ザ・ウォード 監禁病棟
ジョン・カーペンター監督の作品はけっこう好きなのが多いし、このブログでもいくつか紹介している。そのカーペンター監督作にも関わらず、この作品は楽しめない。2度目の鑑賞であったが、初見時と印象の変わらない残念作品であった。何が残念かというと、個人的にはオチを含めたストーリーが最も残念なポイントだ。ネタバレあり
―2011年公開 米 89分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:身に覚えのない罪で精神病棟に隔離され、奇妙な出来事に巻き込まれるヒロインの姿を描く「ゴースト・オブ・マーズ」のジョン・カーペンター監督作。(KINENOTE)
あらすじ:1966年。20歳のクリステン(アンバー・ハード)は身に覚えのない放火の罪で精神病棟に送られる。同年代の少女ばかりを収容する奥の病棟に隔離され、そこでは一人ずつに部屋があてがわれた。クリステンは、初日の夜から見えない人の気配を感じ、いわれのない不安を抱く。同じような境遇の少女は、ボロボロのぬいぐるみを抱くゾーイ(ローラ・リー)、華やかなサラ(ダニエル・パナベイカー)、絵を描くのが好きなアイリス(リンジー・フォンセカ)、歌を得意とするエミリー(メイミー・ガマー)の4人。自分のことを狂人と認めている彼女たちとは違うと自負するクリステンであったが、担当医ストリンガー(ジャレッド・ハリス)と面接する中、自分の仕業とされる放火を見たことと自分の名前以外、一切の記憶を失っていることに気づく。さらにその夜、廊下を歩く奇妙な女性の姿を目撃し、事態は新たな展開を迎えるのだった……。(KINENOTE)
監督:ジョン・カーペンター
出演:アンバー・ハード/メイミー・ガマー/ダニエル・パナベイカー/ローラ=リー/リンジー・フォンセカ/ミカ・ブーレム/ジャレッド・ハリス
ネタバレ感想
いきなりネタバレします。この作品はオチを知らないほうが楽しめるので、未見でこれから本作を鑑賞しようとしてるなら、この先は読まないほうがいいです。ちなみに、『アイデンティティー』という映画のオチにも触れているので、そちらを知らない方もご注意ください。
ラストのオチについて
ということで、最後の部分。クリステンはアリスという主人格がつくりだした、別人格だったことが判明する。それだけでなく、あの病棟で一緒に過ごしていた女性たちは、全員アリスの別人格。物語冒頭で消されたタミーは、病棟の治療によって消されたアリスの別人格であり、その代わりにつくられた人格が、クリステンらしい。
てことは、あの病院でのアリスの治療は全くうまくいってないようだ。とかまぁ、それはどうでもいいとして、ともかく、多重人格を題材にしたミステリーかつホラー作品だったのである。
主人公が多重人格者でしたというオチ
この作品が作られたのは、2010年くらいらしい。主人公が多重人格者だった的なオチの作品は、類似作品がすでにいくつもある。だから俺は初めて観たとき、『アイデンティティー』と一緒じゃん。と思ったのである。同作から7~8年もあとの作品で同じようなことオチにもって来ちゃうカーペンター監督に、度肝を抜かれた。残念ながら悪い意味で。
ついでにこの作品て、カーペンター監督っぽさをあまり感じないんだよね。どこがって言われると返答に困るんだけど。
多重人格の人間が出てくるミステリー映画の中での個人的な一押し作品は、ジョニー・トー大先生の『MAD探偵』がある。これは本作の数年前に製作されている。
で、人格消されちゃうクリステンとかは、自己意識はあるんだと思うの。だから、この作品で描かれるように、主人格であるアリスを治療のため別人格を消してしまうのって、殺人と言えば殺人だと思う。物語とは関係ないが。
ちなみに、2017年公開された多重人格者を題材にした『スプリット』て映画があった。多重人格を題材にしながら、別の展開を披露してみせたシャマランパイセンは、何気に優れた監督だなぁと思った。なかなか面白く観られたし。
いっぽう、本作のカーペンター監督はこの映画以降、新作を出してない。何とかあと一作くらい、頑張って作ってほしい。好きな監督なので。
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