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映画『望郷』ネタバレ感想 泣ければいいってもんじゃない(笑)

望郷
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望郷

原作は未読。村社会の恐ろしい一面を垣間見られるところはよいと思うが、全体的にはどうだったかという感想。ネタバレあり

―2017年公開 日 112分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「少女」など映像化が続くミステリー作家・湊かなえの同名連作短編集収録の『夢の国』『光の航路』を映画化。しきたりを重んじる家に育ち島に縛られる夢都子。確執を抱えたまま死別した父の本当の思いを知った航。二人はそれぞれ葛藤を胸に、故郷と向き合う。監督は「ハローグッバイ」の菊地健雄。小説の舞台のモデルであり、湊かなえの出身地でもある瀬戸内の因島を中心に撮影された。主演は、同じく湊かなえ原作の「白ゆき姫殺人事件」でも共演した貫地谷しほりと大東駿介。一般公開に先駆け、特集企画『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017』シークレット作品として上映(上映日:2017年8月11日)。(KINENOTE)

あらすじ:夢都子(貫地谷しほり)は古いしきたりを重んじる家庭に育ち、故郷に縛り付けられていた。幼い頃から本土にあるドリームランドを自由の象徴のように見てきたが、祖母や母(木村多江)を前に、自由を叶えることはできなかった。結婚し幸せな家庭を築く中でドリームランド閉園の話を耳にした彼女は、ずっと胸の内にあったものを語り始める。一方、中学教師の航(大東駿介)は本土から転任し9年ぶりに帰郷。ある日、父(緒形直人)の教え子だという畑野がやってきて、航が知らずにいた父の姿を語りだす。確執を抱えたまま父を亡くした航は、本当の父親を誤解していたことを知るが……。(KINENOTE)

監督:菊地健雄
原作:湊かなえ(『夢の国』『光の航路』(『望郷』文春文庫 所収))
出演:貫地谷しほり/大東駿介/木村多江/緒形直人/森岡龍/浜野謙太/相島一之

内容

夢都子と航は瀬戸内海の島で育った。夢都子は島に残り続けて家庭を持ち、航は島を出て働いていたものの、9年ぶりに故郷にもどってくる。で、2人は閉鎖的な島で暮らす日常に、それぞれ問題を抱えているようだ。その原因は何なのかという話。

感想

『白ゆき姫殺人事件』はなかなか面白かったが

湊かなえの原作を映画にした作品ていうと、『白ゆき姫殺人事件』てのは鑑賞したことがある。あれはけっこう面白かった。この作者は人間のドロドロした負の感情を描くのが作風なんだろうか。どうやら本人の出身が因島という瀬戸内海の島らしいので、本作は作者の体験がいろいろと反映されているのだと思われる。

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クズな人間がたくさん出てきて、そいつらがある一人の人物というか事件について証言をするわけだが、どいつもこいつも、正確な情報を提供できていないのがわかる。この作品ではそれぞれの回想シーンを描写することで、そいつらの言っていることが虚偽であることが示される。全員悪人ならぬ、全員嘘つき! である。

もう1つ、湊かなえ原作の映画記事

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泣かせにきてるだろ、この映画

夢都子のエピソードはちょっとだけミステリー仕立てのお涙頂戴もの。航のエピソードはイジメの話を題材にしつつ、完全に泣かせにきているように思えた(笑)。個人的には「泣ける作品!」的な内容の映画は敬遠するようにしている。

なぜなら、ベタベタな内容で感動の押し売り的な展開をする作品で、泣いちゃうのが嫌だから(笑)。てなわけで、一緒に鑑賞した人の選択で観た本作品、前知識なく映画館に入ったので、もう少しミステリー仕立ての作品なのかと期待していたがそうではなかった。

鑑賞中、感動なんかしねぇからな! と構えていたのにも関わらず、残念ながら少しだけ落涙した。ちくしょう(笑)。おもしろかろうがつまらなかろうが、ベタな展開だろうがそうでもなかろうが、ともかく自分の意に反して内容に涙しちゃうのは、俺にとってはどうにも抗えぬことなんである。どうでもいい話だが。

