告白(2010)
結末に溜飲は下がるが、そもそもの元凶は人殺し少年の母親のエゴにあるような。自分の才能を子に押し付けて去っていくってどうかと思った。爆殺される直前に本人は息子を思って涙を流してたが、そんなんだったら、最初から責任持って彼のことを育てろよと思ってしまった。ネタバレあり
―2010年公開 日 106分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:湊かなえの同名ベストセラー小説を原作に「パコと魔法の絵本」の中島哲也がメガホンを取ったミステリー。教え子に娘を殺された中学校教師の復讐を描く。出演は「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の松たか子、「僕の初恋をキミに捧ぐ」の岡田将生、「キラーヴァージンロード」の木村佳乃など。(KINENOTE)
あらすじ:とある中学校。終業式後のホームルームで、1年B組の担任・森口悠子(松たか子)は、37人の生徒を前に語り出す。私の娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです……。一瞬、静寂に包まれる教室。事件に関わった関係者たちの告白によって真相が明らかになっていく中、森口は、罪を犯して反省しない犯人に対し想像を絶する方法で罰を与える……。(KINENOTE)
監督・脚本:中島哲也
原作:湊かなえ(双葉社刊)
主演:松たか子/岡田将生/木村佳乃高橋努/能年玲奈/橋本愛/芦田愛菜
ネタバレ感想
科学者の母が糞人間
この作品に登場する中学生たちは、追い詰められてどうしようもなくなったときに、自分の本音を怒りの感情としてしか表現できない人たちのように見えた。日常では本音を押し殺している。それは育っている環境がそうさせていたのかも。本来、そうしたやり場のない感情を受けとめる役割を果たすのが誰かと言えば、親にもその義務があるのではないか。この作品に登場する親の中で、松たか子以外の親はその義務を果たしていない(松の子どもは大分幼いけど)。
特に、科学者母のような独りよがりな愛情では子どもは満足しないんだろうね。そう思った。その場の勢いとか、子どもを生むのが人間の社会的義務だからとか、結婚生活の中で子どもを生むのが当たり前とか、それぞれの人間が子どもを生み、育てるにはそれなりの理由があるんだろう。
子どもを生んだことで、その子が不幸になり、生んだ両親も不幸になってしまうのだとしたら、それは生む選択をした親に罪がある。自分が子どもを持ち、責任を持って育てるには、覚悟が必要だ。命を生みだした責任を負う覚悟が、科学者母にはなかった。
息子にそんな母を殺させる松たか子の選択を悪いとは言わぬものの、未成年だろうがなんだろうが、殺人を犯した人間として責任を負わせるという結末は悪いとは思わぬものの、ああした結末を招かないためには、科学者の母親は、才とは関係なく、息子がいることを肯定し、無償の愛を注げられていればよかったのに――と思わずにいられない。
もう少し若い頃に鑑賞したら、もっと別の感想もあったかも
というのは、中年になった今の自分(しかも子どもはいない)が観た感想だ。恐らく、もう少し若い頃に観ていたら、中学生側の立場からいろいろ思うこともあったように感じる。ウェルテルほどでもないけど、ああいう薄っぺらい先生(今考えてみるとだが)いたからなぁ。
湊かなえ原作の映画記事↓
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