怪怪怪怪物!
登場人物のほぼ全員がクズ人間な、ホラー映画の体裁をした青春イジメ残酷物語。ネタバレあり。
―2018年公開 台 110分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「あの頃、君を追いかけた」のギデンズ・コー監督による学園ホラー。いじめられてばかりの高校生シューウェイは、ある日、いじめっ子3人とともに奉仕活動を命じられる。独居老人の手伝いをするはずだった彼らは、夜中に老人の家で2匹のモンスターに遭遇する。主演は「共犯」のトン・ユィカイ。撮影監督を「あの頃、君を追いかけた」のチョウ・イーシエン、音楽を「私の少女時代 Our Times」のクリス・ホウが手がける。2017年10月、第30回東京国際映画祭にて上映。2018年10月、特集企画『シッチェス映画祭 ファンタスティックセレクション2018』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:いつもクラスメイトからいじめられている高校生リン・シューウェイ(トン・ユィカイ)。ある日、問題を起こしたシューウェイといじめっ子3人は、独居老人の手伝いをするボランティア活動を教師から命じられる。そんななか、夜中に老人の家で大小2匹のモンスターに遭遇。シューウェイたちは、小さい方のモンスターを捕まえ、独自の調査と実験を開始するが、やがてモンスターは彼らの手に負えなくなっていく……。 (KINENOTE)
監督:ギデンズ・コー
出演:トン・ユィカイ/ケント・ツァイ/ユージェニー・リウ/チェン・ペイチー
ネタバレ感想
高校を舞台にしたホラー映画なんだけども、ホラー的要素は高校生たちのイジメや化け物への虐待行為にあるのであって、要するに人間のほうが化け物というお話。
主人公は激しいイジメを受けている立場だが、いじめっ子グループと図らずも行動を共にすることになる中で、少しずつ彼らに友情めいたものを感じ始める。本来、善行をすることを望んでいるものの、グループの奴らが老人をバカにして盗みを働くなどする行為に加わることに面白味を感じるなど、自分自身の中にあるクズ性を露わにし始め、彼らの仲間になっていくのだ。
ただ、仲間になっているとはいえ、過去にされた仕打ちのことは忘れられていない。だから、化け物を捕らえて虐待している仲間たちと自分は違う人間なのだと思い続け、それがクライマックスの裏切り行為につながるのだ。というわけで、彼は自分が善でもあり悪でもある、普通の高校生であることを自覚する。だからこそ、ラストは自分を気にかけてくれた女子高生以外を全員焼き殺すわけで、自分自身も炎に焼かれる道を選ぶのだ。
高校生たちの無軌道さや他者に配慮をしない隠しきれない残酷さを表現することで、人間がみんな、同じ穴のムジナ的な虞犯者であることをつきつけてくる作品でした。
もっともよいと思ったシーンは、いじめっ子グループの女子高生がバスの中で化け物に襲われる場面だ。彼女は覚悟を決めて粛々と化け物のえじきになる。その際に彼女がヘッドホンをして聞いている音楽は、『マイウェイ』であった。
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