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映画『モンスター(2003)』ネタバレ感想 シャーリーズ・セロンの顔が怖い(笑)

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モンスター(2003)

事実を基に製作された、連続殺人犯の運命を描いた作品。主役のシャーリーズ・セロンの醜さがやばい。恋人役のクリスティーナ・リッチの容姿も酷い(笑)。ある種の切実な感情を訴えてくるストーリーの面白さに加え、シャーリーズ・セロンの女優としての凄みを感じる作品であった。ネタバレあり。

―2004年公開 米 109分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:実在したアメリカ初の女性連続殺人犯の悲劇的な運命を描いたドラマ。監督・脚本はこれが長編デビューとなるパティ・ジェンキンス。撮影は「ウォーターボーイ」のスティーヴン・バーンスタイン。音楽は「ザ・コア」のBT。美術は「ゴーストワールド」のエドワード・T・マカヴォイ。編集は「マンハッタン花物語」のジェーン・カーソン。出演は「ミニミニ大作戦」のシャーリーズ・セロン、「私は『うつ依存症』の女」のクリスティーナ・リッチ、「すべての美しい馬」のブルース・ダーンほか。第76回アカデミー賞最優秀主演女優賞、第61回ゴールデン・グローブ賞最優秀女優賞、第54回ベルリン国際映画祭銀熊賞最優秀女優賞など多数受賞。(KINENOTE

あらすじ:1986年、フロリダ。娼婦として過酷な日常を生き抜いてきたアイリーン・ウォーノス(シャーリーズ・セロン)は、自殺を決意しつつ飛び込んだバーで、若い女性セルビー(クリスティーナ・リッチ)と運命的な出会いを果たす。親から同性愛の治療を命じられた彼女もまた、社会からの疎外感を味わっていた。惹かれ合った2人は、どこかで共に暮らすことを夢見る。だがそのための金を稼ごうと、街娼に復帰したアイリーンは、客の男に暴力をふるわれ、思わず彼を銃殺してしまう。男の車を運転して町まで戻ったアイリーンは、セルビーを乗せ、2人で逃避行を始める。最初のうちは幸せな冒険の日々。しかし殺した男から奪った金が尽きていくに従って、セルビーの顔からは笑みが消えていった。アイリーンは堅気の職探しに奔走するが、前科のある娼婦に希望どおりの職は見つからない。そしてアイリーンは、客を殺して金を奪い続けるしか方法はないと考え、犯行を重ねていく。だがやがて、警察は2人を指名手配。もはや捕まるのは時間の問題と悟ったアイリーンは、セルビーを故郷オハイオ行きのバスに乗せる。まもなくアイリーンは逮捕。拘置所の中で、彼女はセルビーからの電話を受ける。それはアイリーンの自白を引き出すための罠だったが、彼女は自身の罪を認める道を選んだ。それから12年の服役生活を経て、アイリーンはフロリダ州の刑務所で死刑に処されるのだった。(KINENOTE

監督・脚本:パティ・ジェンキンス
出演:シャーリーズ・セロン/ブルース・ダーン/リー・ターゲセン/クリスティーナ・リッチ/アニー・コーリー/プルット・テイラー・ヴィンス

ネタバレ感想

ホラーやサスペンスではない

サイコパス的な女性が何かの理由で男どもを次々にぶち殺していく、サスペンスホラー的内容かと思ったら全然違った(笑)。事実を基にした作品ということで、ある種の人間たちの救われなさを感じる社会派で良質なドラマである。

物語は実在した連続殺人犯、アイリーン・ウォーノス をモデルに製作されたらしい。作品内では彼女に感情移入できるよう、多少美化した部分はあるのかもしれんが、もしこの話がほぼ事実であるとしたなら、『モンスター』というタイトルは、この映画の全ての登場人物を指していると考えるべきではないか。

人間はモンスター

人間は全員がモンスターだ。どんなモンスターかというと、常に虞犯者であり、現在進行形で、何かの罪(法律的に裁かれるような罪のことだけではない)を犯しているという意味でのそれである。

アイリーンの場合

作中で描かれるアイリーンの罪の中で、最も重いものとされるのは、殺人だろう。彼女がそれを犯したことについては、同情の余地もない。彼女は社会的制裁を受けざるを得ない罪を犯したモンスターである。

では他の人物たちはどんなモンスターなのか。

ゼルビーのおばさん

ゼルビーを世話する親戚のおばさんは、どこにでもいそうな中流家庭の女性である。彼女はクリスチャンらしい。そんな、いわゆる常識的・一般的女性である彼女は、職業で人を差別している。ゼルビーに対して、「売春婦のアイリーンとは関わるな」と言う。そして、黒人に対しても差別的な発言をする。

