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映画 マウスオブマッドネス ネタバレ感想 サムニール主演のカーペンター作品

マウスオブマッドネス
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マウス・オブ・マッドネス

ジョンカーペンター大先生が、作家、ラヴクラフトのつくりあげたクトゥルフ神話にオマージュをささげたホラー作品。超常現象などオカルトっぽいことを全く信じない現実主義者の保険調査員が、ある依頼で行方不明のホラー作家を探すことになり、彼の作品を読んでしまったがために、虚構と現実の区別がつかなくなっていくーーネタバレあり。

―1995年公開 米 96分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:失踪した作家を追う男が、次第に現実と虚構の入り交じった世界に迷い込むさまを描いたホラー。虚実を意図的に入り交じらせ、観客に判断を委ねた重層的な物語の構造が刺激的。「ハロウィン」「遊星からの物体X」をはじめ、ホラー映画に才を発揮するジョン・カーペンターが、敬愛する幻想小説の大家H・P・ラヴクラフトの創造した暗黒神話体系“クトゥルー神話”にオマージュを捧げた意欲作。製作は監督夫人で「スターマン 愛・宇宙はるかに」以降の全作品に参加しているサンディ・キング。脚本は「エルム街の悪夢 ザ・ファイナル・ナイトメア」のマイケル・デ・ルカ、撮影は「パラダイム」「ゼイリブ」のゲイリー・B・キッビ。音楽はカーペンターと、彼が監督・出演したテレビドラマ『ボディ・バックス』(V)でも組んだジム・ラングの共同。美術はジェフ・スティーヴン・ジン、数々のクリーチャーの特殊メイクは『ボディ・バックス』のKNBエフェクツ社、特殊視覚効果は「透明人間(1992)」「マスク(1994)」のILMがそれぞれ担当。主演は前作「透明人間(1992)」でカーペンターと組んだ「オーメン 最後の闘争」「ピアノ・レッスン」のサム・ニール。助演でスティーヴン・キングを思わせる恐怖小説作家に「U・ボート」「対決(1989)」のユルゲン・プロホノフが扮するほか、「ジャグラー ニューヨーク25時」「フライトナイト2 バンパイアの逆襲」のジュリー・カーメン、「ベン・ハー(1959)」「トゥルーライズ」のチャールトン・ヘストン、「タイム・アフター・タイム」「ネクロノミカン」のデイヴィッド・ワーナーらが脇を固めている。(KINENOTE)

あらすじ:フリーの保健調査員トレント(サム・ニール)は居合わせていた喫茶店で突然斧を持った男に襲われる。男は「サター・ケインの本は読んだか?」と尋ね、警官に射殺される。その夜、彼はテレビでケインの熱狂的な愛読者たちが、新刊『マウス・オブ・マッドネス』の発売が待ちきれずに、各地で暴動を起こしたというニュースを見る。翌日、トレントはアルケイン出版社のハーグロウ(チャールトン・ヘストン)から、失踪したケインを捜し出して『マウス~』の原稿を受け取るよう依頼され、何とトレントを襲った狂人がケインと最後に会った彼のエージェントだと知らされる。彼は参考のためにケインの著書を読む。奇怪な夢から覚めた彼は、何かの力に誘われるように本のカバーを切り取り、それをパズルのように組み合わせると、ニューイングランドの古い町を示す地図になることを発見した。トレントはケイン担当の女性編集者リンダ・スタイルズ(ジュリー・カーメン)と共に、目的の場所を探しに出掛ける。夜中、車を運転していた彼女は、トレントが居眠りしている間に不思議な幻覚に襲われ、それが消えた時、ケインの小説に出てくる架空の町ボブス・エンドにいた。小説に書いてあるとおり、町には女主人のいるピックマン・ホテルがあり、ホテルの窓からは大きな教会が見える。教会に出掛けると、ライフルを持った町の男たちがケイン(ユルゲン・プロホノフ)に子供たちを返せ、と叫んでいる光景を目撃した。扉が開き、ドーベルマンが男たちを襲う。トレントは、全てが出版社側の宣伝ではないかと疑うが、スタイルズは現実だと言う。その夜、一人で教会に出向いた彼女はケインの魔性の虜となる。ホテルに戻ったトレントは、奇怪な触手の生えたピックマン夫人を目撃。ついにスタイルズも怪物と化し、彼は車で町を脱出しようと試みるが、なぜか何度も同じ場所に戻ってしまう。気絶した彼が目覚めるとケインが現れて『マウス~』の原稿を持ち帰れと言い、これを読んで信じる人間が多いほど、邪悪な力が強まりかつて地上を支配していた怪物たちが復活する日が近いと語る。さらにこの本の主人公はトレント自身であり、これまでに体験したのは作品に書かれている恐怖だと言う。ケインのエージェントが彼を殺そうとしたのは、主人公が死ねばこの小説は存在しなくなると考えたからだ。必死で逃げるトレントは、気づくと普通の田舎道にいた。手に持っていた原稿は捨てたり燃やしたりしても、なぜか手元に戻ってきてしまう。トレントはハーグロウに事情を説明するが、スタイルズという女性はいないし、原稿は彼から既に受け取って『マウス~』はベストセラーの記録を更新中だと言う。トレントは町の本屋で『マウス~』を読む青年に斧を振りかざし、精神病院に収容される。彼はウレン博士(デイヴィッド・ワーナー)に全てを話すが、信じてもらえない。やがて、静かになった病院から抜け出てみると、外は荒れ果てた無人の世界だった。映画化された『マウス~』を上映している映画館に入ったトレントは、誰もいない客席で、彼自身が主人公の映画を見て一人、狂気の笑い声をあげ続ける……。(KINENOTE)

