ヒーロー・ネバー・ダイ
―1999年公開 香 97分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:残酷な運命に襲われるふたりの殺し屋の死闘を描いた香港ノワール。監督は「ロンゲストナイト」のジョニー・トゥで、製作は彼とコンビを組む同作のワイ・カーファイ(「大陸英雄伝」)で、脚本のセット・カムインとヤウ・ナイホイ、音楽のレイモンド・ウォン、美術のブルース・ユーも同じく参加。出演は「ラヴソング」のレオン・ライ、「ロンゲストナイト」のラウ・チンワンほか。(KINENOTE)
あらすじ:香港黒社会を支配する二大組織。クールで凄腕の用心棒ジャック(レオン・ライ)は策略家のペイの配下、そして腕利きの殺し屋チャウ(ラウ・チンワン)は残虐なチョイの配下で、お互いに敵のボスの命を狙っていた。ところがペイとチョイはタイの麻薬王“将軍”の調停で手打ち。壮絶な銃撃戦の末、勝負がつかないまま力尽き倒れたふたりはもはや用無しとなった。お互いの愛人にかくまわれていた彼らに組織の魔手がのびる。両足を失ったチャウは組織から見放され、それに抗議した彼の情婦は殺された。復讐のためチョイを狙撃するチャウだが失敗して逆に重傷を負う。かくしてふたりはおのれを襲った残酷な運命に抗するべく決死の行動に出るのだった。(KINENOTE)
監督:ジョニー・トー
出演:レオン・ライ/ラウ・チンワン
ネタバレ感想
ジョニートー大先生のノワール作品。男同士の絆的な内容は後年の『ザミッション非情の掟』から『エグザイル絆』『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』に続く作品たちと同じような感じ。とはいえ、ちょっと違うのはある意味コメディとも取れてしまうようなストーリー。
俺はジョニートー好きなのでこれはこれで名作だと思っているけども、特に思い入れのない人にとっては迷作なのかもしれない。まぁでも、ジョニートー監督には『マッスルモンク』とか『柔道龍虎房』とかの珍作もあるので、それらと比べれば今作のトビっぷりは許容範囲だろう。
ということで、序盤にジャックとチャウが酒場で意地の張り合いをみせるシーンは格好よくはあるものの、ある意味ではコメディだ。コインでグラスが割れるかよ! と思うんだが、しかし、それだけ指の力が強いやつらなのだと創造力を逞しくすることで補完は可能。
ラスト、チャウの車椅子が自動で動いてた件については、死体に何かが宿ったのだということで補完するべき(笑)。たぶん、憎きボスたちを殺したい、チャウの残留思念が車椅子に伝わったのだと思われる。ヒーローネバーダイ!(超適当)。
てなことで、ジョニートーのノワール作品は、主人公たちのボスがだいたい嫌な奴のケースが多い。その中でもこの作品のボス二人はヘタレのくせして腹黒いから、かなり嫌な奴らだ。そういう奴らに仇を討つわけだから溜飲の下がる内容ではあるものの、チャウもジャックも死んでるし、ジャックの彼女やチャウの彼女も死んでるし、ハッピーエンドではないハードボイルドな内容である。
ジャックとチャウの二人はほとんど会話もしてないが、ラストは仲良く手を組んで敵を抹殺に向かうのである。組織に忠誠を誓って働いてきた男たちは、その忠誠を反故にされたら、自分の命を捨ててでも落とし前をつけなあかんのである。This is 極道。チャウはすでに死んでるけど(笑)。
にしても、二人の彼女はかなり気の毒。極道かつハードボイルドな輩と付き合うと、なかなか幸せにはなれません。関係を持ってはいけないんですねぇ。
ちなみに、一緒に鑑賞してた俺の彼女が、ラウチンワンを「なぎら健壱」みたいとか言いやがって、それってばあのハットと髭のせいだと思うぞ。だが、ラウチンワンは髭がないほうがイイとは思うし、あのハットもあまり似合ってはいなかったな(笑)。
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