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映画 リチャードジュエル ネタバレ感想 実話を基にした冤罪事件

映画 リチャードジュエル
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リチャード・ジュエル

―2020年公開 米 121分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:クリント・イーストウッドがアトランタオリンピック爆破テロ事件の真実に迫ったドラマ。1996年.オリンピック中に爆破テロが発生。容疑者として逮捕された爆弾の第一発見者リチャード・ジュエルを救うため、弁護士のワトソン・ブライアントが立ち上がる。出演は「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェル、「ブラック・クランズマン」のポール・ウォルター・ハウザー。

あらすじ:1996年.アトランタ・オリンピック開催中に爆破テロ事件が発生。不審なバックを発見した警備員リチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)の迅速な通報によって、数多くの人命が救われる。だが、爆弾の第一発見者だったはずのジュエルは、FBIから疑惑を掛けられ、第一容疑者として逮捕されてしまう。この捜査に異を唱え、ジュエルの窮地に立ち上がったのが、弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)。ワトソンは“彼を陥れようとしているのは、政府とマスコミだ”と会見で釘を刺す。ところが、“事件を起こす動機は、ヒーロー願望と警察への憧れ”だと主張する女性記者キャシー・スクラッグス(オリビア・ワイルド)が、“悪人か聖人か”という記事をスクープ。次第に容疑者報道はエスカレートしていく。その頃、FBIの取調室では、“公園に爆弾がある、爆発まで30分”と執拗に迫る捜査官(ジョン・ハム)の尋問が続いていた……。

監督:クリント・イーストウッド
出演:ポール・ウォルター・ハウザー/サム・ロックウェル/キャシー・ベイツ/ジョン・ハム/オリビア・ワイルド

ネタバレ感想

実話をもとにした作品、さらにクリントイーストウッド監督作ということで鑑賞。アトランタ五輪の頃、俺は19歳くらいだったかな…。こんな爆破事件あったの全然知らなかったなぁ。アトランタ五輪と言えば、当時のサッカーU23日本代表がU23とは言え、オーバーエイジも使ってメダルとりに来てたブラジルを初戦で撃破したことくらいしか覚えてない。

俺は浪人生で、確か予備校の喫煙所で誰かがその速報を大声で告げやがって、結果を知りたくなかったのに知るはめになって、どこのクラスの何者だかしらんが、余計なことをしやがったバカ野郎に憤りを感じたものだった。当時はスマホなんてなかったから、情報入れないでいることは簡単だったんだけど、こういう空気を読まない奴は、いつの時代にもいるもんなんですな。

と、マジで全然関係ない話題はこの辺にしておく。本作は女性記者の描き方が事実に基づいてない部分があって、その女性の名誉を著しく毀損しているのだと指摘が方々から出てきて、けっこうな物議を醸したらしい。

その女性記者は作品内では、リチャードを容疑者としていたFBI担当捜査官から枕営業(直接そういう描写はない)したかのように見られる手法で情報を手にし、あろうことか、裏付けを取らずに新聞の一面にしちまったことによって、世間にリチャードは限りなくクロ――みたいな印象を与えてしまっている。で、作品内での彼女は、リチャードが犯行を行えないことに後から気付くんだけども、特に撤回記事を出したような描写はない。

ともかく、実際の女性記者が、枕営業したかどうかは知らんし、裏付けを取って記事にしたかどうかもわからん。ただ単に、この作品上においての感想を述べるとするなら、裏付け取ってないのはダメだろってことだ。

そもそもFBIの捜査が杜撰というか、適当なプロファイリングでこれまた証拠も集めずにリチャードを容疑者としてたこと自体が糞過ぎるんだが、新聞記者としては完全な飛ばし記事を出したわけなんで、記者としてのプライドがない奴だなって思われても仕方ないようなことをしちゃってる。

てなことで、この作品はFBIの糞みたいな捜査実態や過度な報道を行うマスコミを皮肉った内容になってて、一市民が図らずも事件に関わったことによって、冤罪くらっただけでなく生活や家族にまで害がおよぶことの恐ろしさが描かれている。

先ほど適当なプロファイリングと言ったが、リチャードは過去の爆破犯に類似するような部分が多々ある人物で、作品でも描かれるように、正義感が強すぎるのか、警備員などの仕事では過剰なまでに規則違反者に罰を与えるようなことをしていたようで、雇い主からも良く思われていなかったようだ。

しかも、銃を大量に所持しているし、友だちは少なく、恋人もいなく、そもそも、他者とのコミュニケーションが苦手みたい。なんというか、そうした怪しさ爆発してる彼が事件現場で、しかもその爆弾の第一発見者ということで、FBIは目をつけるわけだが、それは単にプロファイルした結果であって、現場検証みたいなのもさしてしてないし、彼がやった証拠は家宅捜索をしても出てこないので、共犯がいたと声高に主張して、容疑者のリストから外さないのである。

しかもあろうことか、あの手この手を使ってリチャードを誘導し、自白をさせてそれを記録に残そうとするのである。糞過ぎ。FBIってけっこうエリートたちが務める場だと思うのだが、その捜査がバカ丸出しであきれる。

なんで冤罪であることを承知しながら(承知していたようにしか見えない)、リチャードをクロにしたかったんだろうかと考えるに、すでにマスコミによってリチャードが容疑者であることが明るみになってしまっているわけで、それを撤回することはFBIにとっては大きなミスであり、権威の失墜につながるからであろう。

そうした理由でリチャードに罪をなすりつけようとしていることが糞であり、糞過ぎる肥溜め組織なわけだが、権力ってものはそういうもんなんだろうね。そして、そういう事態を招くことに、あの女性記者は加担してしまっているのだ。だって、飛ばし記事なんだから。

そして、その飛ばし記事を鵜呑みにしたのか、他の有力紙やらなんやらのメディアがこぞって容疑者を囲んで憶測の情報をテレビに流したり記事にしたりしている。それによってリチャードと母親は追い詰められていくわけだ。これってばもう完全に暴力。

そして、その暴力から免れることは個人の力では容易ではなく、この物語のように何とか汚名をそそぐことができるケースのほうが少ないんではないかと思われる。

ちなみに、リチャードはリチャードで、喋るべきではない場面で喋りやがって、そこはイライラする。その性格が、終盤では功を奏すわけだが。

それにしても、題材にされた事件から20年近くが経とうとしてるけど、メディアのやっていることってあんまり変わってないし、当時よりもITが普及した現在にあっては、より恐ろしいことが起こっているわけで、本当に嫌な世の中になってるなぁと思わざるを得ない。

SNSでの暴力発言は見るに耐えないものもけっこうあるし、これが自分の身にふりかかったらたまったもんじゃないなぁと思うことがよくある。しかも最近は日本の大手のテレビ局やら新聞社が、ある一部の事柄にたいしてデマに似た報道をしているというような話もあって、その辺は本当かどうなのか俺は知らんけど、ともかく、俺にとってはどんどんディストピア化が進んでるとしか思えない。他の人がどう思ってるのかは知らん。

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