アンビュランス(2022)

血のつながらない兄弟が銀行強盗を決行。しかし計画がうまく行かず警察に包囲され、居合わせた救急車をジャックして逃走するはなし。けっこうおもしろいけど、そりゃ失敗するだろって顔ぶれの強盗団には苦笑せざるを得ない内容。ネタバレあり。

―2022年公開　米　136分―

解説とあらすじ・スタッフとキャスト
ネタバレ感想
1. 関連

解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイ監督によるカー・アクション。元軍人のウィルと血の繋がらない兄ダニーは、LA史上最高金額の銀行強盗を企てる。だが、二人が逃走のために乗り込んだのは、ウィルに撃たれた瀕死の警官を乗せた救急車だった。出演は、「スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム」のジェイク・ギレンホール、「マトリックス　レザレクションズ」のヤーヤ・アブドゥル＝マティーン二世、「ゴジラvsコング」のエイザ・ゴンザレス。(KINENOTE)

あらすじ:元軍人のウィル（ヤーヤ・アブドゥル＝マティーン二世）は妻の手術資金を工面するため、血のつながらない兄のダニー（ジェイク・ギレンホール）に助けを求めたところ、犯罪に手を染めるダニーは、3,200万ドルというLA史上最高額の銀行強盗を提案する。覚悟を決めて挑んだ強盗は計画通りにはいかず、警察に追われることに。窮地に陥った二人は、逃走のため救急車に乗り込んでしまう。しかもそこには、ウィルに撃たれた瀕死の警官が乗っていた。一緒に乗り合わせた救命士キャム（エイザ・ゴンザレス）も巻き込み、救急車はLA中を猛スピードで爆走する。パトカーのみならずヘリまで出動し、街全体が大混乱の事態に。二人は警官を死なせることなく、大金を奪って逃げきれるのか？(KINENOTE)

監督:マイケル・ベイ
出演:ジェイク・ギレンホール/ヤーヤ・アブドゥル＝マティーン二世/エイザ・ゴンザレス

ネタバレ感想

マイケル・マンが監督かと思ってレンタルしたら、マイケル・ベイ監督作だった（笑）。

ダニーとウィルは兄弟なんだけども、血がつながってない。ダニーの親父は裏社会の仕事を生業にしてたっぽく、親父亡きあと、ダニーがその仕事の強盗家業を受け継いで、表向きは高級カーショップを運営しているらしい。

で、ダニーとウィルは幼いころから一緒で仲が良かったけども、ウィルは悪に手を染めるのが嫌だったので彼の元を去り、軍人として働いていた。その後、軍を退役してからは妻子を育てるのに困窮しちゃってて、しかも奥さんは手術が必要なため、金がいるのだ。

てなことで、奥さんにいろいろ嘘をつきつつ安心させてはいたものの、実は金がないので、奥さんには頼るなと言われていたのに、兄を訪ねていくのだ。

で、金の無心をしたらあろうことか、ダニーは「今日決行するヤマをおまんも手伝え」とウィルを勧誘。迷いはしたものの手を貸すことにしたウィルはダニーの仲間と銀行を叩くことにするのだがーーてな感じで物語は始まる。

てなことで、銀行を叩いて金は手に入れたはいいものの、警察に包囲されちまってた強盗団は銃撃戦を展開。ダニーとウィルはいろいろあって、救急車をジャックして逃走することになる。

この逃走劇はなかなか緊張感もあるし楽しめる。ウィルが図らずも撃ってしまった警官や救命士のキャムと二人に敵対したり協力せざるを得ない状況になったりとその展開もなかなかで、飽きることがない。

ということで、全体的には楽しめる作品であるのは間違いないんだが、どうもこの強盗団、とてもプロとは思えない杜撰さがあって、そこが何だかねぇ…。そもそも、こんなことを指摘しちゃったらこの作品が成立しないんだけど、強盗計画を実行する当日にいきなり新しい人＝ウィルを入れちゃうって普通はしないでしょ。

大金せしめるんだし、叩くチャンスはどうもその日しかなかったみたいだから、入念な計画と人選をするのが当然で、よっぽどのことがなければ人を変えたりとかしないのが普通だと思うんだよね。でも、ダニーは偶然訪ねてきたウィルに対して、お前の力が必要だ的な誘い方をしてるわけで、じゃあウィルが訪ねてこなかったらどうするつもりだったんだよと思わざるを得ない。

ついでに言うなら、ウィルはラストのほうで彼が撃った警官の機転で罪を着せられずにすんだようだったけど、こいつダメだろ。そもそも奥さんを安心させるためとはいえ嘘ついて、しかも止められてたダニーと参加して、あわや人殺しになるくらいのことをやってるわけだから。

しかも、誘われたとはいえ自らの選択で強盗に参加したくせに、ダニーの邪魔したりなんなり、考えがブレブレ。最終的にはダニーの心変わりがなかったら死んでたはずなわけで、個人的には感情移入が難しいキャラだったなぁ。ダニーのほうが全然いい奴に見えちゃった。

全然関係ないけど、救急車が出てくる映画といえば、『地獄の殺人救急車』だよね。ものすごい放題で駄作臭がプンプン。地上波で放映されたときに、どれだけダメ映画なんだろうと期待してみたら、けっこうおもしろい作品だったので、けっこうおすすめな救急車作品です。