ATM
それなりに先が気になる展開ではあるが、さほどハラハラドキドキするようなシーンもないので、最後まで観られない人もいるかも。俺は犯行におよんでいる犯人の動機が気になったので最後まで観られた。そして鑑賞直後、あのオチなら観なくてもよかったかなと思った(笑)。ネタバレあり。
―2012年公開 米 90分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:氷点下のある夜、何者かの罠により、ATMコーナーに閉じ込められた男女が体験する恐怖を描くシチュエーション・スリラー。出演は「ハート・ロッカー」のブライアン・ジェラティ、「さよなら、僕らの夏」のジョシュ・ペック、「推理作家ポー 最期の5日間」のアリス・イヴ。「[リミット]」のクリス・スパーリングが脚本を担当。(KINENOTE)
あらすじ:デイビッド(ブライアン・ジェラティ)は投資会社に勤務する会社員。同僚のエミリー(アリス・イヴ)に密かに想いを寄せていたが、金融業界に見切りをつけたエミリーはNPOへの転職が決まっており、クリスマスパーティー当日が最後の出勤日となっていた。そこで、彼は思い切って彼女に声を掛け、家まで送って帰ることになる。ところが、同じく同僚のコーリー(ジョシュ・ペック)からも乗せてほしいと頼まれ、やむなく3人で同じ車に乗り込むことに。途中、現金を引き出したいというコーリーの頼みによってATMコーナーに立ち寄るデイビッド。しかし、見知らぬ男が現れたことをきっかけに、現金を引き出すという日常的な行為が、3人の生死をかけた戦いに一変する。何者かが仕掛けた罠にはまり、ATMコーナーに閉じ込められてしまったのだ。真冬の季節、外の気温はマイナス21℃。凍死寸前の極寒の夜、日が昇るまではまだ時間がかかる。ATMコーナーの中で孤立した彼らに残された選択は、仕組まれたゲームに乗ることだけだった……。(KINENOTE)
監督:デヴィッド・ブルックス
出演:ブライアン・ジェラティ/ジョシュ・ペック/アリス・イヴ
ネタバレ感想
序盤、主要人物3人の紹介的描写と、なぜATMに訪れる必要に迫られたかの説明シーンが続く。最初のほうは、主人公デイヴィッドのヘタレぶりにイライラしながらも微笑ましく観ていたが、最初こそいい奴かと思わせておきながら、ただの利己的野郎だったことがわかる、会社の同僚・コーリーの糞ぶりが判明してからATMに向かうまでのくだりは、無理があると感じた。
主人公のデイヴィッドは、コーリーとそれなりに付き合いがあったんだろうから、彼がああいう糞野郎だというのはわかっていたはず。だから、あんなん車に乗せないでエミリーをさっさと送ればいいのである。
仮に、コーリーがあんな空気読めないバカだと初めてあのときに気付いたんだとしたら、それはそれで仕方ないか…と思うよりは、作り手側が物語展開のために強引にああいうキャラ設定にしたようにしか、感じられなかった。
作り手の描きたいもののために、この作品は終始、物語展開の細部に杜撰さを感じるのである。違う言い方をするなら、ストーリーのために主人公たちをボンクラ人間に描いているということだ。
たとえば、鑑賞者が誰もが思うであろうことがある。ATMの外で待ち構える殺人鬼は1人。主人公側は3人だ。一斉に別々の方向に逃げれば誰かが助けを呼べるだろ。違いますかね? 劇中では「殺人鬼は奴一人とは限らない」というようなセリフがある。その可能性を捨てきれない3人が、別々に逃げようとしないのもわかるんだけども、けっきょく何度かは外に出ることになるんだから、普通試すと思うんだけどな。
あと、スプリンクラー。あれ、最初から警報鳴らそうと頑張ると思うぞ、普通。殺人犯は緻密な計画を立てて犯行に及んでいたのはわかる。わかるんだけど、この映画においては、主人公たちがわざわざ相手の策にはまりにいっているような印象しか受けない。で、実際にはまっていっちゃってのあのエンド。
あと、エミリーは肩車から落下してどこかに頭でもぶつけて死んだってことでいいの? まさか犯人はそこまで計算していたとは思えないんだが。
主人公たちは金融業で働いているから、彼らに投資で損をさせられた人間の怨恨による犯行かと思わせておいて、単なる殺人愛好者が遊びで選んだ対象がたまたま居合わせたあの3人だったみたいなオチ。
ラストで犯人が、また別の場所で自分が捕まらずにすむ計画殺人遊びをしようとしているが、だから何なんだよ、勝手にしてくれよ。と思わずにはいられないバカ映画であった。
ストーリー展開のために主人公らの動きが制限されて、それが単なるバカな行動にしか見えないってのは、作り手の技量の問題だと思う。そういうのが感じられる映画という意味では、勉強になったかな。
突っ込みどころ満載なので、その辺を楽しめる人なら最後まで観られると思います。おすすめはしない。
コメント