ベイビーわるきゅーれ2ベイビー
殺し屋女子コンビの日常を描いたアクションコメディの続編。相変わらず漫画的な内容を実写で楽しく見せてくれるところがスゴイ。そして、1作目と同じ描き方でありながら、何か違う雰囲気もあってそこが素晴らしい! ネタバレあり。
―2023年公開 日 101分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:社会に馴染めない殺し屋女子コンビを描き2021年に異例のロングラン上映されたアクション作の続編。殺し屋協会アルバイトのゆうりとまことの兄弟は、ちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できると聞きつけ、彼女たちを倒そうと作戦を決行する。前作に続き「ある用務員」の阪元裕吾が監督、ジョン・ウー監督作「マンハント」などに携わってきた園村健介がアクション監督を務め、舞台『鬼滅の刃』で竈門禰豆子を演じた高石あかりとスタントパフォーマーの伊澤彩織が出演。主人公二人の新たな敵となる殺し屋協会アルバイト・ゆうりを「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」の丞威が、弟・まことを『ウルトラマンジード』の濱田龍臣が演じる。(KINENOTE)
あらすじ:一緒に暮らしているちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は、殺しの腕はピカイチながら社会に馴染めずにいる。ジムの会費に教習所代、保険のプラン変更など、世の中お金がかかることばかりで、二人はまたしても途方に暮れていた。一方、殺し屋協会アルバイトのゆうり(岩永ジョーイ)とまこと(濱田龍臣)兄弟もまた、上からの指令ミスでバイト代をもらえず、正社員ではないからどんなに働いたところで満足いく生活を送れるだけのお金は得られず、やはり途方に暮れていた。そんな中、兄弟はちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できるという噂を耳にする。銀行強盗に巻き込まれたり、着ぐるみのバイトをしたりと、イマイチな生活を送るちさととまひろに、二人のポストを狙うゆうり・まこと兄弟が迫りくる。(KINENOTE)
監督・脚本:阪元裕吾
アクション監督:園村健介
出演:高石あかり/伊澤彩織/水石亜飛夢/中井友望/飛永翼/渡辺哲 /丞威/濱田龍臣
ネタバレ感想
U-nextでレンタルして鑑賞。2作目ってのはなかなか1作目を超えられないもんで、それはある程度は仕方がないものだ。であるから今作についてもさほど期待はせずに鑑賞したが、1作目とほぼ同等。観方によってはそれ以上ともいえる満足感があったなぁ。
まず、前作の感想と同じことを述べると、このシリーズはいかにも漫画的な内容を、きちんと実写で楽しく見せてくれることだ。これは個人的な意見だが、漫画原作のコメディ作品を映画化したものって、なぜか見てるこっちが恥ずかしくなるくらい酷い作品が多いと思うのである。コメディ漫画は漫画だからこそ面白いのであって、リアルな人間がそれを表現すると、その面白さがスポイルされちゃうのではないか。
で、この作品はもちろん漫画原作があるわけではないから同列に語るべきではないかもしれないが、内容自体は実に漫画的要素に満ち満ちているというのが私見。そして、その内容をきちんと実写で、楽しめるように制作されているところがすごいのだ。
また、今作でやっているのは1作目と似たようなもの。でも、何かが違う。例えば、戦闘描写はかなり減った。序盤のVS銀行強盗のシーンと、クライマックスの殺し屋兄弟との対決くらい。ここについては、アクションに期待して鑑賞した人には、前作と比べて物足りなさを感じるかもしれない。
俺も多少は期待してたので少し拍子抜けはしたが、その部分をマイナスしてもお釣りがくるくらいに本作は良くできていて、アクションを減らしてでも、話の筋で面白がらせるような工夫がされていて、それが成功しているということだろう。
ではどこが良かったかというと、やはり、ちひろ、まひろを狙う、殺し屋兄弟の存在だろう。ほぼほぼ似た者同士であるお互いのコンビが、それぞれしょうもない日常を生きているシーンが交互に繰り返され、それが延々と続きながらクライマックスを迎えるわけだが、その過程で、兄弟のほうにも感情移入ができ、愛着を感じられるようになるのだ。
ところが、その両者が激突することになり、最終的に兄弟は敗北。そして、勝者であるちひろとまひろによって、きちんとこの世から排除されるという残酷な結末。しかし、これがいいのである。兄弟は死を覚悟して最終決戦に臨んでいたのであり、それに敗北したから殺されて当然なのだ。
敗北した二人の姿に悲壮さはなく、実に明るく、ちひろ・まひろと和気あいあい、会話で意気投合した末に殺される。主人公側は容赦なく、相手の命を絶つ。しかし、ここがエモいのである。このエモさには、ジョニー・トー監督の一連の殺し屋映画で感じるようなノワール的、ハードボイルド的な何かがあり、それを感じさせるところが、この作品のすごいところなんである。
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