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映画 ヨコハマBJブルース ネタバレ感想 裏切りのラストと同性愛的ハードボイルド

ヨコハマBJブルース
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ヨコハマBJブルース

―1981年公開 日 112分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:生活のために私立探偵をやる元刑事で売れないブルース・シンガーの活躍を描く。脚本は「翔んだカップル」の丸山昇一、監督は「影の軍団 服部半蔵」の工藤栄一、撮影は「野獣死すべし(1980)」の仙元誠三がそれぞれ担当。(KINENOTE)

あらすじ:元刑事で売れないブルース・シンガーのBJは、生活のために、仕事の合い間に私立探偵をやっている。その日も家出少年、近藤明を捜して、横浜を支配するファミリーのボス牛のところに来ていた。明はBJに「もう捜さないでくれ」と伝えてくれと話す。翌日、BJはかつての仲間、刑事の椋圭介とゴルフ場で会った。椋は部下の紅屋、BJの前で、何者かに狙撃された。圭介の妻、民子はかつて、BJの恋人で、紅屋は彼女をとられた腹いせに、誰かに狙らわせたのだろうとBJに詰め寄る。一方、BJも親友圭介狙撃殺人の捜査を独自に始めた。圭介はファミリーに接近しすぎたため、警察からも組織からも危険な存在となっており、近く辞職して、国外脱出を考えていた。BJは、椋が撃たれたのと同じ銃を、牛の片腕の蟻が持っていることを思い出した。蟻を追うBJは、彼も近日中に国外に出ることをつきとめる。蟻の女から、彼は現在、男にしか関心を示さないこと、ハード・ゲイの4人の男と関係していることを聞きだした。4人の集まる店に、なんと明も来ていた。明は、牛のペットとして、美しく飾られ、愛されていた。BJは明と話しているうちに、親しみを持つのだった。一方、民子はBJを何かと避けようとする。ゲイの一人から蟻の行方をつかんだBJだが、反対に敵に捕えられてしまう。その夜、大きな麻薬取引のあることを聞いた。脱出したBJは、取引に向う車のトランクに隠れ、現場に同行した。そこへ、紅屋が現れ、一味を射殺すると金を奪って行く。後を追うBJ。紅屋の車に爆薬が仕掛けられており、彼はアクセルを踏むと、車もろとも吹っ飛んだ。そして、金も消えていた。横浜港に向う道の途中に、BJが待ちかまえていると、何と死んだはずの椋が車でやって来た。すべて、椋が仕組んでいたのだ。金を奪い国外脱出を計画していた椋をBJは射殺する。金を持ったBJは横浜港に向うと、出航を控えた船のタラップに、主人の椋を待つ民子の姿があった。岸壁に立つBJの姿を見とめた民子。BJは金の入ったトランクを置くと、民子に手を振って去っていくのだった。明は車のトランクの中に死体で見つかり、BJは彼を美しく化粧するのだった。(KINENOTE)

監督:工藤栄一
原案:松田優作
出演:松田優作/辺見マリ/蟹江敬三/安岡力也/宇崎竜童/内田裕也

ネタバレ感想

アマゾンプライムで見つけたので鑑賞。ハードボイルドかつ同性愛的描写も込めた静かなバイオレンス作品だ。

今作の松田優作の風貌はなんとなく、息子の龍平を思わせる雰囲気がある。本来、感じるとするなら順番逆だけど、まぁそれは仕方ない。松田龍平のほうはまだ生きているわけで、新しい彼の演技を観られるわけだから。

てなことで、初鑑賞したこの作品。セリフが少ないし、説明的な描写もない。ないとはいえ、別に何が起こっているのかわからないということはない。

要するに、親友(椋)に裏切られた男(BJ)が落とし前をつける話なんだけど、そこに至るまでのBJの行動は、すべて椋の仇討のためにしたことなのだ。椋の仇討のために続けたことが、最終的に椋の裏切りを知ることになるというーー。であるから主人公のBJは、親友だった椋を殺すのである。

椋はきっと、殺されることはシナリオに入れていなかった。民子と金を持って逃げ切る算段だったはず。BJであれば、自分の仇討ちに動いてくれるだろうと想像したうえで、BJを亡き者にする計画だったのだ。だが、BJは椋が思うよりもタフな男だったということだ。

ところが、この展開を説明するようなセリフは一切ない。でも、話の流れは分かるようになっているのだ。

ちなみに、これまた説明はないが、椋の部下である紅屋も、椋に利用されていたことになる。最初から椋に動かされていたのか、途中まではそうだったのか、どちらかは分からない。だが、おそらく最初からだと思われる。「ファミリーの金を手に入れて山分けしようぜ」的な話がついていたんだと思われる。

であるから、彼はBJを執拗に追うのだ。BJには生きててもらっては困るから。ところが、ラストのほうで、BJを取り逃がした紅屋は、車ごと爆死させられる。これはもちろん、椋の仕業である。椋は金だけ手に入れて民子とトンズラするつもりだから、紅屋はBj同様、駒にすぎず、邪魔なのだ。

この展開は説明がなくてもわかるんだけども、ちょっとご都合主義すぎる感、椋にとって。まぁそれはおいておいて、何で椋がBjを裏切ることになるかというに、明とデキてしまったからだ。明はファミリーのボス、牛の可愛がっている男。椋がBJに「組織のことを知りすぎて命を狙われている」というのは、ある意味ではそうなんだけども、本当は牛の情夫を奪ったからなのだろう。妻の民子はそれをどこまで知ってたのかはわからん。

わからんと言えば、けっきょく、BJを狙撃したのは誰なのか。ゴルフ場で椋を襲撃したのは誰だったのかなどはわからん。そういう意味では、あまりにも説明がなさすぎという感がなくもない。

ともかく、この作品は主要な人物のほとんどが同性愛志向も持っているようだ。BJと椋と牛は明に。ファミリーの幹部である蟻は、ハードゲイの若者たちに。その中で、唯一肉体を介さないのが、BJと明の関係だ。これはかなり唐突であり、わずかな時間のみの交流なんだけども、BJがあそこまで明に入れ込んでいたのはなぜなのか。

おそらく椋と芽生えた友情とは異なる、やはり同性愛的志向によるものが強かったのではないかと個人的には感じた。

この作品は脇役も豪華で、財津一郎がボスの牛を演じてて、椋は内田裕也だし、ボスの用心棒に安岡力也がいて、組織の幹部の蟻が蟹江敬三と。この蟹江敬三のキャラがめちゃくちゃいい。凄みがあるんだけど、セリフがやわな感じで、「ニッポンのポリス、だからスキよ」みたいなヘンテコセリフ吐くし、ゲイだし、強いのかと思わせておいて、紅屋の襲撃で力也さんともども、あっさり殺されてるし、なんなんだ(笑)。

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