角頭2 王者再起
台湾の台北を拠点にするヤクザ組織の抗争を描いたバイオレンス作品。シリーズものらしいけど、一作目を未鑑賞でもなんとかなる。ネタバレあり。
―2018年製作 台 127分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:武器や麻薬の密売に手を染め、殺人もいとわない極悪組織の親分が狙うのは、かつて兄弟同然だった男のシマ。組内部も揺れる中、縄張り争いは激しさを増していく。 (KINENOTE)
監督:イエン・ジンクォク
出演:コリン・チョウ/ジェイソン・ワン/ジャック・カオ
ネタバレ感想
うろ覚えの適当なネタバレあらすじ(ところどころ感想含む)
北市場のレン
台北の北市場をシノギの基盤としているヤクザ組織の幹部・レンは、敵対組織が牛耳る北町もシマにしてシノギを拡大しようと狙っていた。しかし、親分のグイ(確かそんな名前)はそれを許さない。レンは不服だが、親分を裏切るわけにはいかないので涙を飲む。
ある日、バクチで遊んでいたレンに連絡が入る。相手はかつて義兄弟の誓いを立てた、ジェンだった。ジェンはレンに向って、3年後に俺は成り上がっている――というようなことを述べる。
3年後、レンは変わらずグイ親分の手下だ。自分の部下には血気盛んな若い衆がたくさんいる。中でも、チィンとポーとパン、デブ(名前憶えてないので特徴です)、そしてチャオは仲が良く、レンのことも親分と慕っている。レンも彼らのことを可愛がっていた。
戻ってきたジェン
ジェンはレンへ宣言したとおり、自分の組織を率いて台北に戻ってきた。ジェンは表向きに薬剤を扱う会社を運営しつつ、裏では麻薬を販売して勢力を拡大していたのだ。そして、電光石火の勢いで北町の組織をぶっ潰し、自分の拠点にしてしまった。
さらに、あまりにもさばくブツが多くなっていたため、ジェンはレンの仕切るシマにもブツを保管させてくれと頼む。しかし、レンの組織ではクスリの販売はご法度になっている。レンは毅然と断った。二人の間に不穏な空気が流れる。
ところが、部下のチャオは麻薬をシノギにしてもいいと思っていた。そこで、レンに内緒でジェンと面会し、「俺が協力する」と申し出るのだが、ジェンはチャオがレンの許可を得ていないことを知っていたので、部下に命じてチャオをタコ殴りにして人質にした。
抗争が始まる
チャオが捕らわれたことを知ったレンと部下たちはジェンのアジトに乗り込む。レンとジェンの話し合いは決裂。チャオを連れて引き返そうとしたレンたちだが、乱闘が始まる。その最中、チャオは殺害されてしまった。
怒りに燃えるレンと部下たち、しかし、親分のグイは報復はするなと強く命じる。レンは仕方なく、チィンに「あとは頼む」と告げるのだった。
チィンはその「頼む」の意味は、「お前たちでチャオのあだ討ちをしてこい」と解釈して、ポーやデブを連れてチャオを殺したジェンの手下を襲撃、惨殺する。
それを知ったレンは大激怒、彼が任せるといったのは、「チャオの葬式」だったのだ(いや、それならちゃんと説明しろよと思っちゃうシーンだ)。
いずれにしても、これにより抗争の火ぶたは切られた。手下をやられたジェンの部下たちは、北市場に大軍で押し寄せてきた。大乱闘は警察の介入により一段落。しかし、なぜかその戦闘に加わっていなかったデブはジェンの部下にとらえられて拷問の末焼き殺された。
ジェンの組織をつぶすことにしたレン。しかしなぜか、いろいろ迷いがあって、戦いの神に頼み、くじ引きで誰を鉄砲玉にするのかを決める。決まったのはポーだった。ポーはパンの運転する車から降り、ジェン社に乗り込む。帰りを待つパン。
しかし、ポーは戻らない。しかも、パンはジェンやその部下たちに発見されてまう。ポーは失敗したのだ! 逃げるパン。彼はチィンの助けを得て、妻子を残したままほとぼりが冷めるまでの約20年。東南アジアに隠れることになった。
ガタオとは何か
騒ぎが大きくなってきて、ついにグイ社長が動く。警察や政治家を巻き込んでの手打ち作戦だ。しかし、ジェンはグイに引退を迫るよう挑発するだけで、さして効果はなかったようだ。そのあと、グイはチィンを呼び出し「角頭(ガタオ)」について語る。
ガタオは地域を守るグループだったそうだ。そして、レンを煽るのはよせと諭す。が、グイは喋っている途中で発作を起こして死んだ。救急車を呼ぼうかと思ったが、チィンは「これでジェンの組織との戦いを邪魔する奴はいない」と考え、救急車を呼ぶのはやめた。そのおかげでグイが死んだことを知ったレンは激怒。二人の間に亀裂が走る。
