パニック・トレイン
原題は『Last passenger』。それなりに面白いです。納得いかんのは、なんであんなサム・ニールの偽者みたいなおっさん(主人公のこと)が、美人で性格もよさそうなサラに好かれるのかってこと(笑)。ネタバレあり
―2013年製作 英 97分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『ミッション:インポッシブル2』のダグレイ・スコット主演による暴走列車を描いたノンストップアクション。医師でシングルファーザーのルイスは、息子と深夜列車で家路についていた。ところが正体不明の男によって列車のブレーキが効かなくなり…。(KINENOTE)
あらすじ:医師でありシングルファーザーのルイスは、息子のマックスとロンドから深夜の列車で家路に向かっていた。停車中に誰かがブレーキを操作していることに不審を覚えるも、列車は走り出す。いつのまにか眠っていたルイスは列車が止まらないことに気付き、車内のインターフォンで運転室と連絡を取るが、乗客の人数を聞かれるだけだった。車内にはルイスと息子のマックス、ルイスが好意を寄せている美人女性サラ、反社会的で信用できない男カーマイケル、初老の銀行家、心臓に病を抱えた老女の6名。ブレーキの利かなくなった列車は正体不明の男に操られ、踏切りにいた車を跳ね飛ばし、ノンストップで暴走していく。果たして暴走を続ける列車を止めることが出来るのか…(Amazon)
監督:オミッド・ノーシン
製作:吉崎道代/ダニエル・ハバード
出演:ダグレイ・スコット/カーラ・トイントン/イド・ゴールドバーグ/リンゼイ・ダンカン
ネタバレ感想
主要人物の描写が多め
予備知識ゼロで観たので、最初の30分間くらい、列車内で何かが起こる話なんだろうなということ以外、この作品がサスペンスか、殺人鬼ホラーなのか、モンスターパニックホラーなのか、どんな展開になるのかがわからなかった。
では、序盤は何をやっているかというと、主人公ルイスの視点から、列車内にどんな乗客がいて、どこに向かっているのかなどの状況説明が行われる。そして、主要人物のほぼ全てが登場する。
中でも時間が割かれるのは、主人公でシングルファーザーのルイスと、その息子マックス、そしてたまたま席が隣り合わせた女性、サラの絡みだ。ルイスとサラは、初対面の時点で憎からず感じているようで、席が隣り合わせたのをいいことに、お互いがマックスをダシに使って急速接近していくのだ。初対面の癖にキスまでしやがって、納得いかねぇ(笑)。
見せつけすぎで、結末読めちゃう
最初の出会いから10分くらいのやり取りを見せられて、鑑賞者が気付くことがある。ラストは絶対この2人が好い関係になって、それをマックス少年も受け入れるだろう――つまり、この3人は何が起きても生き残り、必ずハッピーエンドを迎える結末になるということだ。
で、実際にそうなります、この映画(笑)。でも別に、それが悪いと思わない。展開が読めようがなんだろうが、面白ければいいのだ。俺はそこそこ楽しめた。全体的にツッコミどころも満載なので、その意味でも楽しめる。
というわけで、どんどんネタバレしていくと、この映画はブレーキが効かない列車に閉じ込められた乗客たちが、何とか脱出を図るというパニック作品です。
自殺志願者が列車を奪う
何で列車に閉じ込められるかというと、ある駅から乗車してきた客が、自殺志願者なのである。しかも、派手に散ることで目立ってやろうと目論む、はなはだ迷惑な奴。で、こいつが乗客たちに気付かれないうちに、車掌を殺し、運転士を線路外に放り出し、列車をジャックしてしまうのである。その時点で車内に残った乗客は6人のみ。列車は本来停車すべき駅をどんどん通過して、ドン詰まりの終着点に暴走していくのだ。
で、列車の異変に気付いた主人公のルイスと、マックスとサラ、そしてヤンという若者と、口うるさい紳士(名前忘れた)、あと孫に会いに行く初老の女性(すぐ死ぬ)が、列車をストップさせようとジタバタするのである。
フラグが立っても生き残る
この作品がそこそこ楽しめるのは、主要人物の性格や背景が、それなりにきちんと説明されることだろう。本当にダメな作品だと、そこが描かれないので、登場人物たちの動きが支離滅裂に感じてしまうことが多い。この作品には、それがない。
そして、きちんと説明された人間は死なないという特長がある(笑)。
主人公と息子、サラの3人が生き残ることについては、すでに触れた。そして、もう一人生き残るヤンにも、きちんとした描写がある。彼には、死亡フラグが立ちまくるバーでのシーンがあるので、きっと死ぬだろうと思わせておいて、なぜか死ぬのは口うるさい紳士である(笑)。
口うるさい紳士も、だいたいの人となりはわかるし、けっこう最後のほうまで頑張る。でも、すごく間抜けな死に方をする。しかも、誰も悲しんでくれない。もう少しだけ、自分の職業を明かしたり、息子以外のことも話たりしておけば、この作品では死なずにすんだのに(笑)。
ちなみに、死亡フラグを立てまくった後のヤンの奮闘は、ほとんど何の役にも立たないのだが、あれがこの作品でもっとも俺がハラハラしたシーンであった(笑)。
なぜ警察や鉄道関係者が出てこないのか
ということで、細部にツッコミを入れたくなるシーンがありつつも、全体的にはなかなか楽しめる。ただ、物語中盤あたりで、口うるさい紳士のおっさんが携帯をつかって警察と連絡を取っている。
なので、外部にも事の重大さが知れているはずなのに、この物語では、警察や鉄道関係者らが、列車の暴走を何とかして止めようとする様が、まったく描かれない。描かれるのはずっと列車の中だけ。これはちょっとおかしいのではないかねぇ。
普通であれば、列車をジャックした人物を警察が特定し、犯人の素性とか動機とかを探りつつ対応策を考えるもんだと思うんだが、そういうシーンは一切ない。
だから、劇終しても犯人が何者だったのか、実のところ真相はよくわからないのである。劇中で説明されるのは、単に紳士のおっさんの経験を踏まえた推測の犯人像でしかないのだ。でも、物語自体は、その推測が真実であったかのように終わる。
てなわけで、ラスト・パッセンジャーは事件を起こした犯人――という話であった。
本作はネットフリックスで鑑賞できます↓
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