要塞警察
ジョン・カーペンター監督の中でも好きな作品の一つ。主人公側のキャラが渋い。細かい説明的なセリフを使わずに、偶然出会って戦うことになった人間たちの信頼関係みたいなのがよく描けている、カッコイイ映画です。ネタバレあり。
―1976年製作 米 91分―
解説とスタッフ・キャスト
解説:ストリートギャングに娘を殺された男が逃げ込んだ警察署は移転のためにわずかばかりの署員しかいなかった。追いかけて来たストリートギャングは分署を完全に包囲し姿無き攻撃を開始。偶然護送されて来ていた凶悪犯と黒人警官の二人は協力して彼等を迎え撃つ。投げ渡されたショットガンで敵を撃つ有名なカットの再現に見られるように、ハワード・ホークスに心酔するカーペンターが「リオ・ブラボー」のオマージュとして作り上げたアクション。 (yahoo映画)
監督・脚本・音楽:ジョン・カーペンター
出演:オースティン・ストーカー/ダーウィン・ジョンソン/ロウリー・ジマー
不気味なギャング団VS少女の親父
移転予定で人の少ない警察署に赴任? してきた黒人警部補ビショップ。突如そこへ、謎のギャング団が襲撃してくる。ビショップと残された署員は、たまたま護送されてきた囚人たちと共闘してギャングたちと戦うことになる。という話。
まず、ギャング団がなんだか不気味。一味の1人、スナイパーライフルを手にした金髪兄ちゃんは、移動販売のアイスクリーム屋店主とアイスを買いに来た少女を無慈悲に撃ち殺す。それで、少女の親父が怒る! そらそうだ。
親父は瀕死のアイスクリーム屋店主から、ダッシュボードに拳銃を隠していることを教えてもらい、拳銃を手にして金髪兄ちゃんを撃ち殺すのである。やるやん。返り討ちかと思ったのに、やるやん。でも、なぜか彼の気合はそこで途切れ、恐ろしくなって? 近くの警察署に逃げ込むのである。
警察署ごとぶっ潰す!
そこがビショップのいる署で、ギャングたちは金髪兄ちゃんの弔いと恨みのある警察に対する復讐も兼ねて、署を囲んで銃を乱射してくるのであった。
と書いているけども、ここまでの展開、特に詳しい説明はない。例えばギャングたち。「くそっ、金髪がやられた!」「あの親父を殺せ!」「警察署に逃げたぞ! こうなったら警察に乗り込んで皆殺しだ!」的な派手で物騒なセリフはひとつもない。彼らは淡々と、大人数を集めて署を囲んでくるのである。
これがいいんだな。この不気味さが。本作はホラー映画も撮れるカーペンターの初期の作品らしいけども、彼のよさは、こうした不気味演出が巧みなところではないだろうか。何考えてるのかようわからん奴らにいきなり襲われるわけだから、警察側からしてみたらたまったもんではないのである。
人力要塞
で、警察側は2人の囚人にも銃を持たせて一緒に戦うことに。ここも大した説明を用いずに共闘関係になることが描かれる。囚人2人のうちの1人、ナポレオン。こいつはかなりの悪党らしいんだけども、どう悪党なのかは深く説明がされない。いつもタバコを吸いたがっているだけで、言葉少な。でも、銃はもちろん扱えるし、度胸もあるから非常に頼りになるのだ。
だからこそ、警察側のビショップも彼を信頼して、協力してもらうのである。もうひとついいのが、彼らとともに戦う女性署員。なんか人生に絶望しちゃったような能面みたいな表情なんだけども、もちろん感情はある。同僚の女性がなくなっちゃったところなんかは、けっこう気にしているような描写があったし。
ともかく、この人生半分降りちゃってるような印象を受ける女性も度胸があるので、頼りになるのだ。ナポレオンも彼女のことを憎からず思っているような接し方をしている。てなことで、もう1人の囚人もなかなか頑張ってはくれるけども、彼はどうでもいいとして(ごめんw)、この3人がたくさんのギャングたちを迎え撃つ姿にしびれるのである。
移転作業中のためか武器弾薬が少なく、圧倒的不利な状況の中で、3人はゾンビのように無機質なギャングどもと、生き残りをかけた死闘を繰り広げるのであった!
邦題が要塞警察ってことで、初見の時は、なんかすごいハイテクな武器を持った警察基地の話かと思わされたが、なんと、居合わせた人たちが共闘して自分たちの命を守り抜くため、要塞のように強固なチームワークを発揮する? 話なのである。未見の方にはオススメです!
その他のカーペンター監督作品↓
イーサン・ホークとローレンス・フィッシュバーン主演のリメイク、『アサルト13要塞警察』も、なかなか面白いのでオススメです。
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