ベイビーわるきゅーれ
高校卒業を控えた二人の女子高生殺し屋が、社会適応のためにルームシェアをしつつ表社会の仕事にも就くことに。四苦八苦して過ごす裏で、あるヤクザ組織と対決することになった。いったいどうなっちゃうのかという話。漫画っぽい中身を実写で違和感なく面白く見せることに成功しているすごい作品。ネタバレあり。
―2021年公開 米 95分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019短編コンペティション部門グランプリを受賞した「ぱん。」の阪元裕吾監督による青春アクション。殺し屋のちさととまひろは、高校を卒業し表向きは社会人として振る舞わなければならず、社会の理不尽さに揉まれる。「ある用務員」などに出演、舞台『鬼滅の刃』で注目される髙石あかりと、「るろうに剣心 最終章」シリーズでスタントダブルを務めたスタントパフォーマーの伊澤彩織が、社会に馴染もうと奮闘する元女子高生の殺し屋コンビを演じる。アクション監督を、「THE NEXT GENERATION -パトレイバー-」シリーズなどを手がけてきた園村健介が務める。(KINENOTE)
あらすじ:女子高生殺し屋2人組のちさととまひろは、高校卒業を目前に控え、途方に暮れていた。これまで組織から委託された人殺し以外何もしてこなかった彼女たちだったが、明日からはオモテの顔として社会人として振る舞わなければならない。社会に適合しなければならず、公共料金の支払い、年金、税金、バイトなど、社会の公的業務や人間関係、そして理不尽さに揉まれる二人。組織からはルームシェアを命じられ、他者とコミュニケーションを取るのが苦手なまひろは、そつなくバイトをこなすちさとに嫉妬。二人の仲は次第に険悪になってしまう。それでも殺し屋の仕事は忙しく、さらにはヤクザから恨みを買って面倒なことに巻き込まれ……。(KINENOTE)
監督:阪元裕吾
出演:高石あかり/伊澤彩織
ネタバレ感想
ずっと観たくて、公開館が少ないこともあって劇場で観られず、レンタル屋には一本しか置いてなくてズーっと貸し出し中だったのを、このほどようやくゲットできて鑑賞。
評判のいい作品だったので最初っから期待して観たんだけども、期待を裏切らない面白さで満足できた。阪元監督作品で俺が鑑賞した中では、本作→『最強殺し屋伝説国岡』→『ハングマンズノット』の順番で好きかな。
てなことで、今作で描かれる殺し屋二人は10代の女性コンビ。裏社会で殺し屋稼業してたんだけど、仕事をあっせんしてくれている組織から、表社会にも適応して生きるべきと言われ、しぶしぶ表社会でも仕事をすることになる。しかし、もともと社会不適合な人間であった二人は、表社会での仕事にうまくなじめずに四苦八苦。それと平行してあるヤクザ組織と敵対することになってジタバタするーーというのが適当なあらすじ。
この作品が面白いのは、アクションパートというよりも、主人公二人の日常描写にユーモアがあって笑えるところ。そういう意味では社会に適合するため奮闘する10代の女の子の青春物語的に観られる。そこに阪元監督お得意の殺し屋設定を挿入し、日常の延長の中に殺し屋という稼業がある違和感をうまく中和するような感じで緩くお話が進んでいくのだ。
そういう意味では『最強殺し屋伝説国岡』と似たような話であるが、あちらはモキュメンタリ―的手法で描写されているのに対して、本作はまるで漫画が原作かのように思わせるシチューエーションのお話を、実写で見事に描き切っているところがすごい。
主人公とその他の人物のやりとり、特にメイド喫茶での描写とかは、まさに漫画っぽいなぁと思わせる。それを実写で再現するとすごく恥ずかしい感じになっちゃいがちだと思うんだが、今作にはそういうことを感じさせないリアリティみたいなんがあるのだ。なんでかは俺にはわからん(笑)。
もちろんアクション描写もすごくて、そこは安定の阪元作品という感じ。個人的なお気に入りシーンは『最強殺し屋伝説国岡』で主役を演じた伊能昌幸氏が、同作品のような強者の雰囲気を醸して登場したのに、その数秒後に主人公たちに瞬殺されるところ。マジであれは笑えた。
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