リピーターズ
雷に打たれて感電した若者3人組が、なぜか同じ日を繰り返すループから抜けられなくなる。それぞれが置かれた状況にどう向き合い、ラストはどうなるのかというお話。なかなか面白く観れたが、よく考えると変な映画だ。何が変なのか? ネタバレあり。
―2010年製作 未公開 加 85分―
解説とあらすじ
解説:脱出不可能な時間の迷路に閉じ込められる若者たちの姿を描いたSFスリラー。薬物リハビリ施設に入所している3人の若者たちは、施設から1日の退院を許され、それぞれの家族の下へ戻ろうとする。だが、翌朝目覚めると、なんと前日と同じ日で…。(KINENOTE)
あらすじ:薬物リハビリ施設に入所している3人の若者たち。施設から1日の退院を許され、家族の元に戻る。3人とも家庭での問題を抱え、それぞれが和解が課題なのだ。各自戻るべき場所へ向かうのだが、3人が翌朝目覚めたら、なんと前日と同じ日だった。最初は同じ毎日をいたずらに過ごす3人・・・。しかし悲惨な出来事や状況までもが繰り返されるということを理解した瞬間、この時間迷路に翻弄され、暴走し始めるのだった…(amazonより)
監督・キャスト
監督:カール・ベッサイ
出演:ダスティン・ミリガン/アマンダ・クルー/リチャード・デクラーク/タマラ・ドネラン
話の落としどころが予想外(笑)
この映画の変なところは、ループが閉じて主人公らが日常に戻るために必要なのが、自分の過去を清算するための行為をきちんとやったかどうかだった――というぶっとんだオチにあったからだろうか?
主人公のカイルは迷惑をかけた妹から許しを得ること。女性のソニアは自分に対して性的虐待をし続けてきた、今は死の間際にある父親に許しを与えること。そしてマイクは、刑務所にいる父親、自分が警察に売った(と思われる)犯罪者である父親と和解すること――。三者にはそれぞれ、清算すべき過去があるのだ。
過去の罪を贖え!
物語のラスト近くにカイルとソニアは清算の機会をつくる。対してマイクはそれをしない。まぁ、あの剣幕の父親と面会室でうまく話ができて思っていることを伝えるなんてかなり至難の業っぽいのでそこは気の毒ではあるものの、しなかったことにかわりはない。
それをしたか、しなかったかで、繰り返すループから脱せられるかどうかが決まる。そのようにこの映画は観られる。それを証明するかのような描写が冒頭とエンドロール前のシーンだ。
冒頭で「贖罪の機会は常にあるのだ云々」的なセリフが入る。そして、ラストでは自殺したはずのマイクが、目覚める。これは贖罪の機会を得た2人は許されて元の世界に戻り、まだのマイクはループの世界で生き返って、贖罪するまで戻れないということを意味している(ループ内で死んでも生き返るのはカイルとソニアで描写済み)。
ただ、そう考えると辻褄が合わないのは、なぜマイクも雪の日を体験できたかってことなんだが。
ループ後のほうが犯罪しまくっている(笑)
というか、そもそもループから脱するのが過去を清算することなんていうのが、納得がいかないといえばいかない。この物語では、同じ日をリセットして繰り返せるようになったら人間は欲望のままに酷いことをするのだっていう描写をいくつもしている。
それはマイクに限ったことではない。ループできるようになった3人は最初、一緒になって犯罪をいくつも犯す。ソニアはその辺の不良レベルの行いで楽しめたのかそれ以上のことはしないが、カイルは売人に銃を突きつけて糞を食べさせるとか、動機があるとはいえ、けっこう鬼畜なことをする。もちろんマイクはもっと酷い。
ということで、この映画。犯した罪に後悔したカイルは善の道に進もうとする。ソニアもそれを助けようとする。マイクは己の道を突き進む。日常に戻れるかどうかの差は、そこなんですよって言っているようで、実はけっこう道徳臭いことを訴えちゃってる内容なのだ。
その割には、求めている贖罪のレベルがようわからん。この3人、特にカイルとマイクが人としての道を逸脱しまくる、つまり人殺しをするのは、ループが始まってからじゃん? それ以前の2人がやってたのって、せいぜいドラッグくらいしか描写されてないし、それだけなんだと思うが。ソニアに至っては、親父の性的虐待が影響で不良っぽくなっちゃんたんだろうと思うし、彼女が悪いのか? それって。
アマンダ・クルーはパッケージで損しています(笑)
と考えると、なんなんだ、このお説教映画はってことになる(笑)。だけども、俺は楽しく鑑賞できた。その大きな要因となったのは、ソニア演じるアマンダ・クルーっていう女優さんがすごく美人だったからかもしれぬ(笑)。役柄は不良だけど、なかなか好感が持てる女性であった。マジでパッケージの写真とは全然違うから、そこだけでも見る価値あり(笑)。
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雑談の中でも、かなり私的な話題に触れてます。映画の内容に触れながら考えていることが多いかも
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