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映画『白ゆき姫殺人事件』ネタバレなし 中立的視点で他人を語れるのか

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『白ゆき姫殺人事件』

なんか無理やり感のある種明かしだったものの、そこそこ楽しめる作品です。メディアのあり方やSNSが浸透した社会の現状を風刺しつつ、登場人物らの言動を通じて他者が他者を語る際の言葉――その信頼性の薄さを浮き彫りにしている。ネタバレなし 

-2014年公開 日本 126分-

解説:『告白』で第6回本屋大賞を受賞、「告白」「北のカナリアたち」など映像化が相次ぐ湊かなえの同名ミステリーを映画化。美人OL惨殺事件に絡み、被害者と同僚の女に疑惑の目が向けられ、インターネットやマスコミなどを介し彼女にまつわる噂が一人歩きしていく。監督は「ジェネラル・ルージュの凱旋」「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋。疑惑の目を向けられる地味なOLを「永遠の0」「八日目の蝉」の井上真央が、事件を追う男を「シャニダールの花」「クローズZERO II」の綾野剛が演じている。ほか、テレビドラマ『主に泣いてます』の菜々緒、「転校生-さよなら あなた-」の蓮佛美沙子、「くちづけ」の貫地谷しほりらが出演。(KINENOTE)

あらすじ:日の出化粧品の美人社員・三木典子(菜々緒)が殺害された。典子と同期入社をした地味な女性・城野美姫(井上真央)に疑惑の目が向けられ、美姫の同僚やかつての同級生、家族らワイドショーの取材を受けた関係者は彼女について衝撃的なことを語る。やがて報道やインターネットで過熱気味に取り上げられ、噂が一人歩きしていく……。(KINENOTE)


監督:中村義洋
原作:湊かなえ
出演:井上真央/綾野剛/菜々緒/金子ノブアキ/小野恵令奈/谷村美月/染谷将太/秋野暢子/ダンカン/宮地真緒/蓮佛美沙子/生瀬勝久

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こういう作品が多いのも、時代を表しているのか

別に狙ったわけではないんだが、なんだか最近、第三者がある登場人物について語る映画をたくさん見ている。しかも、出てくる人間のほとんどに共感できないというところも共通点。こないだの『愚行録』とか。『桐島、部活やめるってよ』は全然違うけども、女性同士の嫌な関係を描いている時点では、似たような感覚を味合わされたのである。

どれも原作は直木賞候補作家や芥川賞作家らの作品って考えると、ここ数年間でこれらの作品が生まれるに至った、普遍的かつ時代的な問題があるんだろうね。

映画『愚行録』全員悪人! ネタバレ少し
仕掛けられた3度の衝撃! …だそうです。衝撃だったかどうかはおいといて、胸糞悪くなるほど出てくる奴らが全員クズ。ということで、北野武監督作品『アウトレイジ』のコピーを借りて、全員悪人というお話を。ネタバレはちょっとだけ…。
映画『桐島、部活やめるってよ』○○、人生やめるってよ
自分がたどってきた道を振り返らずにはいられなくなる作品です。基本的に、作中の人物は自分のことをさほど語らない。で、他人から語られることによって、その本人を描写しているのである。この記事では宏樹君の話が中心になります。

嘘つきばかり出てきます

てなことで、この物語でもクズな人間がたくさん出てきて、そいつらがある一人の人物というか事件について証言をするわけだが、どいつもこいつも、正確な情報を提供できていないのがわかる。この作品ではそれぞれの回想シーンを描写することで、そいつらの言っていることが虚偽であることが示される。全員悪人ならぬ、全員嘘つき! である。

他人が他人を語るときって、その語り手の主観、語る相手に対しての人物評というか印象というか、つまり好悪がどうしても入ってしまうものだってことがわかる。他人の印象について、中立な視点から語るのって実は難しいのである。そして、語る本人が損をしないように、嘘も混ぜるわけだ。

だから、他人が他人を語るにおいて、真実というものを抽出するのはほぼ無理なのである。そこで必要なのが、なるべく多くの人から事情を聞くということだ。そして、聞き取った情報の中から矛盾や嘘を整理していく中で、真実が形になって現れてくるのである。この映画がそういうことを描きたかったのかどうかは知らんが。

あと、これを言ってしまったら作品成り立たないんだろうけど、こうやって証言を集めて事件を解決に導くのって警察の仕事だよね(笑)。『愚行録』もそうだったけど、警察がきちんと調べれば普通に犯人はお縄を頂戴されると思う。まさか袴田巌氏みたいなことにはならんでしょ。現実と虚構を比較して語ってはいかんのかもだけど。

映画『袴田巌 ―夢の間の世の中―』袴田事件なんてないんです!
「袴田事件なんてないんです!」袴田氏は何かの会見でこう言っていた。そうなのだ。世間が名付けた事件名、当人にとっては存在しないのである。袴田氏の言えることは、ただそれしかないのだ。

SNSが廃れたら、あの描写は意味不明だ

俺はこのブログで申し訳程度にツイッターを使っているものの、かなりのSNS弱者である。ハッシュタグとかいうのの使い方も、つい最近知ったくらいだ(笑)。だから、この作品で描かれるSNSユーザーたちの投稿について、何の面白味があってああいうことをするのか、よくわからない。わからないので、それらのコメントのいちいちに嫌な感じを覚えたものの、そういうユーザー心理に触れるのは控える。

ただ、画面上にSNSの投稿が浮き出てくる手法はこの作品でも功を奏している。前に『ロスト・バケーション』でも触れたあれだ。こうでもしないと、SNSでのやり取りを作品内で表現するのって難しいのかもしれない。

映画『ロスト・バケーション』完全無欠のシャークキラー現る!
主人公のナンシーは頭の回転が速く、パニックになりつつも冷静な判断ができる。そして、観察力がありそれを行動に活かすための知識みたいのもある。で、サーフィンもうまいみたいだし、泳ぎや素潜りもできる。別のサーファーには容姿も褒められていた…。つまりこの女性、ほぼパーフェクトな人なんだよね。ネタバレあり

何十年か後、SNSが廃れた時代が来るとしたら、その時代の人がこの作品を見ても、あの描写のことが何なのかわからないってこともあるのかも。それは俺らが昔の映画を見て、電話交換所の交換手が何をやっているのかよくわからんのと同じことだろう。時を経ても何らかの普遍性を有し、どの時代の人が見ても楽しめる作品としての強度を持たせるには、どういう要素が必要なんだろうか。

湊かなえ原作の映画記事↓

映画『告白』ネタバレ感想 あの結末の元凶は誰か
結末に溜飲は下がるが、そもそもの元凶は人殺し少年の母親のエゴにあるような。自分の才能を子に押し付けて去っていくってどうかと思った。爆殺される直前に本人は息子を思って涙を流してたが、そんなんだったら、最初から責任持って彼のことを育てろよと思ってしまった。ネタバレあり ―2010年公開 日 106分―
映画『望郷』ネタバレ感想 泣ければいいってもんじゃない(笑)
原作は未読。村社会の恐ろしい一面を垣間見られるところはよいと思うが、全体的にはどうだったかという感想。ネタバレあり ―2017年公開 日 112分―

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