しかし、内容全体に関して言うと、別におもしろくなかったです。図らずも落涙したシーンはあったが、泣けたらいい映画なのかと言えば、そんなことはない。てなことで、以下はネタバレしつつ、自分が感じたことを。

ネタバレ感想

タイトルに違和感あり

何が変かって、まずタイトルおかしくないか? 望郷って夢都子は一回も地元から離れてないんだから、懐かしみようがないと思うだけどなぁ。航は一応、9年ぶりの故郷ってことだからわからなくはないんだけどね。

コミュニケーションがとれない女(笑)

夢都子のほうは、生まれた家のしがらみがものすごいので、同情しなくもない。もう少しあの親父が母親に対して物言えるやつだったら話は変わったんだろうけど。にしても、この女の人、後に旦那となる男に対する振る舞いがひどくないかね。

大変な思いしてるのは鑑賞者にはわかるけど、彼にはわからないんだから、もう少し言葉で伝えてやれよと。話を聞くって言ってくれてるのに、まともなコミュニケーションをとらないまま、ホテルに連れ込んじゃうという支離滅裂ぶり(笑)。軽くホラーだろ、これ。こんな女とは、できれば関わりたくないと思いそうなもんだが。彼は性欲に勝てなかったのか。

ホラーといえば、夢都子のお祖母さんの描写も、なんか影みたいのだけ映してるシーンとかあって、なんでそんな見せ方するのか意味不明であった。

親父とかよく知りません(笑)

いっぽうの航。こいつ、けっこう薄情なやつで、島で教師をしていた親父(故人)のことを思い出すのが島に戻って同僚の教師仲間と酒を飲んでいた最中。それまでは、墓参りすら行ってない。記憶の片隅の他人みたいな感じなのだ。

その理由が、「自分が小学生の頃に癌で死んじゃったから」。そらぁ、交流があんまなかったみたいだから仕方ないとは言え、ひどくないかね。

ちなみに彼、自分が担任をしているクラスの女子生徒がイジメを受けていて、その解決に向けていろいろしているうちに、生前の親父が生徒に暴力を振るったことがあるらしいことを知る。

で、そんな暴力的な印象はない親父だと思っていたのに、自分も殴られたことがあったのを思い出す(笑)。その後、彼は親父に殴られたきっかけになる自分自身が起こす事件そのものが、親父に対する恨みから起きたことだったことをも思い出すのである。

さらに、親父に恩を受けたという元生徒と偶然出会うことになり、彼から話を聞くことで、航は当時の出来事の真相を知る。その話に出てくる親父の話にいたく感動しちゃった彼は、親父が元生徒に語ってきかせた内容を丸パクリ(たぶん)して、自分の担任する女子生徒を励ますのであった(笑)。

丸パクリはいいとして、こいつは子どものとき、病床の親父に対して心を開けないまま、お別れしちゃっている。で、今回事の真相を知って、自分自身は心が浄化されちゃったような感じになってたけども、親父はおまんとコミュニケーションとれずに死んじゃったことに変わりはないんだがね。

自分は自分の生徒を救えて気分がいいのかもしらんが、親父は無念を抱えたまま死んでいるのである。であるから、航は事の真相を知ることで、もう少し悔恨の念にかられそうなもんだが。そういう描写は皆無であった。ひどい。もしかしてあったのだろうか。涙でスクリーンが霞んでしまった俺には、確認できなかったのかもしれない(笑)。

村社会の負の一面を見られるのはよかった

てなことで、二つのエピソードをラストで一つにまとめ、申し訳程度の感動を呼び起こす内容になっていたが、個人的にはあまり楽しめない作品であった。

実は夢都子のエピソードが終わったとき、これで劇終なんだと思った。オープニングで出てきた島に戻ってきた男(航のこと)、あいつは謎の脇役だったなぁとか思っていたら、その航の話が始まったことに驚かされ、「この映画まだ続くのかYO!」と思ってしまったのである。

村社会というか島社会? の恐ろしい一面を垣間見られるところはよいと思うが、全体的には残念作品でした。

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