フライト・ゲーム (2014)
解説:『エスター』などのジャウマ・コレット=セラ監督、主演に『96時間』シリーズなどのリーアム・ニーソンと『アンノウン』のコンビが再度手を組んだサスペンスアクション。ニューヨークからロンドンへ向けて飛び立った旅客機内で起きる連続殺人に立ち向かう機内警備担当の連邦保安官が、その意外な犯人と真相にたどり着くさまが描かれる。『エデンより彼方に』などのジュリアン・ムーアらが共演。謎とスリルが押し寄せる息詰まるタッチはもちろんのこと、爆発する旅客機や機内での銃撃といったアクションも迫力満点。(シネマトゥデイ)
あらすじ:ニューヨークより146人の乗客乗員が搭乗した、ロンドンへと向かう旅客機。その警備を任されている連邦保安官ビル・マークス(リーアム・ニーソン)のもとに、1億5,000万ドルを指定口座に入金しなければ20分おきに機内の人間を1人ずつ殺害するという異様な犯行予告メールが届く。限定されたネットワークからメールが送信されたことから同僚が犯人ではないかと思いつつ、犯人の特定に奔走するビル。そしてメールの内容通りに、機内で1人ずつ人が命を落とす。やがて、地上から犯人が指定した口座はビルのものであることが判明する。(シネマトゥデイ)
監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン/ジュリアン・ムーア /ミシェル・ドッカリー
以下、ネタバレしてます!
類似のシチュエーション作品に劣らない面白さ!
旅客機などの飛行機を舞台にした映画と言えば、『エグゼクティブ・デシジョン』 がすぐに思い出される。これは非常に面白い映画です。セガールがあまり活躍しないからってのが大きいんだが。あとは『乱気流/タービュランス』なんてのもあったね。これもなかなか。レイ・リオッタがいつも通り冷酷な顔を見せつけてくれる。他には、『フライト・プラン』とか。これは…、まぁいいでしょ(笑)。で、『フライト・ゲーム』ですけど、これらの作品に勝るとも劣らない面白さ。ある部分では超えてます。ちなみに『フライト・プラン』は「これら」に入りません(笑)。
頑張れアルカホリック!
今回のリーアム・ニーソンは、娘大好きアル中パパ。とは言っても、娘は亡くなっていることが後々わかる。そして、娘の死がきっかけでアル中になったことも。こうした過去が大きな意味を持っていて、物語に厚みをもたらしている。娘を亡くしてアル中なんて、ベタと言えばベタな設定だけど、『捕らわれた女』みたいな消化不良および説明不足がないから、全然いいですな(笑)。
無駄のないキャラ配置
んで、主人公は娘のことが忘れられないので、搭乗時に出会う、当時の娘と同年代くらいの少女にとても優しい。いっぽう、それ以外の人に対しては、かなり無愛想。冒頭からけっこうそんなシーンが続くんだけど、そういうところも後に伏線だったことに気付かされる。
つまり、モブキャラかと思ってた人も物語が進むにつれて何がしかの役割を果たしていて、そういう意味では登場させるキャラに無駄がない。背景のようなエキストラ的な人を除いては、ほぼ、物語に絡んでくる。これって結構すごいよね。つまらない作品だと、意味あり気にしゃしゃり出てくる割には、結局なんだったのかよくわからない人ってよくいるから。
面白いのは、犯人探しの緊迫感
この映画の面白さは、犯人探しの緊迫感が終盤まで持続することにあると思う。主人公は犯人に翻弄されっぱなし。いろいろ考えて手を尽くすものの、犯人の策略によって、いつの間にか自分が犯人扱いされるシチュエーションにどんどん追い詰められていく。だから、この窮地をどう脱するのかってとこが気になって、目が離せないんですな。
で、犯人が判明してからは別の窮地に立たされる。内容としてはありがちな窮地ではあるものの、別に気にならない。物語に集中しちゃってるからね。本当に、うまくできたストーリーですなぁ。
本官、自己開示するであります!
ただ一箇所だけ、強引すぎねぇか? と思ったのは、犯人の濡れ衣着せられてた主人公が乗客や乗務員らの疑いを晴らすシーン。武器を使った脅しとか暴力でねじ伏せるのではなく(ところどころそれも駆使してますが)、なんと、自己開示をするのである(笑)。
「俺はアル中だ! 娘がいたが病気で亡くした! 病気が判明したとき、娘が死んじゃうのが怖くて、看病もせず仕事で忘れようとした! そしたら本当に死んじゃった! 俺バカだ! 酒に溺れた!」かいつまんで言うと、こんな感じだったかな。「でも、俺は犯人ではない! 乗客のあんたらを助けたいんだYo!」みたいな。ある意味、一世一代のフリースタイルラップである。
そしたら、なんかこの自己開示が効果てきめん。もちろん、主人公のライム(してない)やフロウ(ただ喋っただけです)に感動したわけではない。でも、みんな彼のことを信用しちゃうのである。
機内の空気、変わりすぎでは?!
それはチョッとうますぎんだろ? とは思うものの、居丈高で時には暴力も行使しながら強引な捜査を進めてた大男が、半ベソかいて弱みをさらけだしたら信用しちゃう人もいるんだろうねぇ。
恐らくあの機内は、そういう心の広い乗客が半分以上を占めてたんだよ、きっと。だから、信じてなかった人も、なんとなく周りの同調者の多さに飲まれちゃったに違いない。多分。
ラスト、協力者であったジュリアン・ムーアと顔を合わせ、とびきりの笑顔? でニヤリとするリーアム・ニーソン。あの表情、卑猥なこと考えているようにしか見えなかった。
ともかく、見る人を選ばない面白い作品です!
コメント