監督:ジョン・カーペンター
出演:サム・ニール/ジュリー・カーメン/ユルゲン・プロホノフ/チャールトン・ヘストン

ネタバレ感想

これ、何かの作品を劇場で見たときに予告で流れてて、カーペンター大先生の作品だし気になってたんだけども、なかなか見る機会がなくて公開から10年以上たった頃に初鑑賞。内容忘れてたので、今回、あらためて2度目の鑑賞。

ラストがああいう終わり方するのは何となく覚えてたけども、俺の記憶の中ではサムニール演じるトレント氏はフリーの保険調査員ではなく、作家だったということになってたので、その記憶の間違いが今回の鑑賞における冒頭のほうですぐに明らかになった(笑)。本当に、記憶なんていい加減なもんだ。

仮にサムニールが物語作家だったとしたら、あんなリアリストのわけがないのであって、この作品そのものが成り立たんわな。今作は、トレントが超のつくほどの現実主義者であるからこその、虚構と現実の区別がつかなくなって狂気に陥っていく様がおもしろいのである。

てなことで、出版社の依頼を受けてホラー作家の行方を調べるために彼の小説を読み始めて以降、トレントは作家の物語世界のなかに少しずつはまり込んでいくのである。

トレントが、ホラー作家が作品の中でつくりあげた架空の町を探している最中、編集者と会話をするシーンがある。編集者が、狂気を帯びた人たちの数が、通常の人たちより多くなった世界では、通常の人たちのほうが狂人扱いされることになるーーという意味のセリフ。この映画があらわしているのはまさにそのことで、作家の世界に取り込まれたトレントは、自分ひとりが狂人として取り残されることになるのだ。

こういう常識の転換が起こる作品ってのは、映画や漫画の中にはたくさんあるので、それ自体に目新しさはないものの、監督自身が手がけている音楽が良いし、外連味ありまくりな登場人物やらクリーチャーめいたものが登場してくるところなんて、やっぱりカーペンター先生はすごいなぁと思うのである。

ちなみに、ラストは先述したように、起こった出来事をそのままトレント氏が体験した真実として受け取るなら、現実の世界が作家の作り上げた世界に取り込まれてしまい、トレントだけがまともな人間として生き残っているという解釈になると思うが、実はトレントだけが物語世界に取り込まれていて、彼の狂気の世界を描いた内容だったーーというように解釈することもできる。それがどっちなのかを確かめるために、何度も繰り返し見るという楽しみ方もできるだろう。

俺はこの監督だと『ゼイリブ』『パラダイム』がかなり好き。この作品はそれに比肩するほど好みではないので、繰り返し見て考察する気にはならないから、感想はこれで終わる。

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