれになった弟の救出に向かう。共演は「ジュラシック・ワールド」のニック・ロビンソン、「死霊館」のロン・リヴィングストン、「ディアブロ 悪魔生誕」のアレックス・ロウ、「完全なるチェックメイト」のリーヴ・シュレイバー。脚本を「エリン・ブロコビッチ」のスザンナ・グラント、監督を「アリス・クリードの失踪」のJ・ブレイクソンが担当。プロデューサーに「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイアが名を連ねている。(KINENOTE)
あらすじ:第1の波=暗黒、第2の波=崩壊、第3の波=感染、第4の波=侵略……。圧倒的知能を持つ生命体<アザーズ>により4度にわたる攻撃を受け、人類の99%が死滅。地球はほぼ壊滅状態となっていた。そんな中、生き残った女子高生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は、離ればなれになってしまった弟を救うため、子供たちが拉致された基地へと向かう。だが<アザーズ>は人間に紛れ込み、誰が敵なのか味方なのか分からない。そんな末期的な状況の中、旅の途中でキャシーはある男性に命を助けられる。キャシーは彼に惹かれながらも心から信頼できないまま、ともに基地を目指すのだった。人類滅亡を意味する第5の波≪フィフス・ウェイブ≫が来る前に、人類は<アザーズ>を見抜き、彼らの目的を阻止できるのか……。(KINENOTE)
監督:J・ブレイクソン
出演:クロエ・グレース・モレッツ/ニック・ロビンソン/マリア・ベロ/リーヴ・シュレイバー
見所はなんだったのか
この映画の見所はなんだろうか。ずいぶん大人っぽくなったクロエ・グレース・モレッツを鑑賞する映画だろうか。彼女が好きな人にとっては、なかなか可愛く撮れているので楽しめるのかも。しかし、俺は別に彼女に思い入れはない。でも、それなりに楽しく観た。何でだろうか。
この作品の推進力となっているのは、主人公のクロエ・グレース・モレッツ(キャシー)が弟のサムを助けたいと頑張る行動力にある。だから、基地に連れて行かれた弟に再会するため、彼女はなかなかの冒険をする。これが恐らく、物語の軸だろう。軸であるのはいいのだが、これだけの要素では別に楽しそうにも思わない。
侵略者たちの恐怖を描いている?
では他の要素が楽しかったということだろうか。この映画ではプラスして、宇宙からの侵略者たちがいかにして人類を淘汰しようとしているかも描かれる。宇宙人の作戦は第五波にまで及ぶ。確か第一から第四までが、地震と津波と鳥インフルエンザと・・・。あとなんだっけ? 電磁パルスによる攻撃か? たぶんそうだったと思う。
第四波までの攻撃を繰り返すだけで充分だと思うのに、なぜか一番面倒くさそうな、人類に寄生する攻撃の第五波が恐ろしいことっぽく描かれている。なぜそんな地味なことをコツコツやる必要があるんだろうか。物語の中では、「ゴキブリみたいに生命力が強い種類の人間はそうやって淘汰される」的な説明がある。
つまり、か弱い人たちは、地震やらウィルスとかに耐え切れず死んでしまうんだと。それでも生き残った奴らには、寄生された人間とそうでない人間が殺しあうように仕向けるという戦略のようだ。説明にはなっていると思うが、なんかなぁ。
ちなみに、第何波かの電磁パルス攻撃で人類は電気や車などの科学技術を使えなくなっている。しかし、序盤のほうでなぜか軍人たちが車に乗ってやってくるのだ。そして、彼らの基地も稼動しているとか。そこで普通の人間だったら、どうして軍が車や電気が使えるのか質問するだろう。でも、誰も不思議に思わないのか、突っ込まないのである。
これ、その後の展開で軍人たちが寄生された奴らで人間ではないことが判明する。だから、電気を使えたのだ。人間ではないから。しかし、おかしいだろ。突っ込むし怪しいと思うだろ、説明してくれなかったら。
あと、人類に寄生した奴らには母体がいる的な話が途中で出てくる。でも、母体は作品中には出てきません。あのデカイ宇宙船の中には、母体がいたんだろうか。よくわからん。わけわからん。
若者の恋愛模様も描いている?
あとは、若い男女の恋愛? というか主人公の処女喪失(すでに経験はしてるのかも)の物語も散りばめられております。背景を深く描かないから、あってもなくてもどうでもいいエピソードです。キャシーに味方して彼女とのセックスに漕ぎ着けた半分人間・半分宇宙人の兄ちゃんの描写も適当すぎだし、キャシーが片思いしてた相手が「ゾンビ」と呼ばれる存在になっていること、そして彼が何かのキーになるのかと思いきや、「ゾンビ」になったことにさしたる意味はないという適当さ。
しかもこの両名とキャシーが邂逅する場面。半分の兄ちゃんはキャシーをゾンビにとられたくないと思ったのか、「こいつは俺の女だ」と言わんばかりにゾンビの目の前でキャシーに接吻をする。そしてカッコイイと思われるセリフを述べて死地に向かうのだ。
俺は彼、ラストで姿を現すのかと思った。だが、彼は二度と姿を現さない。死んだのか? 死んだの? キャシーはゾンビらと仲良く喋っていて、兄ちゃんのことなんて微塵も気にしていない様子。酷いね。ひどいと思うよ。そんで、とりあえず基地からは脱出したものの、何も解決してない状態で劇終である。
結局何が楽しかったのか自分でもわからん(笑)
ともかくこの作品の駄目なところは、各登場人物の描き方が雑すぎて、それぞれの行動や思いに重みがなさ過ぎるのである。唯一、はっきりと伝わってくるのは、キャシーと弟の姉弟愛であり、その絆の部分だけ。
ということで、どこをどう楽しんだのかと言われると困るが、恐らくこの酷さを楽しんだのだと思いたい。そう考えるしかないのだ(笑)。
その他、異星人との遭遇映画
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