ベイビー・ドライバー
事前の期待を下回ることはない作品で楽しめた。でも、個人的に物足りなさを感じた点もいくつか。後半はネタバレ。
―2017年公開 英・米 113分―
見どころとあらすじ・スタッフとキャスト
見どころ:『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』などのエドガー・ライト監督のクライムアクション。音楽に乗って天才的なドライビングテクニックを発揮する、犯罪組織の逃がし屋の活躍を描く。『ダイバージェント』シリーズなどのアンセル・エルゴート、テレビシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などのケヴィン・スペイシー、『Ray/レイ』などのジェイミー・フォックスらが出演。主人公のユニークなキャラクター、迫力満点のカーアクションに注目。(映画.com)
あらすじ:幼い時の事故の後遺症によって耳鳴りに悩まされながら、完璧なプレイリストをセットしたiPodで音楽を聴くことで驚異のドライビングテクニックを発揮するベイビー(アンセル・エルゴート)。その腕を買われて犯罪組織の逃がし屋として活躍するが、デボラ(リリー・ジェームズ)という女性と恋に落ちる。それを機に裏社会の仕事から手を引こうと考えるが、ベイビーを手放したくない組織のボス(ケヴィン・スペイシー)は、デボラを脅しの材料にして強盗に協力するように迫る。(映画.com)
監督・脚本:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴート/リリー・ジェームズ/ケヴィン・スペイシー/ジョン・ハム/ジェイミー・フォックス
2つのカーチェイスはかなりいい!
序盤から中盤にかけての2つのカーチェイスは、主人公が逃し屋としてかなりのテクニックを持つ凄腕ドライバーということがわかるし、それによってチームを組む犯罪者たちも彼に一目置くようになるなど、いろいろの要素が込められてて、かなり面白い。後半以降にすごく期待を持たせる内容であった。
音楽を使った演出もいい!
また、運転中以外も音楽に乗せて物語が進むところなんてのも、なかなか新鮮だし、観ているこっちもリズムに乗りたくなっちゃう。俺は全体を通して知っている曲は数曲しかなかったけど、使用されてる曲を知っている人にとっては、楽しめるんではないかと思った。
てなわけで、内容としては事前の期待を下回ることはない作品で面白く観られた。
でも、個人的に物足りなさを感じた点もいくつか。以降はネタバレしますんで、注意。
も少しドライバーとしての活躍を…
主人公は、かなりのドラテクの持ち主。なのに、その腕を駆使して楽しませてくれるのは、実は冒頭に紹介した2つのチェイスのみなんである。
あとは、みずから運転を放棄したり、車がないので走って逃げたり、なんか拍子抜け。ここがまず、一番の残念ポイント。中盤までの活躍が際立っているだけに、かなり物語が失速してしまった印象をもった。
犯罪者たちが間抜けすぎるような
あと、個人的な好みの話にもなるんだが、ここに出てくる犯罪者は全員、有能に見えて実はそうでもない。
序盤こそみんな、クールだったり冷徹だったり、終始余裕をもっていたり(そうでないやつもいるが)、どいつもプロっぽさを感じてなかなかかっこいい。
でも、これまた中盤以降、そいつらが感情的になったり、主人公の味方なのか敵なのか、動きが支離滅裂になったり、ともかく全員ジタバタしすぎなんである。
そらぁあんな行き当たりバッタリでは、うまくいくものもいかないわな。これはケビンスペイシー扮するボスというか指示役も同じ。最後は結局情に流されるんなら、最初から主人公を仕事に復帰させなきゃ良いと思うのだが。
恋愛要素なくてもよいのでは?
ということで、このように少し物足りなさを感じさせるガッガリ展開になってしまうのは、そもそも主人公が借金を返して足を洗うのが物語的に早すぎるのと、恋愛要素を入れてしまったからであると思われる。
個人的には、その2つの要素、特に後者の展開をそっくりなしにして、最後まで逃し屋として活動を続ける展開のが良かったように思った。
面白かったけど、逃し屋の物語展開としては『ドライヴ』のが好き。
とは言え、前半の展開と全編通して音楽の使い方がとてもカッコいい作品でした!
コメント