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映画 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(復仇/Vengeance) ネタバレ感想

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
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冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(復仇/Vengeance)

―2010年公開 香=仏 108分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:娘一家を犯罪組織に殺された元殺し屋の復讐を描くハードボイルド・アクション。監督は「エグザイル/絆」のジョニー・トー。出演は「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」のジョニー・アリディ、「サガン 悲しみよこんにちは」のシルヴィー・テステュー、「プラスティック・シティ」のアンソニー・ウォン、「エグザイル/絆」のラム・カートン、「新宿インシデント」のラム・シュ、「さそり(2008)」のサイモン・ヤムなど。(KINENOTE)

あらすじ:マカオの高級住宅地で、家族4人が何者かに襲われるという事件が発生。それを聞きつけ、フランスから初老の男・コステロ(ジョニー・アリディ)がやってくる。病院を訪れた彼の前には家族で唯一、死を免れながらも全身包帯を巻かれた重体の愛娘・アイリーン(シルヴィー・テステュー)の姿があった。コステロは、娘の家族を殺害した犯人は3人で、そのうちの一人の耳を彼女が銃で打ち抜いたことを知る。地元警察のウォン刑事(マギー・シュウ)から見せられた現場写真を盗み出したコステロは、そこに“Vengeance(復讐)と書くのだった。そんな中、クワイ(アンソニー・ウォン)、チュウ(ラム・カートン)、フェイロク(ラム・シュ)の3人は、組織のボスであるファン(サイモン・ヤム)から殺しの依頼を受けていた。彼らはホテルの一室でターゲットを仕留めるが、偶然、廊下ですれ違ったコステロに、フェイロクが手にしていた銃を見られてしまう。やがて、ホテルで男女の死体が発見され、ウォン刑事はコステロにマジックミラー越しに並ぶ容疑者から真犯人を見つけるよう依頼する。その中にチュウの姿を見つけたコステロは「ここにはいない」と証言、釈放されたチュウを尾行する。そして彼と合流したクワイらに「仕事を頼みたい」と告げるのだった。アイリーンの自宅を訪れたコステロたちは、事件の様子と犯人たちの特徴、使用された銃の種類を見極め、その後、銃の調達や改造を請け負うトニー(フォン・ツイファン)から、香港の海鮮街で店を営む男の情報を聞きつける。香港に向かった4人は、耳を負傷した男たちを探し出し、夜の森林を舞台に激しい銃撃戦を展開、肩を負傷したコステロは、自らの秘密をクワイたちに明かす。彼は20年前まで殺し屋をしており、過去の銃撃戦により脳に銃弾が残っていた。そのため、定期的に記憶をなくしてしまう難病を患い、自分がいつまで生きることができるのか全くわからないという……(KINENOTE)

監督:ジョニー・トー
脚本:ワイ・カーファイ
出演:ジョニー・アリディ/シルヴィー・テステュー/アンソニー・ウォン/ラム・カートン/ラム・シュ/サイモン・ヤム/チョン・シウファイ/フェリックス・ウォン/バーグ・ウー/マギー・シュウ/ヴィンセント・ズェ/フォン・ツイフェン

ネタバレ感想

ジョニートー大先生のハードボイルドアクション。もともと、アラン・ドロンがコステロ役を務める予定だったらしいが、いろいろあって、歌手のジョニーアリディに落ち着いたらしい。作風としては、同監督の傑作『ザ・ミッション非情の掟』それに次ぐ『エグザイル絆』に似た雰囲気のある、男たちの友情を前面に押し出した内容。友情作品と言う意味では『ヒーローネバーダイ』なんかにも通ずるところはあるかな。

アンソニーウォンが殺し屋チームのリーダーを務めている点も『ザ・ミッション非情の掟』と『エグザイル絆』に似ている。特に、後者のキャラは今回のクワイとほとんど同じと言ってもいいし、それはラムシュが演じるデブ(フェイロク)もそうだ。これは監督が意図的にそうやってるんだろうし、特に不満も何にもない。

この2人にラムカートン演じるチュウが加わり、殺し屋チームとして裏社会の仕事を請け負っている。で、彼を雇っているボスがサイモンヤムが演じるファンである。このファンのキャラもさっき挙げた2作でヤムヤムが演じた役柄にけっこう似ていて、そういう意味でこの3作は、パラレルワールドの話と思ってもいいんではなかろうか。

で、話としては、娘家族を裏社会の人間に殺されたコステロがフランスからマカオへやってきて、偶然クワイらと出会い、彼らに復讐の手助けを依頼。3人の力を得て犯人捜しを行うのだが、いろいろ調べていくと、犯人たちに仕事を依頼していたのは、クワイたちのボスだったことがわかる。それでどうなっちまうのかーーというものだ。

この作品の主人公はコステロであるからに、殺し屋3人はどちらかというと脇役で、ボスとの主従関係ではなくコステロとの友情を選ぶことで、命を落とすことになる。しかも、コステロは記憶障害のある人間なので、彼らが自分のために命を懸けてボスに反逆してくれたことを、忘れてしまうのだ。それでも彼らはそれほど同じ時間を共有していないコステロとの友情を大切にするのである。

ボスに忠誠を誓うか、コステロを助けるかの選択を迫られたときに、チュウだかフェイロクか忘れたけどどっちかが、「何をしても忘れちゃう男が復讐なんてして意味があるのか」とクワイに問う。それについてクワイは「彼が忘れても、俺は約束した」と述べ、ボスに反逆する道を選ぶのだ。

実はこのセリフが今作の白眉で、そこから3人が死地に向かって命を落とすまでで、ほとんど作品の盛り上がりが頂点に達しているような感がある。少なくとも俺にとってはそうで、だからコステロがきちんと落とし前をつけてボスと対峙するラストまでのくだりは、当然必要欠くべからざるとは思っているものの、何か物足りなさみたいのを感じてしまうのである。つまり、先に挙げた2作に比べて、ちょっと落ちるかなというのが今作に対する俺の評価。

とはいえ、やっぱりジョニートー大先生の作品なので、突っ込みどころも満載とはいえ、月夜の中でやら、玉ころがしやら、新鮮な銃撃アクションもあって楽しめる。その辺の凡百のアクション作品とは比べることはできぬ。もちろん、かなり贔屓目に言っている部分もあるが。

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コメント

  1. ヨウくん より:

    杜監督の裏社会映画って、悪役でもきちんと掟やルールに従うことが多く、「分かりやすい悪人」っていうのが少ない気がします。本作のバーベキュー場でのシーンでは、敵側の家族がいるときは事を起こさず静かに待ち、相手もそれに対し感謝を示している。敵ながらも殺し屋同士の妙な認め合う的な空気が漂う。やっぱり強者は、チンピラの喧嘩とは違うなって、観ていてわくわくしました。

    ちなみに「銃火」「復讐」「放逐」の3作品の共通点は、「任達華は黄秋生に、黄秋生が殺したくない奴を殺すよう命令する」という中華圏でのネタがあります(^_^.)

    • hanori より:

      「任達華は黄秋生に、黄秋生が殺したくない奴を殺すよう命令する」まさにそれですね(笑)。ジョニートー監督は、男同士の関係性を会話なしで描写するのがカッコいいです。

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