スリ
香港の巨匠、ジョニ―・トー監督作品。スリ仲間4人組と犯罪組織のボスに囲われている美女が知り合い、ジタバタするクライムサスペンス的なほのぼのストーリー。ネタバレあり。
―2008年公開 香 87分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:香港ノワールの鬼才、ジョニー・トー監督によるクライムサスペンス。2008年、第9回東京フィルメックス特別招待作品として上映された。(KINENOTE)
あらすじ:4人組のスリ一味と謎の美女が巻き起こす騒動を描く。香港でスリを働く4人組が、ある日別々の場所で何者かに追われている様子の謎の美女・チュンレイに出くわし興味を惹かれるが…。(KINENOTE)
監督:ジョニー・トー
出演:サイモン・ヤム/ケリー・リン/ラム・カートン/ロー・ホイパン/ロー・ウィンチョン
ネタバレ感想
適当なあらすじ
ジョニートー監督が好きでいろいろ鑑賞してて、これもDVD購入してたので、久しぶりに鑑賞。
スリで生計を立てる4人組の男がいて、彼らはチームで動きながら、香港の街中でスリを働いている。稼いだ金は山分けして、各々が好きなように、ゆる~く暮らしている。
ある日、その4人がケリー・リン扮する美女と出会う。そして、みんなその美女に恋心を抱いてまうのであった。彼女は犯罪組織のボスの愛人らしいが、中国に子どもなのか恋人なのか肉親なのかわからないが、待たせている人がいるようで、ボスの元から去りたい。
しかし、ボスに自分のパスポートを管理されている。だから、逃げたいのに逃げられないのだ。それで、ボスの組織から逃げ回ってた時に偶然出会った4人のスリに、パスポートを取り返してほしいと思っているのである。
で、4人組は美女と出会ったことで組織から脅しめいた暴力を振るわれて、組織に恨みを持っているし、美女を助けてやりたいと思っている。いろいろジタバタする中でわかったのは、ボスも凄腕のスリだということ。そこで4人組のリーダー格、サイモンヤム扮するケイは、ボスを挑発して、美女のパスポートを賭けてスリ合戦をすることになるのであった。
雨の降り続ける香港の街の、大きな交差点。通りを隔てて対峙した4人組とボス率いるギャングたちは、カミソリを巧みに使いながらすれ違いざまにパスポートを奪い合う。勝者はケイたち4人組であった。ボスは泣く泣く美女と別れをつげ、車で去っていく。
晴れて自由の身になった美女は4人に礼をして、意気揚々と故郷へ帰っていく。残された4人は美女に後ろ髪惹かれつつも、また日常の生活に戻っていくのであった――というのが超適当なあらすじ。
雨中のクライマックス
派手なアクションがあるわけでもないので少し盛り上がりに欠ける感はあるものの、何となく数年に一回は鑑賞したくなる作品。特に良いのは、雨が降る香港の街の中でスリ勝負をするクライマックスのシーンだろう。スローを使いながらスリたちの攻防を描くこのシーンが、とても美しいのである。
4人と敵対するボスは、盗む対象の人に血を流させたらダメ―ーという掟を自らに課していて、潔く負けを認めて美女をあきらめるとこなんて、なかなか筋が通っててかっこいいのである。実は、この物語の主人公はこいつなんではないかと思ってしまうくらいだ。4人組もそれぞれキャラがたっていて良いのだが、俺はボスのほうが好きなのである。
ちなみに美女のほうは、ボスに囲われているのは気の毒なんだけども、なんかファムファタール感があってあまり好きではない。彼女がいないと成り立たない作品なんだけど。作品のトーンというか、テンションは、同監督作品の『柔道龍虎房』に似てるかな。
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