これが彼女のモンスター的要素だ。彼女は、この作品を鑑賞する上では、感情移入されるどころか、むしろ嫌な存在として思われることのほうが多いだろう。なぜなら、主人公たるアイリーンとゼルビーの夢を邪魔するものとして登場するからだ。

常識的・一般的な良識ある女性も、虚構作品内で別の立場の人間から眺めると、モンスターなのである。

ゼルビーはどうか

そして、ゼルビーもまたモンスターである。彼女はアイリーンと出会うまで世間知らずな女性であった。家を出てアイリーンと暮らすことになってからは、自分で働こうとせず、アイリーンに全てを頼る。それが彼女の考えというか常識なのだ。

だから、彼女は働かない。アイリーンに仕事をさせる。そして、後にアイリーンとの約束を破り、裏切る。彼女のアイリーンに対する気持ちは、アイリーンがゼルビーを思うほどには強くない。

一方のアイリーンにとって、ゼルビーは自分の全てだ。であるから、ラストのゼルビーの裏切りについては、かなりのショックを受けただろう。だが、彼女はそのことでゼルビーを責めない。そして、潔く刑に服す覚悟を決めるのである。ゼルビーを巻き込むことなしに。

望んではいなかったとしても、アイリーンにそんな末路を用意したのは、ゼルビーである。自分の身を守ろうとする小さな選択の積み重ねが、あの最後につながると考えると、彼女は知らぬ間に、アイリーンを死刑囚にする活動に加担していたのである。

という見方すると、アイリーンはピュアで、ゼルビーは腹黒い性格だと思えなくもない。いずれにしても、誰もがモンスターであらざるを得ないのだ。ただし、社会の中で裁かれ、制裁されるモンスターは、アイリーン一人である。

スタート地点を選べない

アイリーンは生まれ育った環境のせいで、売春婦として生きる以外、術がなかったかのように描かれる。彼女が死刑に処せられるほどの社会的罪人になったのは、劣悪な環境で生きざるを得ない子どもたちの問題を放置している、社会制度のせいだと言うこともできる。

その視点に立って言うなら、彼女は生まれてこのかた一度たりとも、社会から守られることなく、社会によって排斥され、葬られてしまう哀れな存在だ。

彼女は生まれる場所を選べなかった。だが彼女は、人生ゲームをそこから始めるしかない。その理不尽さが社会に生きることの、偽らざる一面なのだ。

悪事を働くことの何が悪い?

本作で最もいいと思ったのは、アイリーンがセルビーに対して述べる、善悪に対するセリフだ。アイリーンは人を殺すこと、悪を働くことについて、「自分のためだからどうしようもない。何が悪いのか」的なことを言う。

そして、「あんたたちが守っている善いことの基準なんて、自分が生きてきた世界では通用しない。だから、私がしていることは悪いことではない」と述べる。セリフの内容はうろ覚えなので紹介した通りでは全然ないんだけど、ともかく、そんなような意味のことを言っているように思えた(レンタルしたので再確認できぬ)。

そのセリフによって、アイリーンは自分の生まれ育った境遇の中で、一般的な常識に当てはまらない道徳観・倫理観を持たざるを得なかったことがわかる。

面白いのは、彼女が言わんとしたことを深読みすると、「どうして悪いことをしてはいけないのか。みんながしてはいけないことを、どうして私がしてはいけないのか」と言っているようにも受け取れる(もちろんこれは、作り手がそういうことを狙って描写しているわけではない。あくまで、俺がそう受け取っただけである)。

善悪の彼岸から

「どうして悪いことをしてはいけないのか。みんながしてはいけないことを、どうして私がしてはいけないのか」。こういう言葉に対して返せる社会的な言葉はない。せいぜい常識的意味の中で「自分がされたら嫌なことを、他人にしてはいけない」とか、「みんながしてはいけないことは、みんながしないようにしている決まりなのだから、してはいけない」と言えるくらいで、よくよく考えてみると、質問の答えにはなっていない。

あのセリフを上述のように理解するのであれば、アイリーンは善悪の基準を乗り越え、善悪の彼岸の中に足を突っ込んでいる人間と言えるだろう。だから、彼女の言は善悪の此岸=常識的な言葉の世界に生きている他者からは理解されない。

とか書いてみたが、俺の説明が下手糞すぎて意味がわからないと思うし、自分でも何を言いたいのかよくわからなくなってきたので、これで終わりにします。

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