最終決戦
グイの葬儀が終わったあと、レンやチィンのところにパンダからの手紙が。20年の潜伏は長すぎる。妻子や仲間と一緒に生きられないなら、生き延びても意味がないので、自殺するという内容だった。手紙を読み終えて泣くレンとチィン。
レンはついに意を決し、ジェンのアジトに単身乗り込むのであった。
ジェンはレンに嫉妬していたのだ。「お前は投資しなくてもついてくる部下がいる。だが、俺は大金払っている部下のことも信頼していない。そして今の状況も、こんなことになると予測していなかった」と。
ジェンは自分に人望がないところを嘆いているらしい。一方のレンにはそれがある。そこに嫉妬しているのだ。というやり取りをしている間に、ジェンの部下たちがレンを取り囲む。
部屋の奥に下がるジェン。するとそこには、役人が。台北の秩序を保つためにジェンと結託していたこの男も、ジェンを見捨てた。ジェンは部下に命じて男を殺させようとする。
その頃、レンのところにはチィンたちが助けに入っていた。そしてジェンの部下たちと銃撃戦が始まる。レンたちは何とかなんとか生き延びた。
その後
その後、時間が経過し、なぜかチィンとポーは刑務所に入っている。面会にいくレン。チィンにジェンはどうしたと聞かれ、レンはあれ以来会っていないと答えた。過去を思い出すレン。高校生の頃、ジェンと友だちになったのだ。そして兄弟になった。
実は、ジェンはあの銃撃戦の晩に死んでいた。彼の部下が銃撃したのはジェンだったのだ。ラスト、グイ社長が「悲哀」という歌をうたって部下たちと騒いでいるシーンで物語は終わる。
台湾のヤクザを描いた作品
あらすじには書いていない冒頭の風呂場での暗殺シーンが何だったのかがさっぱりわからないのは、シリーズものだからだろうか。でも、それ以外の部分は、筋を追っていれば何が起こっているかはわかる。ただ、さほど面白くはない。
ちなみに、台湾のヤクザ映画だと、↓こちらがおススメ
ジェンを演じてる人は、香港映画でスタントとかしてるアクション俳優のコリン・チョウにすごく似ているなぁと思っていた。あとから調べたら、本人だった(笑)。
何でアクションのない作品に出たんだろか。しかも、台湾映画。彼が出ている作品で面白いのと言ったらやっぱり、ドニー・イェンと格闘をする、『導火線』ですな。
何を見せたいのかよくわからない映画
ということで、長々とネタバレあらすじ感想を書いてみて思ったのは、この映画は、上記に書かれたこと以上のことはないということだ。
どうしてかというと、人物描写が適当なので、鑑賞者にさほどの感慨もわかせないし、それどころか、何を見せたかったのかわからないのである。
レンとジェンの友情を強調しつつ殺し合いをせざるを得なくなる関係を中心に描いているようだが、支離滅裂に感じるのである。その主な原因となっているのは、レンとジェンの心情がよくわからんところだろう。ジェンは最後にレンに本音を吐いたかと思ったら、結局は部下にレンを殺されることを認めるような行動をして自分は死ぬ。
レンは部下の復讐をしたいのに、親分には逆らえない。でも、何だかんだでクジ引きして鉄砲玉を決めたり、ジェンを殺そうとする行動もとっている。でも、最終的に自分で手を下すことはない。しかも、生死すらわかってないみたい。何であの後すぐに確かめないんだよ。意味がわからん。
契りを交わすのは、相手を信頼していないから
というわけで、さほど面白くもないのに最後まで鑑賞できたのは、俺がこの手の犯罪組織を描いた作品が好きだからだろう。
そして、この作品から得られたというか再認識したことがある。アジアのヤクザ映画の中で、盃を交わすとか、神前を前に組織を裏切らないことを誓うシーンってたくさんあるけども、あれって要するに、仲間を信じていないからわざわざ儀式をして契約をするのだということだ。
考えてみれば至極当たり前ではある。ヤクザ社会だけではない。人間社会では、さまざまな契りが交わされる。結婚式なんかもそういう儀式の一つだろう。ものを売り買いするときに契約書を交わすことだってそう。
そもそも、人間というのは他人を心底信じられないから、こうして何かを介して約束を交わすのではないか。
この作品は、ネットフリックスで鑑賞できます。
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