インデペンデンス・デイ リサージェンス
およそ20年前にヒットしたエイリアン侵略物の続編。冒頭こそ若さあふれるフレッシュな登場人物らが活躍するのかと思わせるが、最終的には中年や隠居老人みたいな奴らが異星人撃退の鍵を握る、親父万歳映画に見えた(笑)。ネタバレあり。
―2016年公開 米 120分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:1997年に国内洋画ナンバーワンヒットとなったSF大作「インデペンデンス・デイ」の20年ぶりの続編。人類が地球侵略を目論むエイリアンとの戦いに勝利してから20年。強固な防衛システムを確立した地球に、さらに進化したエイリアンが再び襲来する。前作に引き続き、ローランド・エメリッヒ(「ホワイトハウス・ダウン」)がメガホンを取った。「ハンガー・ゲーム」シリーズのリアム・ヘムズワースのほか、「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」のジェフ・ゴールドブラム、「エージェント・ウルトラ」のビル・プルマンが前作に引き続き出演する。(KINENOTE)
あらすじ:人類がエイリアンとの壮絶な死闘に勝利してから20年。30億の尊い命を失った人類は、新たな襲来に備えるため、エイリアンの宇宙船のテクノロジーを基に、地球防衛システムを構築していた。そして迎えた2016年7月。エイリアンが残した宇宙船が、20年の時を経て密かに覚醒。地球に仲間を呼び寄せるSOS信号を発信し始める。ほどなくして地球に現れたエイリアンは、想像を遥かに超える進化と巨大化を遂げていた。重力すらも自在に操るそのパワーの前に、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ドバイといった世界の主要都市は、なすすべもなく壊滅。敵の猛攻撃に晒され、防衛システムを無力化された人類は、たちまち滅亡の危機に直面する……。(KINENOTE)
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:リアム・ヘムズワース/ジェフ・ゴールドブラム/マイカ・モンロー/ウィリアム・フィクナー/シャルロット・ゲンズブール
若者が活躍するかと思わせておいて、親父映画
ウィル・スミス主演で製作されたエイリアン侵略物の続編。本作ではウィル・スミスが演じた軍人さんは亡くなったことになっていて、その息子が出てくる。それにしてもまぁ酷い内容だ。
ウィルの息子は登場時こそ主役級の扱いだが、目立つのはその冒頭だけで、それ以降はいてもいなくてもどうでもいい立ち位置(笑)。母親は存命中だが、エイリアンの攻撃の最中に命を落としちゃう。でも、息子はさほど哀しみを引きずる様子はない。酷いね。
で、この息子と反目している役目で登場する白人の男性がいる。こいつはなかなか有能みたいだけども、序盤では軍人ぽい仕事はしていない。なのに、なぜかウィルの息子とともに異星人の船に攻撃を仕掛ける時には戦闘機に乗っている。わけがわからん(笑)。
他にも軍人役として可愛い中国人の娘さんなんかも出てくるけど、これら新顔は単なる脇役で、活躍するのは前作の生き残りである大統領とか、ジェフ・ゴールドブラム扮する、何者だか忘れたまま最後まで鑑賞したけど(今作で何者なのかの説明はないw)、前作でウィルと並ぶ主役級の活躍をするオッサン、あとはこいつの親父、さらには前作で研究者っぽい役柄だった長髪のオッサンらである。てことでこの映画は、親父どもが活躍する親父万歳映画である。
謎だったのは20年前の侵略を生き残ったその親父たちの幾人かは、たまに痛そうに頭を抱える描写がある。俺が見逃しているだけなのかもしれないけど、あれって何だったの? 意味がわからんかった。
前作同様、アメリカ万歳映画
散々言われていると思うけども本作は全作同様に、世界規模で危機に陥った人類の中で、対策のイニシアチブを握っているのがアメリカという、アメリカ万歳映画である。その最たる例は、序盤のほうで侵略してきた異星人に対して攻撃をしかけるかどうかについて、各国の首脳と思われる奴らが意見を出し合うところ。なんと、最後の決断はアメリカの大統領にゆだねられるのである。なんでだよ。世界の支配者はアメリカ大統領なのか? アホか。しかも、この女性大統領とその取り巻きは、大した描写もなく薄い形で劇中から去ることに(笑)。
さらに腐しておくと、20年前の戦いで異星人のテクノロジーを得たとはいえ、なんで先制攻撃なんかしちゃおうと思えるのか。勝てるわけないじゃん。月を開拓して基地みたいのを建設してたり、レーザー砲みたいな威力の高い武器を配備していたり、宇宙空間で戦えるほどの戦闘機を有していたりするなど、軍事力が相当上がっているのは見てとれるけども、相手は時空の裂け目みたいなところからワープして太陽系にやってこれるような奴らだよ。もう少しよく考えたほうがいいと思うのだが。
作り手の若者への嫉妬が物語の根底に(笑)
まぁそんなこと突っ込んでも仕方ないんだけども、そういう穿った見方をしないとさほど楽しめない映画であることは間違いない。たぶんこれは、この作品に限らずだけども、自分がいろいろな映画を見続けてきたせいで、一つひとつの作品に対する期待値が無駄に高まりすぎちゃっているのが要因の一つではなかろうか。
て考えると、若い人たちが新鮮な気持ちで観れば、本作もそれなりに楽しめるのかもしれない。まっさらな気持ちで作品に向き合える、そんな若さが羨ましい。実は作り手たちも若者に無意識に嫉妬しているため、彼らの活躍度を薄めたのではないかと考えられなくもない。…なんだこの感想は(笑)。
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