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映画 ドントヘルプ ネタバレ感想 アモンVSエクソシスト+マリア

ドントヘルプ
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ドント・ヘルプ

―2018年公開 墨 94分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「グリーン・インフェルノ」や「ノック・ノック」の脚本として知られるギレルモ・アモエドが監督と脚本を務めた作品。特集『のむコレ2018』にて上映。(KINENOTE)

あらすじ:ある夜、強盗の3人姉妹は上院議員の家に侵入。議員夫婦を椅子に縛り、お金を手にしようとするが、地下から奇妙な叫び声が聞こえ、調べに行くとベッドに縛られた上院議員の娘である少女を発見する。姉妹は助けを求める少女を助けようと拘束を外すが……。(KINENOTE)

監督・脚本:ギジェルモ・アモエド
出演:マリア・エヴォリ/ヴァネッサ・レストレポ/カーラ・アデル/ガブリエラ・デ・ラ・ガルザ/フラビオ・メディナ/フェルナンド・ベセリル

ネタバレ感想

エクソシスト的悪魔祓いの物語

特に前知識もなく、アマゾンプライムで見つけて鑑賞。『ドントブリーズ』以降、邦題に「ドント~」とつけられたホラー作品がたくさんある。今作もその中の一つと言えるだろう。不良っぽくて金のない若者が強盗に入るっていう設定こそ『ドントブリーズ』的だが、中身を見てみると、『エクソシスト』的な悪魔祓いの話だった。

盲目サイコ親父、自分のあれを飲む(笑) 映画『ドント・ブリーズ』(ネタばれアリ)
2016年に日本公開されたホラー・スリラー映画で、ベスト3に入る作品。長すぎず短すぎない尺の中で、物語が二転三転。最後まで緊張感を途切らせずに楽しませてくれました。映画館に行く前からある程度の情報を得て、この作品に対して興味を持っていた点があります。
映画 ドントハングアップ ネタバレ感想 迷惑系は死ね
映画 ドントハングアップ ネタバレ感想 迷惑系は死ね 今作でドントなのは何かというと、「電話を切る」こと。かかってきた電話切っちゃいけないんです。でも、今作の主人公たちは切りまくってるよね(笑)。

ボンクラのする強盗は危うい

序盤から中盤にかけて、上院議員の娘が悪魔に憑かれた存在であることを主人公側のマリア、カミラ姉妹が理解するまでのくだりが非常にのんびりしていてイライラする。そもそも上院議員の家に忍び込んだのは、カミラが誰かに借金でもしてるのか、金が必要だったから。で、知り合いから得た情報では、ホセ上院議員の家の金庫に大金があるということなので、姉妹は末妹のアニータも連れて、強盗を決行することにしたのだ。

で、強盗に入ってみたら、借金返済には足りない金額しか手に入らない。そこでカミラは、よせばいいのにホセを縛り上げて脅し、さらに金を出すよう迫る。しかし、ホセとその妻アンジェリカの様子がおかしい。行くなと忠告された地下に、よせばいいのにカミラが行ってみると、そこにはベッドに拘束された少女の姿が。

その娘を見て、自分が父親に虐待されていたことを思い出したカミラは、よせばいいのに少女を救うことにする。で、躊躇するマリアにも協力を迫る。上院議員夫妻は、少女は地下に戻すべきだと言う。なんでかはよくわからんが、必死になってそう訴えている。

よせばいいのにカミラは、その話を聞こうともせずに、少女を外に連れ出そうとするのだが、彼女は忽然と姿を消していた。しつこいけども、よせばいいのにカミラは外で待機していたアニータも呼び出して少女の捜索を開始するのだ。

というシーンが序盤の内容で、こっから先はしばらく、少女を追ってホセの大邸宅を捜索するシーンが続く。何か電気がつかない暗い部屋とか、まったく片付いてない部屋がたくさんあって、使用人を最近まで雇っていた家の割には、デッドスペースの部屋が全然管理・整頓できていないというおかしな状況。

