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映画 家族ゲーム ネタバレ感想 松田優作がラストに一家の食事に便乗してパイ投げ(笑)

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家族ゲーム

以前から鑑賞したいと思っていた松田優作主演の家族ドラマ。評判の良さも納得の面白作品。ネタバレあり。

―1983年公開 日 106分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:高校受験を控えた中学生の子供のいる家族と、その家にやって来た家庭教師の姿を描く。本間洋平の同名の小説の映画化で、脚本、監督は「ピンクカット 太く愛して深く愛して」の森田芳光、撮影は「俺っちのウエディング」の前田米造がそれぞれ担当。(KINENOTE)

あらすじ:中学三年の沼田茂之は高校受験を控えており、父の孝助、母の千賀子、兄の慎一たちまで、家中がピリピリしている。出来のいい慎一と違って、茂之は成績も悪く、今まで何人も家庭教師が来たが、誰もがすぐに辞めてしまうほどの先生泣かせの問題児でもある。そこへ、三流大学の七年生、吉本という男が新しく家庭教師として来ることになった。吉本はいつも植物図鑑を持ち歩き、海に近い沼田家に船でやって来る。最初の晩父の孝助は吉本を車の中に連れていくと、「茂之の成績を上げれば特別金を払おう」と話す。吉本は勉強ばかりか、喧嘩も教え、茂之の成績は少しずつ上がり始める。一方、慎一は、家庭教師を付けてもらい、両親の心配を集める茂之と違って、手がかからず、それだけに寂しそうだ。茂之は幼馴染みで同級生の土屋にいつもいじめられていたが、勉強のあと、屋上で殴り方を習っていた甲斐があってか、ある日の放課後、いつものように絡んでくる土屋をやっつけることが出来た。そして、茂之の成績はどんどん上がり、ついに兄と同じAクラスの西武高校の合格ラインを越えてしまう。しかし、茂之はBクラスの神宮高校を志望校として担任に届け出る。これに両親は怒り、志望校の変更を吉本に依頼する。吉本は学校に駆けつけると、茂之を呼び出し、担任の前に連れていくと、強引に変更させる。しかし、何故、西武高校に行きたくないのか、その疑問を慎一にぶつけた。慎一は秘密ということで、茂之は土屋と同じ高校に行きたくないのだと話す。それは、小学生の頃、授業中に茂之が大便をもらしてしまったことを土屋が知っているからだと言う。バカバカしい理由に吉本と慎一は大笑いする。土屋は私立高校に行くことになり、茂之は西武高校にみごと合格し、吉本の役目は終り、お祝いをすることになった。その席で、孝肋は、最近ヤル気を失くしている慎一の大学受験のための家庭教師になって欲しいと話す。しかし、一流大学の受験生に三流大学の学生が教えられるわけはないと吉本は断った。そして、吉本は大暴れをして食事は大混乱となるのだった……(KINENOTE)

監督・脚本:森田芳光
出演:松田優作/伊丹十三/由紀さおり/宮川一朗太

ネタバレ感想

この作品はブラックユーモアなんかね。あらすじは引用を参考にしてもらうとして、さっさと自分の感じたことを紹介する。

家族の外側と内側

松田優作=家庭教師の吉本は、この作品では主要な登場人物の中で「家族の外側」にいる人間である。その他の、沼田一家の、伊丹十三=父、由紀さおり=母、そして息子たる長男と次男は当然「家族の内側」、つまり家族である。当たり前のことではあるものの、その外側にいる吉本が「家族の内側」に入り込むことで、一件平凡でどこにでもいる家族が、実は歪な形をした人間関係の中で日々を暮らしていることを浮き彫りにし、なおかつその「家族」が、いわゆるどこの家族にでもありうる歪さを描写しているところにこの作品の優れた部分と面白味がある。

それぞれが相手に向き合おうとしない家族

どう歪かというと、沼田家の面々はそれぞれの役割を果たして生活をしている。父は昭和的な一家の大黒柱であり、家族を養うために仕事に邁進する日々。母はその一家を支えるため、3人の男たちが快適に暮らせるように食事をつくり、家事をして過ごす。それにさしたる疑問もないようだ。彼女は昭和的な専業主婦像を体現したような人で、夫の言うことには逆らわず、粛々と日々の家事に時間を費やし、息子たちに愛情を示しつつ、世話を焼く。息子たちはそれぞれに問題を抱えている。しかしその問題は、具体的な言葉で表されることはない。学校での活動や、日常の遊びの延長の中に、彼らの問題や不満が漏れ出る。

