インビジブル・ゲスト悪魔の証明
不倫相手の殺人容疑で裁判を控えている実業家が、無実を勝ち取るために凄腕弁護士を雇い、真相究明をしようともがく話。話が二転三転するストーリーの面白さで引っ張っていく類の作品で、そこそこ楽しめる。ネタバレあり。
―2017年公開 西 106分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:存在しない事実を証明し、裁判で無実を勝ち取ろうとする殺人容疑者と弁護人を描くサスペンス。密室で不倫相手のローラが殺され、殺人容疑で起訴された実業家ドリア。状況証拠は不利であるにもかかわらず、凄腕弁護人グッドマンはドリアを無罪にできると言う。出演は、「スガラムルディの魔女」のマリオ・カサス、「スペイン一家監禁事件」のアナ・ワグナー、「私が、生きる肌」のバルバラ・レニエ。監督・脚本は、「ロスト・ボディ」のオリオル・パウロ。「シネ・エスパニョーラ2017」で上映。(KINENOTE)
あらすじ:ある夜、不倫相手のローラ(バルバラ・レニエ)の殺人容疑で起訴されている実業家のドリア(マリオ・カサス)を、凄腕弁護人のグッドマン(アナ・ワグナー)が訪ねてくる。法廷での審理を3時間後に控え、それまでに反証の準備をしなければならない2人は事件の再検証を開始する。ドリアはローラと密会中にダニエルという青年を事故で死なせてしまい、死体を湖に沈めて隠ぺいした。しかし、ダニエルの父親はドリアを疑い、しつこくつきまとう。彼らは山奥のホテルに誘い出され、密室でローラが何者かによって殺された。状況証拠は絶対不利であるにもかかわらず、グッドマンはドリアを無罪にできると言うが……。(KINENOTE)
監督・脚本:オリオル・パウロ
出演:マリオ・カサス/アナ・ワグナー/ホセ・コロナド/バルバラ・レニエ/フランセスク・オレーリャ/パコ・トウス/デヴィッド・セルバス
ネタバレ感想
スペインの作品で、監督はオリオル・パオロって人。調べてみたら俺が以前に鑑賞したことのある、『嵐の中で』や『ロストボディ』を監督してた。どちらも最後まで鑑賞するに耐えうる内容で、それはなぜかというに、ストーリー展開が独特というか、驚かせてくれるというか、そういう楽しみがあったからだ。特に後者の作品は。ただし、数年経つとその内容をほぼ忘れちゃってるという(笑)。
そういう人の作品であるから、今回のも似たような感想になるだろうなぁと思ったら、本当にそうだった(笑)。楽しいか楽しくないかで言うと、楽しめた。『ロストボディ』と同じように、ラストで「なるほど、そういうことか」と思わせる部分なんかも同じ。ただ、そのラストの着地点が予想がついちゃうと言えばついちゃうともいえる。
てなことでネタバレすると、主人公の実業家ドリアは、不倫相手のローラを殺してるし、事故の被害者であるダニエルにまだ息があったのに、その息の根を止めたうえで死体遺棄しちゃってる鬼畜。しかもあろうことか、その罪のすべてをローラに擦り付けようとしているという極悪人だ。そんな糞人間が無罪を勝ち取るなんて許されぬ。そう思った被害者ダニエルの両親は、策をめぐらしてドリアの罪を白日のもとにさらしたのであったーーという結末。
もともと救う対象として感情移入しながら鑑賞していた主人公が実はクズ野郎で、妻子あるのに不倫はするわ、自己保身のために殺人を犯すわ、金の力で事件を隠蔽しようとするわ、どうしようもない男だったという展開はそれなりに面白くはある。
しかもこいつ、実業家としてそこそこ成功している奴だから、自分が有能だと思っているぽくて、そこもなんだかムカつく。
よく考えたら、仮に不倫相手のローラが事故を隠蔽しようとした主犯格パターンだったとしても、ドリアが事故を起こした張本人だし、死体遺棄はしていたわけで、自分だけ罪から免れようなんて虫のいい話なんである。
だから結末に関しても、クズがクズであることが証明されたわけで、それはそれで溜飲の下がるフィナーレでしたな。
であるが、そこに至るまでの過程を振り返ってみると、ダニエルの両親が有能すぎはしないか。例えば、二人とも演劇の経験があるからドリアを騙す一芝居を打てたというのはいいけど、演技が巧いからと言って、あそこまでドリアを信用させられる弁護士でいられるだろうかねぇ。
そこを不問にしたとしても、ダニエルの親父のほうも事故の日のローラとの出会いで、ドリアの車のナンバーを覚えちゃうわ、ローラがあの車を運転してなかったことを見抜いちゃうし、車中のライターを覚えていて、それをドリアのものだと結びつけちゃうとか、どんだけ名探偵なんだろうか。すごいね。
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