しかしまぁ、ホラー的演出で、鑑賞者をドキドキさせる効果には役立っているとは思うものの、このくだりは、繰り返すが本当に退屈だしイライラする。そもそも姉妹たちは強盗しているのにもかかわらず、盗む先で顔を隠さずに名前を呼び合っているボンクラぶりに萎えちゃう。

悪魔=アモンが登場して以降の展開

あと、カミラが地下に監禁されてた少女を助けるという行為は、自分の過去のトラウマを投影した偽善(気持ちは分かるけど)に見えちゃうし、捕まったら他の妹たちも捕まるということを忘れちゃってて、やることなすことが行き当たりばったりになっちゃってる。そんな体たらくでは犯罪はできない。

ともかく、そういうシーンを経て、末妹のアニータが首つり自殺をしてしまうという展開に。ここへきてマリアとカミラは一連の謎体験が少女にとりついた悪魔の仕業であるということを知る。この悪魔はアモンといい、本人にしか知らない真実を他者に暴露することで、その本人が罪の意識に苛まれるように仕向けて精神的に追い込んでいく奴らしい。

それによるとアニータは、実はカミラと実父がsexをしたことで生まれた子だったのだ。そして、その真実を知ったことで自殺してまったのである。アモンは続いてユリアの秘密をカミラに暴く。それは、カミラが後に父を殺害した際の裁判で、父に有利な証言をしていたというもの。これによって8年の刑を食らったカミラはブチ切れ、マリアをタコ殴りにしてアニータの死体を車に積んで去ってしまう。んで、運転中に精神攻撃みたいなのを受けてあっさり事故死。合掌。

その後、マリアが中心人物となって物語が続く。何でもホセたちはバチカンからペドロという枢機卿を呼んでいて、もうすぐこの屋敷にやってくるとのこと。こいつが有能なエクソシストなんだとか。何度も神父に悪魔祓いを頼んだけど成功しなかったので依頼した、最後の切り札らしい。

ペドロ枢機卿とマリアによる悪魔祓い

マリアは一応その悪魔祓いを手伝うことになったんだけど、いきなりホセの不意打ちを暗い気絶。縛られて監禁されてもうた。で、ペドロがやってくる。枢機卿ってけっこう高位だと思うんだけど、サポートしてくれる人も連れてきてない。本当に一人で平気なんかよと思わせるほど覚束ない足取り(笑)。

でもまぁ、偉そうにうんちくを述べてから、いよいよアモンの憑りついた少女の前に向かうんだけど、なぜかここでホセがペドロに銃を向けて、悪魔祓いを中断させるという謎展開。

なんでそんなことするんかと言うと、実は聖職者に頼んだ悪魔祓いでは効果がなかったので、この夫妻、あろうことか悪魔に力を借りたんである。すると娘は回復の兆しを見せたんだが、すぐにまた症状が悪化してしまい今に至ると言う。

つまり、結果として娘はアモンに憑かれてしまったということみたい。で、どうしてペトロを呼び出したのかというと、それは少女をタテにしてアモンに脅されていたからーーであってるよね?

でまぁ、監禁されてたマリアはいろいろあって、拘束を解かれることに。ホセはアンジェリカによって銃殺され、アンジェリカは後をマリアに託して自殺。残るのはペドロとマリアとアモン。ペドロはアモンの攻撃でダメージが深いので、彼の代わりにマリアが聖書を読んでお祓いの続きをすることになった。

信仰を取り戻したマリア

もともとマリアはカミラと同じく父から虐待を受けていた。父は信仰心に篤い人で、聖書の教えに則って姉妹を折檻するなどしていたのだ。であるから、父は正義の気持ちで姉妹をしつけていたのだが、姉妹はそうは思っていない。単なる虐待だと受け止めていた。

だからこそのカミラの父殺しにつながるわけだが、お祓い中にマリアは、幻覚の中でそうした自分の行為に対して赦しを請う父親に出会う。迷った後にマリアは意を決して彼を赦してやるのだ。彼女は父の教育で聖書の内容を覚えていたが、信仰を捨てていた。しかし、この一連の騒動の中で信仰を取り戻し、アモンの精神攻撃に対抗して戦うための力を得たのである。

