暗黒街(2015)
イタリア・ローマの犯罪組織と政治家、さらにカトリック教会。それぞれの思惑が絡んだ犯罪映画。この手の作品がとても好きなので鑑賞したら、期待に違わぬオモシロ作品で満足できた。ネタバレあり。
―2017年公開 伊=仏 130分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2011年ベルルスコーニ首相退陣の際の国家的混乱を背景にイタリアの暗部を描いた犯罪アクション。大物マフィアが暗躍する中、カジノ計画を進める政治家ピッポ。しかし彼が起こしたある事件を契機に、政界や教会も巻き込み利権をめぐる凄惨な抗争が始まる。出演は「ラッシュ/プライドと友情」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、「マイ・ブラザー」のエリオ・ジェルマーノほか。イタリア映画祭2016およびSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016長編コンペティション部門にて上映。特集企画『ワールド・エクストリーム・シネマ2017』にて劇場上映。(KINENOTE)
あらすじ:2011年。与党の大物議員フィリッポ・マルグラーディ、通称ピッポは、ローマ郊外の港町をラスベガスのようなカジノの街にする再開発法案の成立を目指していた。その背後ではサムライと呼ばれる伝説のマフィアが暗躍し、利権にありつこうとする者たちが蠢いていた。そんな中ピッポが起こしたある事件をきっかけに、政治家や犯罪組織、教会をも巻き込み、利権に群がる悪党たちの血で血を洗う抗争がはじまる。(KINENOTE)
監督:ステファノ・ソッリマ
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ/エリオ・ジェルマーノ/ジャン=ユーグ・アングラード/アダモ・ディオニージ/グレタ・スカーアーノ
感想
ヒューマントラストシネマ渋谷でわずかな期間公開されてたけど、残念ながら足を運べなかったのでレンタルで鑑賞。個人的に犯罪映画が好きなので、面白く観た。一口に犯罪映画と言ってもいろいろあるけど、この物語では政治家や聖職者が集う教会も物語にからんでくるので、描かれる事柄の規模も大きく、『ゴッドファーザー』的な奥行きが感じられる。
冒頭は登場人物の背景や相関関係がつかめなくて少し退屈なんだけど、物語が進むにつれてそれぞれの関係性がわかってきて、そこからは作品に没入できる。没入できたらあとはもう、その展開についていけばいいだけなんで、最後まで楽しく鑑賞できた。
様々な立場の人間の動きを追っていく群像劇的なストーリーで、アクション要素はそんなにないけども、その群像劇が物語展開の中でいろいろと複雑に絡んできて、ラストではそれらがスッキリ解消されるところがいい。
あいつ何のために登場したん? みたいなことが鑑賞後に起きないのは、物語がしっかりとつくりこまれているからである。とか何の含蓄もない素人の褒め言葉並べても仕方ないので、ともかく興味がある方はぜひ鑑賞することをオススメしたい。以下、ネタバレします。
ネタバレ感想
犯罪者たちの脇が甘すぎ(笑)
すこし疑問に感じたことを述べたい。犯罪者側には、サムライと呼ばれる地元マフィアの顔役みたいな男と、彼の下で働くナンバー8という組織のボス、さらにジプシー集団のファミリーが登場する。ナンバー8は街のチンピラ集団みたいな感じなので、規模はさほど大きくない。ジプシー軍団も組織としては所帯じみている。そして一番の実力者のサムライも、一匹狼的に動いていて、顔は広いようだが組織に属している感じはない。
そこで疑問なんだが、こいつら無防備すぎないかってことだ。それぞれがいろいろあって襲撃を受けるシーンがあるんだけども、自分の身の危険を感じててしかるべきなのに、どいつもこいつも脇が甘すぎだろと思わずにはいられなかった。犬に食われちゃう奴なんて、やられた相手、普通の人だよ(笑)。サムライも仕留め損ねたヤク中のお姉ちゃんに銃殺されちゃうし。
俺は犯罪は一人でやるべきという考えを持っているので、サムライみたいな役どころは新鮮さを感じたし、なかなかやり手だなぁと感心して観ていたので、あのやられ方には少し拍子抜け(笑)。
ニンニが気の毒
高級娼婦を仲介する仕事をしてたあの兄ちゃん。娼婦のニンニが言うように確かにクズと言えばクズだ。だがしかし、この作品で一番のクズで間抜けな奴は、美人娼婦なニンニとプレイに及んだあの政治家であるのは間違いない。あのバカがもう一人の娼婦が息を引き取っちゃったときにケツまくって逃げなきゃこんなことにはならなかったのであるし、あんな逃げ方しちゃったらあの展開になるのは当然と言えば当然。アホだなぁと思った。
ただ、この政治家がアホでないと物語が成り立たないので、その辺を言っても仕方ないのであるが。ともかく、途中で姿を消しちゃうニンニちゃんは、あの後どうなってしまったのだろうか。どっかに売り飛ばされちゃったんかねぇ。美人さんなのに気の毒である。
犯罪は一人でやるべき↓
犯罪者はこうあるべき↓
恐ろしいギャングたち↓
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