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映画『獣道(2017)』ネタバレなし感想 実話をもとにした青春ドラマ

獣道
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獣道(2017)

地方都市に生きる若者たちを描いた青春映画。爽やかな内容ではなく、行き場も居場所もない若者たちが自暴自棄的に生きる姿が描かれ、切実な何かを感じさせる内容の作品であった。ネタバレはないです。

―2017年公開 日=英 94分―

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解説あらすじ・スタッフとキャスト

解説:「下衆の愛」の内田英治監督が大人に翻弄される地方都市の若者を映し出す、実話を下敷きにした青春ドラマ。母親に入れられた宗教施設が摘発され様々な人の間を転々とする愛衣。彼女に思いを寄せる不良の亮太。二人は現状から抜け出し居場所を探そうともがく。「下衆の愛」に続き、イギリスの映画製作・配給会社サードウィンドウフィルムズ代表アダム・トレルがプロデューサーを務める。「悪の教典」の伊藤沙莉扮する愛衣、「スイートプールサイド」の須賀健太扮する亮太を中心に、本能のまま荒くれた人生を突き進む若者を描く。共演はお笑いコンビ・マテンロウのアントニー、「太陽を掴め」の吉村界人ほか。(KINENOTE

あらすじ:ある地方都市で生まれた愛衣(伊藤沙莉)は、母親の愛情に飢えていた。新興宗教にはまった母親は彼女を宗教施設に入れ、7年もの間世間から切り離された。教祖や信者たちと疑似家族を作り上げていったものの、教団が警察に摘発され、愛衣は保護される。母はすでに別の宗教を信奉しており、家にも初めて通う学校にも居場所はなかった。愛衣はヤンキー一家やサラリーマンの家などを転々としながら生きる場所を探していく。そんな彼女に恋をする亮太(須賀健太)にもまた居場所がなかった。半グレたちの世界に入る亮太、風俗に身を落とす愛衣。やがて二人は地方社会に飲み込まれていき……。(KINENOTE

監督・脚本:内田英治
出演:伊藤沙莉/須賀健太/アントニー/吉村界人/でんでん/近藤芳正

感想

地方都市の世相を反映している

実話から題材を得た作品らしい。どこまでが事実に基づいているのかはよくわからないが、最近の邦画には、こうした息苦しい地方都市で生きる若者たちの姿を描く作品が多い。その何作品かはすでに鑑賞しているので、興味があれば、下記のリンクを参照してください。

いずれにしても、こうした類似作品がたくさん世に出るのは、現代日本の世相を反映しているのは間違いないのだと思う。生まれた環境が悲惨すぎる若者が増えているのは、格差社会がリアルに進んでいるということだ。俺は地方には観光で訪れるくらいなので、そこに生きる一部の若者たちの生態というのは全くわからない。

わからないけども、こうしたフィクションの作品や、ヒップホップなどの音楽作品を通じて、地方社会の実情を垣間見せてもらっているという意味では、こうした作品の持つ意味は大きい。

若者をまともに育てられない社会

ともかく、この作品においては終始、ある種の切実さを感じる。何となく間の悪いシーンの移り変わりや、あんまり演技が上手に見えない役者さんがいたりするものの、画面から訴えかけてくる何がしかのパワーがあり、やはり、切実さがあるのだ。それとも俺が、そういう部分しか読み取れないのか。

いずれにしても、現在の日本の疲弊した状況が、若者たちの荒んだ生活を通じて垣間見れる作品である。

作中、明確に死んだと思われる人間がいるが、その男を殺した人間は罪に問われずに逃げ切れるのだろうか。その辺は描かれていないからよくわからんが、あれはけっこう無理があるようには感じた。

とはいえ、ところどころコメディタッチな描写もあるので、最後まで面白く観られる作品です。

格差社会を是正できるか

先ほど、格差が広がっているというようなことを述べたが、主人公の愛衣が一時期居候することになる会社員家庭。ああした中流の家庭を築ける親が現代には減っているということだろうか。よく考えてみると、あの親父は俺よりは少し年上くらいの世代の男であり、おれ自身も人の親になっていておかしくない歳の人間だ。

そこで、自分の友人の既婚者を思い出してみるに、あのくらいの水準で暮らせていそうな奴もいれば、そうでない奴もいる。地方だと仕事も少ないだろうから、家族を養うのって余計に大変なんだろうなーなどと、他人事のように思ってはみるものの、俺も独身の癖して大した生活をできていない。

ともかく思うのは、俺は親に何不自由なく育ててもらったが、俺にはそれができる力がないということだ。そんな頑張る気がないとも言える。それは俺の自己責任で選んでいる人生なので、社会がどうこうとは言いたくないけども、そもそも国民をきちんと食わせるのが政府の役目だと思うので、きちんと何とかしてもらいたいとも思う。ま、今の政府にそんなもんは微塵も期待できないわけだが。

飛躍するが、俺は格差を是正するには今の拝金主義的資本主義から脱却せなならんと思っている。では、それに変わる体制に何があるのかと言われれば、理想だけを言えば、栗原康氏的な、無支配主義(無政府主義)の世界になればいいのではないか。まぁしかし、それは無理だろう。俺も含めてみんな、私利私欲にまみれた糞でありますからな。何を言っているかわからんと思うので、下記に栗原氏に触れた記事のリンクも置いておきます。

だいぶ話がそれたが、そんな感想を抱いた作品でした。

書籍 栗原康『死してなお踊れ 一遍上人伝』感想 「いくぜ極楽、なんどでも!」
一遍上人の生涯を紹介した本書は、一遍上人の言がそのまんま栗原氏の言として息づいている。一遍上人を介して栗原氏が己の信ずる思想を述べているのである。「はじめに」と「おわりに」ではユーモアを交えつつ、より栗原氏の現実に即した話が書かれていてそこも面白い。「いくぜ極楽、なんどでも!」 ―河出書房新社  2017/1/27―
書籍 栗原康『村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝』感想 やっちまいな!
アナーキストの大杉栄の奥さんであった伊藤野枝なる人物を紹介しつつ、「あたらしいフェミニズムの思想をつむいでいきたい」という内容である。タイトルにある「村」とは、世にはびこる常識によって生きづらくなっている今の社会のことを示しているらしい。そんな村社会に火をつけて、バカになって助け合おうということか。やっちまいな! ―岩波書店 2016/3/24―
書籍『はたらかないで、たらふく食べたい』栗原康 著 人間はウンコだ(笑)
面白い書籍だ。「なるほど、そういう考え方もあるんだな」と思わせる視点で意見を放ったかと思うと、そのすぐあとにユーモアのあるふざけた一文を入れてくる。「はたらかないで、たらふく食べたい」人はぜひ! ータバブックス (2014年4月21日)ー
書籍『現代暴力論「あばれる力」を取り戻す』栗原康 感想 生きる力を解放しろ!
栗原氏の書籍、読むの4冊目。出版された順番を確かめてないのでよくわからんが、過去に読んだ3冊のエッセンスを1冊にまとめたような感じの内容だった。社会の束縛なんて関係ない、自分の生きる力を解放しろ! ということで、これを読んだうえで、このブログにあがってる栗原氏の他の書籍も読むといいかも。
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