アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ
序盤は退屈。物語が転がり出してからは主人公の女性、ジェニファーが男たちの暴力にさらされるシーンが長めに続くのでなかなかつらい。中盤以降はタイトル通りの展開になっていくが、劇終しても特に溜飲が下がるわけではない。ネタバレあり。
―2011年公開 米 106分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:1978年に製作され、内容の過激さから「発情アニマル」の邦題でポルノ映画として劇場公開されたという曰くつきの“女性レイプ復讐もの”伝説的作品をリメイク。オリジナルを超える過激なバイオレンスシーンに注目。主演は『CSI:NY』、『CSI:マイアミ』などの人気ドラマへのゲスト出演を中心に活躍中のサラ・バトラー。(KINENOTE)
あらすじ:小説家のジェニファー(サラ・バトラー)は、新作執筆のため森の奥の別荘を訪れる。だが、その周りには、美しいジェニファーの様子を舐めるように窺う、地元の男たちの熱い視線があった。やがて男たちの欲望が暴走し、野獣と化してジェニファーに襲い掛かってきた。ジョニー(ジェフ・ブランソン)をリーダーとした4人のグループが別荘に侵入。窮地に陥ったジェニファーだったが、男たちの隙をついて逃走、保安官に助けを求める。だが保安官のストーク(アンドリュー・ハワード)はジョニーたちと繋がっていた。別荘に連れ戻されたジェニファーを待っていたのは、凄惨な暴力の嵐。幾度となく繰り返されるレイプ。肉体も精神も踏みにじられてゆくジェニファー。そして男たちから射殺される寸前、川に身を投じる。そのままジェニファーの消息は絶え、死体は発見されずに終わった……。だが、ジェニファーは辛うじて生き延びていた。そして時は流れ、復讐が始まる。簡単には殺さない。自分と同じ、いや、それ以上の恐怖を味わってもらう……。そして1人、また1人と……。(KINENOTE)
監督:スティーヴン・R・モンロー
出演:セーラ・バトラー/ジェフ・ブランソン/ダニエル・フランゼーゼ/ロドニー・イーストマン/チャド・リンドバーグ/アンドリュー・ハワード/トレイシー・ウォルター
適当なネタバレあらすじ
田舎で暮らしていることにコンプレックスがあるらしい様子の男たちが、都会から来た美人作家のジェニファーに軽く扱われたと思い込み、そのことに勝手に屈辱を感じ、彼女を凌辱することで恨みを晴らそうとする。
地元の保安官はジェニファーを助けてやるのかと思いきや、意気揚々と彼女を弄ぶ側に加わる。てなことで、哀れなジェニファーは理不尽な暴力に晒されることになるのであった。
で、身も心もボロボロにされちゃったジェニファーは、男たちが油断した隙に川へ身を投げて行方をくらます。男たちは必死でジェニファーの死体を探すものの、見つからないので考えるのをやめて、この件については一件落着とする。
だが、実は彼女は生きていた。そして、男どもを墓場に送り、その墓標に唾を吐くための復讐を展開する。
ジェニファーは、あの手この手で男たちを一人ずつ血祭りにあげ、見事目的を果たす。しかし、彼女の目に希望の光が灯ることはなかった。おしまい。
シンプルな復讐劇
本作は『発情アニマル アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』(「発情アニマル」は邦題)という70年代後半作品のリメイクらしい。内容はいたってシンプル。
卑屈な田舎の男どもと、家族には良き旦那かつ父親づらしてるものの、中身はクズ人間な地元の保安官の嫌さが際立つ話だ。物語として何か心に残るものがあるわけでもない。
もしかしたら何か示唆的なテーマが隠されているのかも知らんが、俺は何も感じられなかった。本作に影響されたと思われるものに、『サベージ・キラー』という作品がある。
こちらは男たちに凌辱された女性がゾンビになって復讐を果たすという内容で、本作と比較すれば少しはひねりのあるものだったが、いずれにしても本作同様、主人公の悲惨さばかりに目が行っちゃって、さほど何かを感じるものではない。
まぁしかし、本作も『サベージ・キラー』もシリーズ化されているので、一定の需要はあるようだ。
蛇足だが、女性を執拗に虐待する異様な人間たちを描き、恐ろしい人間心理を垣間見せる小説に、ジャック・ケッチャムの『隣の家の少女』という作品がある。
映画化もされているようなので、興味がある方はどうぞ。ちなみに、俺は原作読んでダウンしたので、映像になったあの作品は見る気になれない。
コメント