てなことで、聖書のお祓いをすますと、アモンだった少女が血を大量に吐いて正気に戻った。マリアの力でめでたくお祓いが成功したのである。

しかしことが終わってみると、自分の姉妹は死んでるし、上院議員夫妻も死んでるし、警察に状況を説明できるような状態ではない。そこはしかし、ペドロが後始末してくれるようで(どうやって丸く収めたのかは不明)事なきを得た。が、マリアを送り出したペドロの後ろ姿が何だか曰くありげ。

ペドロは悪魔になったのか

3週間後、次期教皇が決まったことを報じるニュースを見ていたマリア。なんと、教皇になったのは、あのペドロ枢機卿だった。演説を行うペドロ。しかし、その表情が何かおかしい。悪魔のようだ。慄いたマリアは、テレビ越しに聖書の言葉を唱え始めるのだったーーおしまい。

とまぁ、感想とか交えつつラストまであらすじを紹介してしまったが、後半の展開はそれなりに工夫がなされていて、興味を持って鑑賞できる。

面白いのは、信仰心の篤い父親に育てられた姉妹が、信仰を持てなくなっているという点だろう。たちが悪いことに、信心深い人が善行として行っている振る舞いが、誰が見てもおかしいと思うような罪になってしまっていること。

そういう環境で育てられた姉妹は気の毒で、母親は何をやってたんだろうかという感じはする。しかし、その中でそれなりに父の愛に報いようと途中までは頑張って神に祈ってたものの、信仰を捨てていたマリアが、聖者となってアモンを退けることに成功する展開には好感を持った。

どうせだったら、マリアがペドロの後継者としてバチカンのエクソシストになったのであるーーというラストになったいいのになと思ったが、そうはならない。

そのペドロが聖職者ではなくなっているからだ。ラストの教皇就任演説時のあれはアモンに憑かれたからこその表情だったのか、それとも彼の素の姿なのか(あの珍妙な表情は笑える)。ホセ夫妻にうんちくを垂れていた彼の言によると、カトリックも時代と共に変わってきて悪魔祓いができる人が減っているーーということだった。それって要するに、組織としての形を守るためだけの奴らばかりで、信仰心というのが重視されなくなっているということの皮肉とも受け取れる。

光よりも闇のほうが強い

そう考えると、悪魔祓いを成就できずにアモンに敗れかけていたペドロも信仰心が薄れていたのではとも考えられるわけで、その解釈でいくと、カトリックの頂点とも言える教皇という権力の座に就いたことで、俗人にまでなり下がったからこそのあの表情と考えられもするわけで、彼はアモンにはとりつかれていないということになる。

それらを踏まえると、この作品は聖職者や信仰心について皮肉を突き付けてる内容と考えることもできる。こういう悪魔祓いの作品を観て思うのは、結局は悪魔のほうが神よりも存在としてはリアリティがあって、それを光と闇の対決としてとらえるなら、闇のほうが圧倒的に強いということだ。

善悪の彼岸のことは考えられない

神は理想を述べ、悪は現実の理不尽をついてくる。勝ち目の薄い戦いであるからこそ神は価値を転倒し、悪であることは善くないことであるーーというわけだが、それこそが信仰することの限界であり、理想でしかないのである。だがしかし、我々の善悪の基準は神による価値転倒が起こされたあとに常識となっているものなので、その基準の中に生きる以上、外側から善悪を語ることができない。

そもそも、それが何を語ることなのかが理解できない。その外に出ることは神にもできないのだ。神にとってもそれが何をすることなのかがわからないのだから。

ちなみにこの最後のくだりの作品のあらすじと関係のない話は、キリスト教のことを言いたいのではなく、ましてやそれをディスりたいという意図があるわけでもない。

善悪を越えた言葉を獲得するために、みんな人間であることをやめよう。

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