生きてるだけで、愛。
―2018年公開 日 109分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:数々の企業CMやMVを手がけてきた関根光才監督が、本谷有希子の同名小説を映画化。過眠症で引きこもり気味の寧子は、ゴシップ雑誌の編集部に勤める津奈木の部屋で同棲中。ある日、津奈木とヨリを戻したい元恋人・安堂が現れ、寧子を部屋から追い出そうとする。出演は「勝手にふるえてろ」の趣里、「あゝ荒野」の菅田将暉、「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の田中哲司、石橋静河、「友罪」の西田尚美、「検察側の罪人」の松重豊、「STAR SAND 星砂物語」の織田梨沙、「土竜の唄」シリーズの仲里依紗。撮影を「I’M FLASH!」の重森豊太郎、音楽を「羊と鋼の森」の世武裕子が務める。(KINENOTE)
あらすじ:寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)は同棲して3年。もともとメンタルに問題を抱えていた寧子は鬱状態に入り、バイトも満足に続かない。おまけに過眠症のため、家にいても家事をするわけでもなく、敷きっぱなしの布団の上で寝てばかり。姉との電話やメールでのやり取りだけが世間との唯一のつながりだった。一方の津奈木も、文学に夢を抱いて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事執筆の日々。仕事にやり甲斐を感じることもできない津奈木であったが、それでも毎日会社に通い、ほとんど家から出ることのない寧子のために弁当を買って帰る。津奈木は寧子がどんなに理不尽な感情をぶつけても静かにやり過ごし、怒りもしなければ喧嘩にすらならない。そんな態度に寧子は不満が募るばかりだった。だがお互いに自分の思いを言葉にして相手に伝える術は持っていない。ある日、いつものように寧子が一人で寝ていると、部屋に津奈木の元恋人・安堂(仲里依紗)が訪ねてくる。彼女は津奈木に未練を残しており、寧子と別れさせて彼を取り戻したいと言う。まるで納得のいかない話であったが、寧子が津奈木から離れても生きていけるように、なぜか安堂は寧子の社会復帰と自立を手助けすることになる。こうして寧子は安堂の紹介で、半ば強制的にカフェバーのバイトを始める。当初は嫌がっていたものの、自分を受け入れてくれる店の人たちへ寧子は次第に心を開き出す。だがある日、些細な事がきっかけで、店を飛び出してしまう寧子。同じ頃、津奈木は入稿間際の原稿を巡って上司と言い争っていた……。(KINENOTE)
監督・脚本:関根光才
原作:本谷有希子:(『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫刊))
出演:趣里/菅田将暉/田中哲司/西田尚美/松重豊/石橋静河/織田梨沙/仲里依紗
ネタバレ感想
これは何とも感想がいいづらい作品。最後まで見せきる力があるのは間違いないんだけど、けっきょくなんだったんだろうと思わなくもない。躁とうつ状態を行ったり来たりしてる主人公の寧子の苦しみなどはわかるんだけども、それに共感はできない。
できないけども、バイトの面接をバックレたりしちゃうのは、俺にも経験があるので、その気持ちもわからんくもなくて、俺もそういう病気のケがあったのかなぁなんて思ったり、もしかしたら今も、そういうところがあるかもしれないと思わなくもなかった。
うろ覚えだけども、寧子が津奈木に対して、「あんたは私と別れようと思えばできるけど、私は私と別れられない」というセリフがある。これは刺さる。まさに、鬱的な状況にある人間はそういうふうに思うんだなと感じる。そうなんだよなぁ。自分とは別れられないんだ。死なない限り。
であるから、自分と向き合う必要があるのかもしれんし、あまり向き合わないようにして他人のように付き合う必要があるのかもしらんし、そういうふうに、俺らは生きているわけだ。
しかしまぁ、津奈木という男は主体性がなくてこれも寧子とは違う意味でイライラする人間だが、寧子と同じ家で生きていることによって、彼自身も鬱っぽい状況に陥っていくのはなかなかにリアル。人の感情って伝播するものだし、やっぱ影響されるもんだなと。
あと、田中哲司がいい人の役やってるのを、俺は初めて観た(笑)。
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