ドント・ブリーズ
盲目の老人宅に強盗に入った若者たちが、反撃に遭う恐怖を描くスリラー。リメイク版『死霊のはらわた』などのフェデ・アルバレス監督がメガホンを取り、オリジナル版のサム・ライミ監督と、ライミ監督とタッグを組んできたロブ・タパートがプロデュースを手掛けた。目は見えなくとも研ぎ澄まされた聴覚を持つ老人に『アバター』などのスティーヴン・ラングがふんし、リメイク版『死霊のはらわた』などのジェーン・レヴィ、『プリズナーズ』などのディラン・ミネットらが共演する。(シネマトゥデイ )
ネタバレ感想
中だるみなしで緊張感が持続する秀逸な作品
2016年に日本公開されたホラー・スリラー映画で、ベスト3に入る作品。本作以外では、『イット・フォローズ』と『死霊館 エンフィールド事件』がよかったですね。長すぎず短すぎない尺の中で、物語が二転三転。最後まで緊張感を途切らせずに楽しませてくれました。
作品を見る前に気になってたこと
映画館に行く前からある程度の情報を得て、この作品に対して興味を持っていた点があります。それは、襲われる役である主人公たちのチームが3人と少ないこと。よくあるこの手の作品では若者はもう少し多くて、少なくとも4人以上のグループが襲われることが多いと思うので、「襲われる役が少ないけど、そこをどう面白く見せてくれるのか」と気になっていました。
あとは、ごく一般的なアメリカの住宅内が物語の舞台になっていること。日本の住宅よりは土地もあるだろうから広いとはいえ、郊外の別荘などではない以上、空間はある程度限定されているはず――。果たしてそこをどのように料理して作品として魅力を引き立たせるのか。前評判が良かっただけに、そういう点を気にして見てみました。
獲物が少ないなら増やせばいい。狭い空間なら外を使えばいい
と言うことで、人数の問題は序盤から伏線として出てくる人物が途中で登場。なるほど、少ないなら増やせばいいのだなと(笑)。あと、3人組のうち、黒人の青年が一番強そうなんだけど、早々に処分されちゃう。速攻で全滅か?! と思わせながら、残った2人、女の子と気のよさそうな青年の耐久力が異常に高い(笑)。死ぬだろ絶対! という攻撃を受けても絶命しないんです。でもまぁ、それも物語としておかしさを感じさせるほどではないからいいんでしょうね。
空間に関して言えば、山奥の別荘などが舞台になる場合、外にも広大なフィールドがあります。本作に関してもそれは同じでした。強盗に入るための下調べで主人公たちは老人の家の近所に誰も人が住んでいないことを把握している。だから、外でも人目を憚らず殺人を犯すことが可能なわけ。デトロイトという荒廃した街だからこそ実現可能な、今日的な背景を利用することでその点をクリアしてました。
ヒロインにあまり魅力がないのが…
これは好みの問題なんだけど、ヒロインの役者さんがあまり素敵ではなかったなと。役柄にもあまり感情移入できない。妹のためというのもあって必死なんだろうけど、もう一人の青年がちょっと不憫でしたな。
とは言え、青年のおかげで助かる部分はあるものの、盲目サイコ親父に抵抗して頑張るところなんかは、イイですね。盲目サイコ親父が自分のアレを図らずも口に含んじゃうシーンなんか、ホント笑えます。
続編つくれそう。別になくていいけど(笑)
ラスト、女の子は無事、妹とデトロイトを脱出。そして盲目サイコ親父は罪に問われない半面、金は失ってしまったわけだけど、やろうと思えばまた屋敷に侵入してきた娘を囲うこともできなくはないのではないか。続編を制作しようと思えばできるし、そうはしなくてもきちんと辻褄があってて、納得のラスト。脚本というかストーリーといいますか、一つの作品としてぬかりなく作りこまれたものなんだということを感じさせてくれるとても素晴らしい映画で、2016年の最後を飾るにふさわしい、楽しい作品でした。
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