ではそれに対して両親はどう対処しているかというと、自分たちは何もしていない。特に長男に対してはそうだ。次男が受験に成功しそうな状況になるつれ、彼の成績は下がる。それは彼自身が出来のいい兄貴として親から評価されているものの、その評価により自分は野放しにされている感があり、一抹の寂しさを感じているところからくるものだろう。

一方の次男に対して両親は、彼の成績を上げるために、何人目かわからんけども、今度こそうまくいってほしいと思い、吉本を雇う。吉本には、次男が成績を上げるにつれ、インセンティブを支払うことまで父親は約束している。一見するとこの父は、息子のことを思っているように見えるが、彼はレベルの高い学校に息子を入学させることしか考えていない。そして、入学させることの目的については何の意見もないのである。ただ、入れればいいと思っているのだ。母親もそれについては、何の反論もしない。

要するに、この家族は誰もが相手に甘えているだけで、自分自身がどう生きて、どういうことをしたいのか、そしてその目的は何なのか、考えてもいないというか、考える必要性すら感じておらず、単に世の中の雰囲気に流されて生きているだけなのだ。この作品は、そういう風にこの家族を描写しているように見られる。

それはどの家族にも言えるのかも

もちろん、俺自身だって、自分がどう生きてどういうことをしたいのかなんて、そんなに明確な何かを持っているわけではなく、その目的がなんなのかなんて、はっきりは言えない。だけども、この作品を見ているに、この家族の生活には違和感を覚えるのだ。それはタイトルにもあるように、家族でいることのゲームをしているように思うのである。

この当時ほど学歴偏重の社会ではないとはいえ、それは現代社会に格差が広がり、大学に行かせる余裕もないほどの経済状況に陥っている親たちが増えているからだ。その学歴社会的な考えは薄れたとはいえ、本質的には家族の在り方は、この作品がカリカチュアライズしている状況とさほど変わりはないだろう。

吉本は家族ゲームの外側にいる。ラスト以降も家族はゲームを続ける

で、この作品の中で、唯一、家族の外側、つまりゲームの外側の視点を持っているのが、吉本なのである。彼は3流大学の学生でしかも、7年生であり、ちょっとだけ描写される日常は女と過ごすだけのものらしく、しかも、なぜか植物に異常な関心があるのか、常に植物図鑑を手にしている。つまり、異様な男だ。植物に執着しているという意味では、意志を持つ生命である、自分も含めた人間を嫌悪しているのかもしれない。

そんな人物が、次男の成績を上げるべく彼の勉強を見てやるわけだが、彼は別に秀才ではないので、さして教えるのが上手ではないように見える。むしろ彼は勉強を教えるというより、いじめを受けている彼に身の守り方を教えてやる。そういう勉強とは別の部分での処世術を教える。それにより、次男は自分に自信をつけていったのか、なぜか勉強もできるようになっていくのだ。どうしてそうなったのかは多くの描写がないので、俺の推測だが、なんとなくそういう風に見えた。

しかし、その次男とて、ゲームの外側に出ていくことはない。ラストの描写は意味不明だが、おそらく、あの家族は異分子である吉本が去ったあと、最後の晩餐の夜の吉本の行為を理解することなく、また日々の生活の中に埋没し、ゲームを続けることを意味しているのだと思われる。

最後の晩餐が面白い(笑)

では、最後の晩餐にどんな意味があったのかというと、そこも俺にはよくわからない(笑)。わからんのだけども、長男の勉強も見てくれと親父に頼まれた吉本は、それを拒否する。自分が3流大卒なんで、さすがに大学受験までは見てやれないというのも本音であろう。でも、この発言によって何となく思わされるのは、やはり彼は、勉強を教えるというより、次男に処世術というか、生き方を教えていたように思う。

しかし、この最後の晩餐で、彼はこの家族はずっとゲームを続けるだろうし、それを見ているのが嫌になったんだろうと感じた。そして、あの食事を使ったパイ投げシーンがはじまり、なぜか最終的に全員に暴力をふるって気絶させるという暴行に及ぶのだ。彼はゲームの世界から離れたかったんだろうか。

いずれにしても、このめちゃくちゃなパイ投げ的最後の晩餐シーンは笑える。実にすがすがしいシーンだ(笑)。俺は作品内に、おいしそうな食事描写のある映画はだいたい良作ーーという意見を持っている。しかし、この映画に出てくる食事シーンは全然、おいしそうではない。でも、とてもいい映画だ。てなわけで、俺の勝手な説を覆してくれた意味でも、非常に楽しめた作品であった。

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