沈黙の戦艦
最後まで楽しめる、セガール先生の人気作品。これと『暴走特急』『DENGEKI』くらいだろうね、セガールファン以外でも楽しめる彼の主演作は(個人的主観)。ネタバレあり。
―1992年製作 米 102分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:テロリスト集団に占拠された戦艦を奪回するため、孤軍奮闘する男の姿を描く海洋サスペンスアクション。アラバマ州モービル湾に停泊し、現在は船の博物館となっているUSAアラバマ号を改造して撮影された。監督は「刑事ニコ 法の死角」のアンドリュー・デイヴィス。製作は「マンボ・キングス わが心のマリア」のアーノン・ミルチャン。エグゼクティヴ・プロデューサーはゲイリー・ゴールドスタインと脚本を兼ねる「ミストレス」のJ・F・ロートン。撮影は「刑事ジョー ママにお手上げ」のフランク・ティディー。音楽はゲイリー・チャンが担当。主演は「アウト・フォー・ジャスティス」のスティーヴン・セガール。ほかに「JFK」のトミー・リー・ジョーンズ、「ハートブルー」のゲイリー・ビジーらが共演。(KINENOTE)
あらすじ:米国海軍最大最強を誇るUSSミズーリ号。その長い栄光に満ちたキャリアを閉じる日が近づいていた。かつては2400人の海兵を乗せていた船は、今は必要最小限の人数で太平洋を横断、帰路に向かっていた。この船のコック、ケイシー・ライバック(スティーヴン・セガール)は、元SEAL先鋭の秘密戦闘要員で、そのことを知っているのは彼の指揮官アダムス大佐(パトリック・オニール)のみ。今はその過去を封印することを選択していた。だがミズーリ号の平和な航海は突然のシージャックで打ち砕かれた。犯人は軍の技術兵ウィリアム・ストラニクス(トミー・リー・ジョーンズ)とクリル中佐(ゲイリー・ビジー)。彼らは核兵器を盗み出そうと計画していたのだ。2人とその仲間30人を相手に、数人のクルーたちはライバックの指揮のもとに戦いを挑んだ。ライバックの大活躍で犯人グループは一網打尽にされ、無線連絡で駆けつけた救出隊が到着する前に、ミズリー号は解放されるのだった。(KINENOTE)
監督:アンドリュー・デイヴィス
出演:スティーヴン・セガール/トミー・リー・ジョーンズ/ゲイリー・ビジー/エリカ・エレニアック
ネタバレ感想
セガール拳炸裂のこの映画、こうして観なおしてみると、体術による殺人はさほど多くはない。要所要所で、他作品と同様に鬼畜な殺人鬼ぶりを発揮するものの、どちらかというと銃器を中心としたアクションが多いように感じた。
なんで悪役たちは、もっと人質の船員たちをうまく使わないのかなど、細部のつっこみどころはいろいろある。まぁでも、そんなのはいいかと許せるだけの面白味があるのだ。
笑えるのは、敵ボスのストラニクスが、ライバックの脅威に対抗できなくなってきて、最後には作戦そのものすら放棄してまうところ。そして、ストラニクスとライバックのラストバトルは、かなりのお笑い格闘名シーンで、ここを繰り返し見るだけでも楽しめる作品だ。
何でかって言うに、ストラニクスは瞬殺と言ってもいいくらいにライバックに圧倒されて、惨殺されるから。そもそもストラニクスはライバックと対峙するにあたり、減らず口を叩いてるだけで、勝てると思ってるようには見えないことだ。
その一挙手一投足から、「どうせ勝てねぇだろうな…」て、諦念がにじみ出ているのである(笑)。そこはさすが、トミーリージョーンズの演技…。本人はどう思っていたのかは知らんが。
その惨殺ラストバトル前に、ストラニクスとライバックが己の心情についてセリフを交わす。実は、二人とも権力を振りかざして命令してくる上のやつらには辟易しているらしい。二人はその意味では同類であって、共感すらしているのだ。そして、ストラニクスはそれを言うライバックに対して、「お前には信念がある。だが俺には…」て喋ってる途中にライバックの手により惨殺されてまう(笑)。
ストラニクスは自分に信念がないことを認めており、ライバックにはそれがあると言っている。信念があるライバックは、権力の下にいても悪事は犯さない。一方のストラニクスは、上に対する不満だけで職を辞して(殺されかけたんだから当然でもあるが)復讐と金を得ることに走るわけで、確かにそういう意味では信念はないように見える。そこが似たもの同士でありながらも、両者の決定的な違いだったというわけだ。
ライバックは上官だろうがなんだろうが、終始偉そうにしていて、そこが鼻につくんだけども、なるほど、自分自身の信念に忠実であるってのは、そういうことなのかもしれないね。
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