レプリケイト 襲撃
―2019年製作 米 94分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:人間に寄生する虫型エイリアンの恐怖を描くSFスリラー。様々な映像をサイトにアップして楽しんでいたザックたち。ある日、虫型の寄生体が口に入った直後、変形した人を目撃した彼らは、この異常事態を世界に伝えるため、命を懸けたSOS配信を行う。【スタッフ&キャスト】監督・脚本:ジョン・マーロウスキー 製作:ウィリアム・フェイ 出演:ジョエル・コートニー/ケイラム・ワーシー/テリー・パークス(KINENOTE)
あらすじ:ザックとランディとケイラは、様々な映像やインタビューを撮り、動画投稿サイトへアップし楽しんでいた。だが、ある日街に違和感を覚える…そして、ケイラの家族に会った時その違和感は確信へと変わる。街にいる人達は気がつかない内に、外見は変わらないのだが、確実に言動・仕草が異なる “別の存在”に替わっていたのだった―そして、彼らは虫型の“寄生体”が体を這い口の中から入っていき、その直後人間が変形してしまうところを目撃してしまう。寄生されていない人間達は、生き残りをかけ異常事態を外に発信し助けを求める。しかし、この地上には何人の人間が残っているかわからない。。。 (Amazon)
監督・脚本:ジョン・マーロウスキー
出演:ジョエル・コートニー/ケイラム・ワーシー/テリー・デイル・パークス
ネタバレ感想
類似作品は結構いっぱいある
身近な人たちが知らぬ間に、違う何かに入れ替わってしまっているーーみたいな内容の映画は、過去にもいっぱいある。特に、アメリカのSF作家、ジャック・フィニイによる『盗まれた街』を題材にした映画は、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年、米)『SF/ボディ・スナッチャー』(1978年、米)『ボディ・スナッチャーズ』(1993年、米)『インベージョン』(2007年、米)てな感じに、何度もリメイクされている。
で、個人的にはこの手の話は大好きなので、今作も借りてみた。何でこの手の話が好きなのかということについてや、こうした作品を通じて考えられる話などは、類似した別作品で述べてきたので、もし興味があれば記事末のリンク記事をご参照ください。
ユーチューバーが地元町の異変に気付く
てなことで、本作も『盗まれた街』に似た感じの内容。もしかしたら、題材にしてるのかも。現代っぽさが反映されているのは、主人公=ザックとその親友=ランディが、スマホで動画を配信してるユーチューバーみたいなことをしてるところか。
退屈な田舎町で暮らす人々にインタビューをして回っている彼らは、ある女性の異変に関わることで、自分たちの街に何か不穏なことが起きていることを察知する。そして、その証拠となるのがスマホの動画なのだ。
人物描写が薄いのが残念
あと現代っぽいと言えば、ザックが好きな幼馴染の女の子ケイラが、スポーツ万能っぽいマッチョ系ってことくらいか。ザックがヘタレな文系ってのはこうしたSFホラーではよくあることなんで、その辺は目新しさはないが、ケイラの設定には、後につながる見せ場があるんかなと、期待を持たせられた。だけど、そんなものはなかった(笑)。あんまり活きてないですね。
ついでに残念なことを述べておくと、ザックとケイラ、ランディ、そしてそれぞれの両親らとの関係性がどんなものなんかはわかるんだけども、これらの設定もまた、物語中で強く何かを訴えかけてくるようなものはない。掘り下げがないので、彼らに感情移入ができない。
だから、作品そのものにも物足りなさを感じてしまう。特によくわからんのは、ザックの親父だ。スマホなどの新しいテクノロジーに「仕事を奪われた」とか愚痴を言ったり、どうして両足がなくて車いすに頼っていたりするのか、その理由がよくわからん。説明もされない。なら、そんな設定に何の意味もないと思うんだが。
さらに、ランディのクローンを殺すくだりも、悲壮感を出そうとはしているものの、特に何の感情もわかない。一応、二人は親友同士だってのはわかるんだけど、何かが足りない。とってつけたようなシーンに感じてしまう。
ということで、全体的には残念な感じの作品だったなぁ。主人公たちが逃げ惑うシーンもなんか間延びしてるというか、切迫感がないし。
自分のクローンに襲われるのは怖い(笑)
よかったなと思ったのは、ザックとケイラのクローンが襲ってくるシーンだ。自分と同じ姿かたちをした生物が全裸ダッシュで襲ってくるとか、マジ受けるんだけど怖い(笑)。あそこがこの作品の見どころだ。
ラストはどっちかというと救いがない終わり方。自分たちの田舎町から侵略が始まったと思ったザックたちは、世間にこの一大事を知らしめるために、撮影した動画を配信するべくジタバタするわけだが、その苦労が報われたかと思いきや、実は侵略者たちは先に、大都会から襲撃を始めていたのだ。そして、ザックたちの住む辺鄙な町は後回しにしていたことがわかる。
要するに、ザックたちがやってきたことは徒労であり、全世界がすでに侵略コンプリート状態であることが判明する。しかし、ラストのラストで彼らの投稿に世界中のわずかな生き残りの人間たちからコメントがつく。それが多少の希望と言えば希望のある描写で、もしかすると続編を匂わせたのかもしれない。
しかしだな、どこの国の人のコメントか忘れたけど、けっこうな大都市なのに生存者3名とか言ってんのよ。やられるの時間の問題だよ。全世界は70億を超える人間がいるのに、数名単位で残ってたって、風前の灯火だろ(笑)。
コメント